【解説】子どもの視力悪化　顕著に

（解説 2024-08-02付）

　文部科学省は５年度児童生徒の近視実態調査結果をまとめた。裸眼視力１・０以上の小中学生の割合は３年前の６３・９％から５３・１％に下降。０・３未満は１２・８％から２０・９％に上昇した。眼鏡を使用していない児童生徒の割合は８０・６％から６８・５％に低下し、子どもの視力悪化があらためて浮き彫りとなっている。

　５年度調査は小・中学校２９校の児童生徒８９０５人を対象に実施。調査期間は５年４～７月。

　裸眼視力１・０以上の児童生徒の割合は学年が進むにつれ低下。小学１年では男子が７６・９％、女子が８１・１％だったが、中学１年では男子が５１・０％、女子が４０・８％、中学３年では男子が４２・１％、女子が３７・４％だった。

　裸眼視力０・３未満の割合では、小学１年では男子が１・０％、女子が１・３％、中学１年では男子が２３・９％、女子が２９・６％、中学３年では男子が２９・３％、女子が３５・８％となった。

　近視は遺伝・環境の二つの要因が関連するとされ、アンケート調査では片方の親が近視である場合は両親とも近視ではない場合と比べ、近視の新規発症との関連が大きい可能性が示唆された。また「パソコンやタブレット端末の使用時間が長い」「スマートフォン・ゲーム機を使用する家庭内のルールを決めていない」と回答する児童生徒ほど視力低下との高い関連が見られた。

　文科省は視力低下を防ぐため「本・画面から３０㌢㍍以上目を離す」「３０分に１回、２０秒以上目を休める」「姿勢を良くする」「部屋を十分明るくする」などの留意点を周知。２時間以下の屋外活動が近視の進行抑制に効果が得られる可能性があるとする研究結果から、熱中症の影響にも配慮しつつ、休み時間に積極的に屋外で活動するよう呼びかけている。

(解説 2024-08-02付)