道研 6年度導入の探究省察型研修 自己分析し応用力向上 集合型で学校管理職研修
(道・道教委 2024-08-29付)

道研探究省察型研修
道研探究省察型研修

 道立教育研究所が本年度新たに導入した探究省察型研修が始まっている。27日から4日間、集合型で行われている「学校管理職研修2~これからの時代に求められる管理職の資質能力」には、道内の校長・教頭34人が参加。自らの思考や特徴を把握した上で、これからの時代に即した応用力を高めるプログラムに臨んでいる。

 道研の本年度研修講座のコンセプトは「“新たな教師の学びの姿”を実現するための研修の推進を」。特色として、課題解決型研修を重視する方針を打ち出した。受講者一人ひとりが既存の手法や考え方を捉え直し、自らの教育実践を再構成・変革する一助となることを目指した。

 特に、学校管理職研修2においては、集合型研修で、自らのものの見方や考え方を省察するプログラムを用意。4日間にわたって「情報収集」「分析」「構想」「リフレクション」「企画」「実行」「判断」の各講座に取り組むことで学校組織マネジメントの検証を促す、新たな研修スタイルの在り方を提供している。

 7月上旬の遠隔型研修Ⅰでは、東洋大学の葛西耕介准教授が講義。Society5・0時代を迎え、「最適解を探究する校長像」が求められていることを示した。その上で、学校や教員の仕事などの10年後、多様な専門職が専門性を発揮できる組織とリーダーシップの在り方に関する議論を促し、参加者同士の考えを聞き合いながら探究することを求めた。

 集合型研修初日の27日、葛西准教授と道教育大学教職大学院の中澤美明教授が講師を担当。葛西准教授は「校長はリーダーとして結果を出す必要がある。そのためには、何らかの行動を取らないと結果は生まれない」と述べ、行動を支える一定の資質・能力として「知識」「応用力」の2点を示した。

 高い専門性が求められる教員の仕事は「単純な反復に基づかない、勘やこつという“暗黙知”に依存している」と指摘。暗黙知を生かすための「応用力」を身に付けることの重要性を説き、研修を通して「自分の思考の特徴をつかむことが出発点。他者の考えに触れて、自らと何が違うのかを理解し、最適解を生む組織づくりに生かしてほしい」と訴えた。

 このあと「マネジメントとは」をテーマに小グループで意見交換。参加者は「参画、任せること」「人材育成」「引き出す、つなぐ」「目標に向かってベクトルをそろえて戦略的に動く」などを挙げた。

 このあと、仮定の中学校の校長として、今後何に取り組むかを検討する演習を展開。参加者は、それぞれの考え方に触れながら自らの思考を磨き上げた。

 参加者は今後、職場での実践を踏まえて12月の遠隔型研修で資質・能力の定着を図る。中澤教授は「校長にとって、自分自身を見つめ直す機会は少ない。あすからの学校経営にぜひ生かしてほしい」と期待した。

(道・道教委 2024-08-29付)

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