【解説】社会資源 教育への環流を
(解説 2024-08-06付)

 経済産業省は7月下旬、「イノベーション創出のための学びと社会連携推進に関する研究会」報告書に、企業・地域社会との連携や民間資金を活用し教育活動を進める全国の好事例を掲載。潜在する社会資源を教育分野に環流し、多様な学びの選択肢を提供する「学びのエコシステム」構築に向けた施策を示した。

 財源を公財政に大きく依拠している教育分野の現状から、研究会は国・自治体による「公助」、家庭による「自助」のほか、首長部局が積極的に関与し、社会資源を活用する「共助」による学びの充実を提案。

 財源の確保に向けて、クラウドファンディングで約1100万円の寄付を集め、意欲ある学校の取組を支援する鎌倉市を紹介。基金化することで年度にとらわれず柔軟に財源を活用できる体制を構築している。

 学校施設の活用事例では、社会教育施設と同様の機能を持たせた図書室や美術室を地域に開放する安平町立早来学園や、授業外時間に屋内プールを有料で開放する東京都調布市内の小学校を取り上げた。

 教育関係ファンドに資金が集まらない事例もあることから、テーマ・地域別に企業群を形成して資金提供を行うスキームの構築を提案。教育分野への生前贈与・遺贈寄付を増やす方策や、卒業生のネットワークを形成し資源環流を促す方策を検討することを提起した。

 さらに、休日・放課後の学校施設を活用したサービスを提供する事例の整理・検証や、官民連携・資源確保を進める人材を育成する施策が必要と指摘。公教育と社会との連携を図るには、自治体と学校をつなぐ地域の「中間支援組織」と企業・個人をつないで教育分野への資源環流を担う「全国的な伴走支援組織」の設置が必要とし、潜在資源を持続的に獲得・提供する実証事業への着手を提案した。

(解説 2024-08-06付)

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