まちは人でできている ビジネス教育のあり方講演(関係団体 2024-08-09付)
道高校長協会商業部会の6年度道高校商業教育研究集会・協議会では、とまこまいクリエイティブラボ合同会社代表社員の磯貝大地氏が「まちはひとでできている」と題し講演した。
磯貝氏は、苫小牧総合経済高校でマーケティング部外部指導者を務めており、同部での活動を紹介しながら、生徒がビジネスについて理解するために大切なことなどを語り「まちには様々な人の知識、見識、リソースがあるのに学校教育に生かされていない」「間口を広げ話を聞いてほしい。そうすることでもっと地域と関われるようになる」などと述べた。
講演概要はつぎのとおり。
学生と社会人の違いは、お金を払って何かをしていたのが、お金をもらう、稼ぐ側に回るということ。よく「学生気分」という言葉を聞くが、稼ぐ側に環境が変わっているのに気付いていないでいつまでも受け身のままということ。
ただ、お金を稼ぐことは我慢した対価、拘束された対価ではない。そう考えるとしたら寂しい。
ビジネスは誰かの欲求を解消すること。特に痛みや困り事を取ってあげること。給料をもらうために働くのではなく、働いた結果給料がもらえる。そうしたビジネスの本質を伝えたい。
社会ではどんな人材が必要とされているか。それはポータブルスキル。持ち越し可能な能力。せっかく就職してもすぐに転職するかもしれない。その時に持ち越し可能な能力は何か。知識や技能は地道に身に付けるしかないが、仕事の仕方と人との関わり方はどこにいっても使えるスキル。
現状を把握し、課題を見いだし、計画を立案・実行する。これはどんな仕事でも変わらない。人との関わり方もそう。
クラウドファンディングには、こうしたビジネスの要素が全部詰め込まれている。現状何が問題で何をしなければならないのか。誰に対し働きかけるのか、どうすれば収益が得られて、どういった結果を残せるのか。こうしたところが全部詰め込まれている。
信用の対価がクラウドファンディング。この人にお金を預けたら何かやってくれるんじゃないかという期待。だから基本的にお金を出してくれるのは近しい人だけ。なので早急にSNSをやってもらった。ターゲットはお金を出してくれる年上の人たちが多数やっているフェイスブック。これによって集めた金額は倍くらいになった。
ビジネスの創造について。何でもいいがあれをやりたい、これをやりたいというものがないとビジネスはなかなかできない。
ビジネスアイデアのワークショップで商品開発をしていた時、大人が背負うランドセルを考えた生徒がいた。「ランドセルは体に無理がかからぬよう設計が理にかなっている。家の中のバッグの中で一番大きい。大人だってランドセルを背負いたい人がいるのではないか。私は欲しい」という発想だった。そういうものがないとビジネスは生まれない。
新しいビジネスを支えているのは10代、20代の発想。おじさんおばさんには限界がある。若い段階で「それ面白いじゃん」と言ってあげる環境をつくってあげる必要がある。
ビジネスについて学ぶ際は専門家に聞くのが一番早い。マーケティングについて知るならマーケティングの専門家を連れてくる。写真について知りたいなら写真家に聞くのが一番早い。精通した人にいかに協力してもらうか。
起業について学ぶなら、起業した人に聞くのが圧倒的に早い。誤解されているが、会社をつくるのはそんなに難しくない。大企業を想像するからそう思うが、年に数万円しか売り上げがなくても会社である。もっと簡単に考えチャレンジした方がいい。
まちは人でできている。小さい町でも様々な企業があり様々な人の知識、見識、リソースがある。リソースがあるのに学校教育に生かされていない。これはもったいないと思う。
学校もハードルを下げてほしい。私がお話しした時も、お金の臭いがした瞬間シャットアウトされ、全く話を聞いてもらえなかった。別に学校相手にたくさんお金を取ってやろうなどという考えは全然ないし、互いに得るものがあればと思っているだけなのに、話も聞いてもらえなかった。
間口をいったん広げ、この人は何をしようとしているのか、どうウィンウィンの関係をつくろうとしているのか、話を聞いてから判断してほしい。そうすることでもっと地域とも関わることができるようになる。
(関係団体 2024-08-09付)
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