道小 6年度広域人事調査 他管内の経験 貢献につなぐ ICT環境や柔軟化求める声も
(関係団体 2024-08-01付)

 道小学校長会(末原恵蔵会長)は6年度広域人事・離島人事交流に関する調査の集計と考察をまとめた。広域人事終了後、2年経過した全ての教員が「良い変化があった」と回答。他管内での経験を経て様々な方面で自身の成長を実感していることが分かった。人材育成や教育水準の維持・向上など、異動元の全ての校長が学校改善に向けた貢献を感じている。課題として、校務支援システムなど地域によって異なるICT環境の統一や、制度の趣旨を踏まえた柔軟な対応を求める声も寄せられている。

 広域人事制度は平成23年度から開始。教職員の適正配置を促進し、学力向上や生徒指導など地域における教育課題の改善に資することで、全道的な教育水準を高めることを目的としている。

 平均年齢の高い管内の中堅層の教諭が平均年齢の低い他管内の学校に異動し、原則3年間勤務。異動先で教育実践の中核を担ったあと元の管内に戻り、その経験を生かしていく。若年層の教諭は平均年齢の高い管内の学校で力量を高めたのち、異動前の管内でその知見を還元する。

 調査は例年実施しているもので、対象者60人のうち58人から回答を得た。調査時点は5月1日現在。

 制度に参加して良かった点として、異動3年目終了者の75%が「授業力向上」「職場の仲間との関わり」を挙げている。

 人材を受け入れていた異動先の校長は3年間の様子を「大いに貢献した(40%)」「貢献できた(40%)」「貢献できた部分がある(20%)」と評価。内容は「教育課程改善」「職場の仲間との関わり」が60%と最も高く、他管内との人事交流が包括的な学校改善に結び付いている傾向が見られた。

 広域人事終了後、2年経過した教員の全てが「良い変化があった」と回答。内容は「学力向上への関与」「授業力向上への関与」「家庭・地域への関わり」が70%と高く、各方面でバランス良く教師としての成長を実感している。

 校長からは、他地域における好事例の普及、後進の育成など影響を与え、活躍している姿が報告されている。

 一方で、課題として校務支援システムやICT機器の違いが授業づくりに影響を及ぼすことからICT環境の統一化を求める声、3年以上の勤務または2校勤務を可能とするなど、制度の趣旨を踏まえた柔軟な対応を求める声も寄せられた。

 道小は、広域人事終了者が学校運営を活性化する大きな役割を担っていることから、対象者が力を発揮する環境を用意する校長の役割とともに、他職員にも制度の趣旨・良さを広める必要性を指摘している。

 考察結果をもとに対象者の選考、情報共有、制度運用の3観点から改善策を整理して示し、教育局・教育委員会による定期的な支援体制を継続するほか、制度の年数や対象地域の見直し、情報をいち早く共有するための先行内示などを提案している。

(関係団体 2024-08-01付)

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