第75回道高校工業教育研究集会 未来創造する教育を 道工業高校長会が苫小牧で
(関係団体 2024-08-02付)

 【苫小牧発】道工業高校長会(諸橋宏明理事長)は7月25日から2日間、苫小牧工業高校で第75回道高校工業教育研究集会を開いた。全道から110人が参加し「未来を創造する本道工業教育の推進」を研究主題に専門性の向上を図った。開会式で諸橋理事長は「生徒が未来を生き抜くためには、工業教育の具体的な実践方法を変えていかなければならない」とし、知識伝達スタイルから考え、試し、経験する授業への転換を求めた。

 諸橋理事長は「現在、全日制の工業系延べ50学科のうち34学科で定員割れとなっている」との課題を示し「一方、工業高校を卒業した人材を得るため、多数の企業が各校を来訪している」「働き手の確保が大きな社会課題となっており、公共交通機関の減便など、生活する上での公共サービスの低下は今後も続くと思う」などの現状と見通しを述べた。

 その上で「こうした社会課題を少しでも改善し、未来を創っていくためには工業教育が大変重要な役割を持つ」「いつの時代もテクノロジーが変えてきた。人が今の約2割以上少なくなり、その約半数が高齢者となる2050年に生徒たちが生き抜くためには、工業教育の具体的な実践方法を変えていかなければならない」と指摘。

 「知識として理解させていく指導から、工業のテクノロジーを使って考え、試し、経験することを重視した指導に変えていく必要がある」と主張した。

 また「工業教員一人ひとりが知識の伝達スタイルから、子どもたち一人ひとりが考え、試し、経験する工夫をしていかないと未来は変わっていかない」と語った。

 その上で「未来を変えるのは教育、テクノロジーであり、工業教育であると信じる。今後は、工業校長会でそうしたわれわれ全員の軸となるような、工業高校の存在意義をいつでも確認できるようなものを、端的な言葉で示したいと思っているので、それぞれの学校で取組姿勢を新たにしていただければ」などと訴えた。

 続いて来賓諸氏が祝辞。このうち胆振教育局の髙橋宏明局長は「実践的・体験的な学習による資質・能力の育成とともに、社会の課題を発見し、解決するための適切な創造力が求められている」などと述べ、研究集会の成果に期待を寄せた。

 研究主題の説明、道教委による説明「研究主題に関わる工業教育の諸課題について」に続き、全国工業高校長協会の守屋文俊理事長が中央情勢について講話した。

 またRapidus㈱の小山明夫シニアディレクターが「折れない心の育て方~我が半導体半生」と題し講演した。

 初日はこのあと、道教育大学札幌校の石川智浩准教授が「小学生から高校までの理工系人材育成案と中学校技術科改革(テクノロジー教育の拡充・刷新、テクノロジー科へ)について」と題し提言。さらに部会協議を行った。

 2日目も引き続き部会協議を行った。

(関係団体 2024-08-02付)

その他の記事( 関係団体)

札幌で第75回指定都市学校保健協 子の健康創出力育成を 心身脅かす諸課題対応へ研鑚

指定都市学校保健協議会  第75回指定都市学校保健協議会が7月28日、ホテル札幌ガーデンパレスで開かれた。全国の関係者220人余りが出席。社会環境や生活環境の急激な変化など、児童生徒の心身の健康を脅かす諸課題への対...

(2024-08-05)  全て読む

北私幼 第66回研究大会 質の高い幼児教育実現へ 1300人参加し研鑚積む

北私幼研究大会  第66回道私立幼稚園教育研究大会が1日、ホテル札幌ガーデンパレスで開かれた。参集およびオンラインを合わせて1300人余りが参加。テーマ「一人ひとりの“こどもがまんなか”を守る質の高い幼児教...

(2024-08-05)  全て読む

校長会長インタビュー 第21回 小樽市校長会会長 代永 研 氏 「自走」と「共走」をテーマに

校長会長小樽市校長会長代永研 ―会長就任に当たっての抱負  小樽市校長会の伝統や歴代会長の功績を受け継ぎ、この役職を拝命し大変身の引き締まる思いである。本年度は「自走」と「共走」をテーマに掲げ活動をスタートした。1校を...

(2024-08-05)  全て読む

「つながり」と「信頼」を大事に校長会長インタビュー 第20回 札幌市中学校長会会長 秀島 起也 氏

 ―会長就任に当たっての抱負   会長として就任するに当たり、その責任の重さを感じている。教育現場は日々変化し続けており、持続的で魅力ある学校教育の実現が求められている。校長会が一丸となっ...

(2024-08-02)  全て読む

イノベーターの輩出を ラピダスの小山氏が講演

ラピダス小山氏  道工業高校長会の第75回道高校工業教育研究集会では、ラピダス社の小山明夫シニアディレクターが「折れない心の育て方~我が半導体半生」と題し講演した。小山氏は「新しい技術を生み出すイノベーター...

(2024-08-02)  全て読む

校長会長インタビュー 第19回 札幌市小学校長会会長 千葉 一博 氏 「強い人が創る優しい学校」目指し

千葉一博会長 ―会長就任に当たっての抱負  札幌市小学校長会では、本年度も「札幌市の教育が目指す人間像“自立した札幌人”の実現に資するよう、校長としての役割と指導性の研鑚など、職能向上に努め、本市の教育...

(2024-08-01)  全て読む

道教委 組合3団体と着任交渉 教員確保 最優先課題に 人材発掘、働き方改革など

 道教委の中島俊明教育長の就任を受け、北教組、道高教組、道教組との着任交渉が7月下旬、道庁別館で行われた。中島教育長は教員人材の確保を最優先課題とし、潜在的な人材発掘や教員採用選考のさらなる...

(2024-08-01)  全て読む

道小 6年度広域人事調査 他管内の経験 貢献につなぐ ICT環境や柔軟化求める声も

 道小学校長会(末原恵蔵会長)は6年度広域人事・離島人事交流に関する調査の集計と考察をまとめた。広域人事終了後、2年経過した全ての教員が「良い変化があった」と回答。他管内での経験を経て様々な...

(2024-08-01)  全て読む

ほっかいどう学推進フォーラム 地域学習用サイト披露 シンポジウム 活用可能性探る

ほっかいどう学シンポジウム 認定NPO法人ほっかいどう学推進フォーラム(新保元康理事長)は7月26日、札幌国際ビルで第6回シンポジウムを開催した。開発を進めてきた地域学習用デジタル教材検索サイト「ほっかいどう学プラット...

(2024-08-01)  全て読む

校長会長インタビュー 第18回 根室管内校長会会長 根本 渉氏 校長同士のつながりを大切に

―就任に当たっての抱負  ここ数年、教育の動向を示す言葉が変化している。「改善・向上」から「改革・変革」である。「改善」はこれまでの延長上だが「改革」は方向性の転換であり組織スタッフの「価...

(2024-07-31)  全て読む