【解説】ケアラー周囲の相談増加

（解説 2024-08-20付）

　ヤングケアラーを支援対象として明記する改正子ども・若者育成支援推進法が６月に成立。年齢にかかわらずヤングケアラーを「家族の介護、その他の日常生活上の世話を過度に行っていると認められる子ども・若者」と定義した。道は、ヤングケアラーの支援団体を通して協力を呼びかけ、児童生徒、学生、社会人から幅広く計画への意見を求めるとしている。

　道によるヤングケアラー支援の施策をみると、５年４月に江別市において専門相談窓口を開設。５年度は来所４件、電話８１件、メール等１０件の９５件の相談が寄せられた。ヤングケアラーコーディネーターは道内８地域に配置し、アウトリーチ支援や学校・地域住民からの相談など２４５件に対応した。

　本年度は新たに恵庭市との連携・協力による「ヤングケアラーカフェ」を今月上旬に試行。ヤングケアラーが気軽に相談できるよう、市内のカフェなどで飲食しながら悩みを聴く新たな取組で、１０、１１月に第２弾の実施を検討している。

　一方、これらの相談に対応する関係者によると、ヤングケアラー本人からの相談は依然として少なく、周囲の友達・大人から相談を受けるケースが増加しているという。ヤングケアラー本人やその保護者が負担を自覚していないケース、家庭内の問題であるため相談をためらうケースも多く、実態が顕在化しにくい一因となっている。

　道は１１月をケアラー支援の推進月間として位置付けており、集中的な広報や啓発活動を展開するとともに、市町村、関係機関、包括連携協定を結ぶ企業・メディアの協力を得てヤングケアラーの道民の理解促進を図る取組を進める。声なき声に耳を傾け、信頼できる周囲の大人に相談してもらうようメッセージを伝えることが求められている。

(解説 2024-08-20付)