【解説】半導体人材の育成拠点形成

（解説 2024-09-09付）

　半導体の需要は世界的に拡大しており、経済安全保障の面からも戦略的重要性を帯びている。一方、半導体関連産業を担う人材は不足しており、JEITA(電子情報技術産業協会)によると今後１０年間で必要となる半導体人材の必要数は全国で４万３０００人、北海道・東北地域における人材需要は６０００人と試算している。

　大学では最先端の技術・動向に通じた実践的な教育ができる教員が不足。設計・製造に関する技術高度化に対応する人材の育成、国内外の優秀な人材を引きつける魅力的な研究環境の確保も課題となっている。

　このため文部科学省は７年度予算概算要求で、次世代半導体の研究開発・研究基盤・人材育成施策として総額９４億円を要望。その一環として、７年度から全国各地に半導体人材の育成拠点の形成を計画している。

　期間は５年間。運営拠点校となる大学が中心となり、域内の複数の大学と連携して産業界の人材ニーズを踏まえた連携型教育プログラムを推進。大学と産業界をつなぐネットワークを構築する。事業初年度となる７年度は１８億円を投じて１０拠点を整備する計画で、産学協働による実践的な教育体制の構築を目指す。

　このほか、２０３０年代以降のコア技術とされる次世代エッジAI半導体や知能・身体機能のリアルタイム性を有するAIロボットなど、次世代半導体の研究開発に４２億円を投じ、オールジャパンで研究開発・人材育成を推進する。

　道はラピダス進出を契機として半導体関連の学部・学科を有する大学・高専との連携を強化。４月に策定した北海道半導体・デジタル関連産業振興ビジョンでは、２０３３年までに半導体関連企業の雇用者数を現行の６８５７人から１万２６０７人へと引き上げる目標を示している。

(解説 2024-09-09付)