校長会長インタビュー 第21回 小樽市校長会会長 代永 研 氏 「自走」と「共走」をテーマに
(関係団体 2024-08-05付)

校長会長小樽市校長会長代永研
代永会長

―会長就任に当たっての抱負

 小樽市校長会の伝統や歴代会長の功績を受け継ぎ、この役職を拝命し大変身の引き締まる思いである。本年度は「自走」と「共走」をテーマに掲げ活動をスタートした。1校を預かる校長としての気概と自校の課題解決に向け、明確なビジョンを持ち「自走」するとともに、市立学校として共通課題にはタッグを組み「共走」していく。校長会としての日々の連携を充実させ、人材を生かし組織力を高める中で教育活動の充実を目指したい。そして児童生徒を誰一人取り残すことなく確かな資質・能力を育み、学校経営を着実に前進させ時代に継承していくため、熱意と創意を持って取り組んでいきたい。

―市内教育の特色、課題と対応

 オール小樽での取組―

①学力向上

 市の指針「小樽授業づくり5つのステップ」のもと、子どもが主体となる場面の設定による思考力・判断力・表現力の育成を中心に、全授業での1人1台端末の効果的活用を通じた学力向上を目指した授業改善に努めている。

②小中一貫教育

 中学校区ごとに全小・中学校で定期的な小中一貫教育推進委員会を開催している。全市で共通の視点のもと、各中学校区でグランドデザインと推進計画を作成し、年度ごとに取組の成果・課題をまとめ、全市で交流して次年度に生かす取組を行っている。また小中一貫教育加配による算数、理科、英語、体育での中学校専科教諭による乗り入れ授業が各校区で行われ、学力向上や中1ギャップの解消に成果を上げている。

③小中高合同研修会

 小中校長研修会に市内の高校長も交えた交流や研修を行うことで、小中の実態交流はもとより、義務教育修了までに身に付けてほしい力や高校で求められる生徒像、さらには上級学校への進学、就職時に必要な力等、貴重な情報を得ることができ、義務教育9年間と高校教育をつなぐ意識が高まってきている。

④ふるさと教育

 市の伝統行事「おたる潮祭り」で市内を踊り歩く「潮ねりこみ」に全小・中学校が参加している。校区の小中が合同で参加する梯団も多く、このふるさと教育においても小中連携が図られている。

⑤教育環境

 本年度、全小・中学校で校務支援システムが整備され、欠席連絡ツールの導入や各種諸帳簿等管理の一元化によって大幅な業務改善につながっている。児童生徒に向き合う時間の確保と「働きがい改革」にもつなげたい。また児童生徒が日常使用する全教室にエアコンが設置され、猛暑の中でも恵まれた授業環境が整った。教育環境面での手厚い支援には感謝の念に堪えない。

―信頼される学校づくりに向けて

 市では本年度で全小・中学校・校区でコミュニティ・スクールの体制が整った。先進的な取組を行っている学校運営協議会の活動を参考にしながら、校区・地域の実態に合わせた活動を行っている。各学校の実態や課題を学校運営協議会で提示し、協力を求めるとともに地域の要望にも耳を傾け、互いがウィンウィンとなる関係性を大切にしながら、開かれた学校、信頼される学校づくりに努める取組を推進している。

―学校組織の強化・活性化に向けた取組

 年度当初、中島正人新教育長から児童生徒、保護者、教職員はもとより、小樽市全体のウェルビーイングの向上、人事異動によって揺るがない持続可能な学校経営を目指し、新しい時代に対応する改革を包括的に進めてほしいとの方針が示された。小樽市校長会として、教職員一人ひとりが役割と責任を自覚し、学校経営を自分事として捉えられる組織づくりに努めている。

―教職員の人材育成に向けた校長会の取組

 小樽市校長会では、重点目標の一つとして「生かし高める人材育成」を掲げ、教職員の資質・能力の向上と学校経営参画意識を高めるため、職能向上研修会を実施している。教頭グループ、管理職受検も見据えた主幹教諭やミドルリーダーグループのほか、期限付教諭や時間講師等のグループも設け、講義やワークショップ等を通して次代の教育を担う人材の育成に取り組んでいる。

―教育信条

 熱意と創意、そして謙虚さ。これなくして前進はないと考える。自分を育ててくれた方々、周りで支えてくれる方々への感謝の気持ちを忘れず、今後も多くの声に耳を傾けながら自分がやるべきことを見極め、まい進したい。

 平成2年道教育大旭川分校卒。遠別町立遠別中を振り出しに、羽幌町立羽幌中、後志管内へ異動し、島牧村立島牧中、赤井川村立赤井川中、25年積丹町立日司小教頭、泊村立泊中教頭、29年積丹町立余別小校長、小樽市立忍路中校長、令和5年から現職の桜町中校長。

 昭和42年生まれ、57歳。東京都出身。

(関係団体 2024-08-05付)

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