道研連 夏季所員学習会 個別を“孤別”にしない 道教大旭川・山中准教授講義
(関係団体 2024-08-06付)

道研連夏季所員学習会

 道教育研究所連盟(道研連、川端香代子会長)は7月30日、夏季所員学習会をオンラインで開催した。道教育大学旭川校の山中謙司准教授が「“個別最適な学び”と“協働的な学び”の一体的な充実に向けた授業の在り方について」をテーマに講義。児童生徒が多様化する中、学習の個性化に向けた授業の変革を求め「個別を“孤別”にしないよう、協働的な学びにつなげていくことが不可欠」と訴えた。

 「個別最適な学び」や「協働的な学び」の一体的な充実に向けた授業について理解を深めるとともに、研修した内容を域内の学校に広げるための研修等に役立てるもの。道内の教育研究所およびセンターの所員ら約70人が参加した。

 山中准教授は講義で、全国学力・学習状況調査の質問紙調査における個別最適な学びや主体的な学びに対する回答に言及し「学校の9割、児童生徒の8割が肯定的」と答えた一方で「2割の児童生徒は“自分の学びに合っていない”と捉えている」と強調。ウェルビーイングの観点を踏まえ「全ての人の可能性を引き出す学びを取り入れることが必要」と述べた。

 児童生徒が多様化する中で、教師の役割を伴走者に転換していくとともに「授業のイメージを転換する必要がある」と指摘。学習の個性化に向けた授業の変革に当たって、キーワードに①複線化②概念化―の2点を挙げた。

 複線化については、一定の枠組みの中で児童生徒の興味・関心に応じた学習活動や学習課題に取り組む機会を提供することを示し「個別を“孤別”にしないよう、協働的な学びにつなげていくことが不可欠だ」と述べた。

 概念化に関わっては「学習で得た知識を、概念的な思考として活用する機会を教師が提供する必要がある」と指摘。事実の枠組みの中での解決を目指すテーマを「大くくりの学習問題」と捉え、児童生徒個々の興味・関心に応じた異なる目標に向けて学習を深め、広げる学びの展開が個別最適な学びにつながるとした。

 また、個別最適な学びと協働的な学びにおけるICTの活用、個別最適な学びで求められる学習評価について説明。自らの学習を振り返り、つぎの学習に向かうことができるようにするために「本時の目標に対する具体的な振り返りの視点を与えることが大切」と説いた。

 このあと、参加者はブレイクアウトルームに分かれて、授業改善の方策について交流・協議した。

(関係団体 2024-08-06付)

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