「少年の主張」全道大会 恵庭 恵み野中 数馬さん最優秀 未来に咲く今
(道・道教委 2024-09-12付)

道青少年育成大会少年の主張数馬さん
道青少年育成大会少年の主張数馬さん

 6年度「少年の主張」全道大会では、全道14地区の代表と札幌市代表2人の16人が出場。自らの経験を踏まえた意見や思いなどを熱弁した。審査の結果、恵庭市立恵み野中学校3年生の数馬灯里さんの「未来に咲く今」が最優秀賞に輝いた。数馬さんは北海道代表として北海道・東北ブロック審査に参加。ブロック代表に選出されると11月24日に開催される全国大会に出場する。

 最優秀賞と優秀賞の受賞者はつぎのとおり。

▼最優秀賞(道知事賞)=数馬灯里(恵庭市恵み野中3年)「未来に咲く今」

▼優秀賞(道青少年育成協会会長賞)=藤原拓也(鶴居村鶴居中3年)「未来の舵取りを担う」

▼優秀賞(道教委教育長賞)=鎌田千弦(札幌市平岡緑中2年)「とくべつなふつう」

▼優秀賞(道PTA連合会長賞)=尾坂空音(岩見沢市明成中1年)「しあわせの形」

     ◇

 最優秀賞に輝いた数馬さんの発表はつぎのとおり。

 皆さんには、夢や目標はあるだろうか。私には今のところ、具体的に夢と呼べるほどのものはなく、そういった夢を持つ友達を見ると、焦りや不安を感じていた。でも、そんな気持ちを和らげてくれた存在がいる。それは意外にも兄であった。

 私にはことし成人式を迎えた兄がいる。高校卒業後、上京してすぐに働き、社会人3年目になる。兄は勉強が苦手で、さらに反抗期で学校も行ったり行かなかったりした時期があり、両親や担任の先生から卒業を危ぶまれるほど心配されていた。そんな兄ではあったがあるときファッションに興味を持ち、高校3年生ごろからアパレル業界で働きたいと言うようになった。しかし、高校にアパレル業界からは求人が来ていないことを知ると、高校3年生の夏休みに、北海道から独り飛行機に乗り、東京・大阪で開催されていた高卒対象者の合同企業説明会に参加するなどしていた。

 残念ながら、コロナ禍の影響もあったのか、アパレル業界の求人はそこにも来てはいなかった。兄は希望していた職種ではなかったものの、いくつか求人を見つけ、最終的には配送業に就職した。結局、兄の夢はかなわなかったのだ。そんな兄を見て、私は思った。「飽きっぽい性格の兄だから、希望職種じゃない仕事なんて長続きしないだろう」と。

 しかし結果は意外なものだった。持ち前のコミュニケーション能力と、効率の良い仕事ぶりが評価され、この春からは二つの店舗を任されるまでになったのだ。学生時代は劣等生のレッテルを貼られ、希望する職種にも就けなかった兄なのに、今は職場から高い評価を得て配送業という任事に誇りを持ちながら生き生きと働いている。今思えば、兄は誰の助けを借りるでもなく自ら行動し、全てを自分の意思で決断していた。当初の希望がかなわなくても、置かれた状況に文句を言うわけでもなく、そこでやりがいを見出し、自分が輝くための努力をしていたのである。

 そんな兄を見ていて思い出した言葉がある。

 SNSで見かけた「置かれた場所で咲きなさい」という言葉だ。私は今までこの言葉を、つらくても我慢してそこで咲きなさい、という意味だと思っていた。でも、違うのではないだろうか。この言葉は、兄のようにどんなところに置かれてもやりがいを見いだし、自分次第でいくらでも輝くことはできる、という意味なのではないだろうか。

 1年に数回兄が帰省すると、母と楽しそうに仕事での出来事について話している。私は、今まで夢や目標をなんとか見つけようと焦る気持ちでいっぱいだったが、無理に夢を見つけなくても、その時その時に置かれた状況を自分の中で出来る限り楽しむことができれば、それでいいのではないかと考えるようになった。私はそう思うことで「未来」だけではなく「今」を大切に、どう楽しむかをいつも考えている。

 私たちはこれからたくさんの壁にぶつかり悩むことがあるだろう。必ずしも自分の希望どおりになるかどうかは分からない。でも、いつだって私の人生のかじを切るのは私だ。兄のように、どこにいってもその場所の良さを見つけ、精いっぱい楽しめるような豊かな人生を、この先歩んでいくために、どんなことでも挑戦し、積極的に取り組めるような主体性を持って行動したい。

 幼少期のころは「どうせ俺なんて…」が口癖だった兄。

 でも今は違う。

 「大人は楽しいぞ、どこにいても、何をやっても」。

 こう言い放った兄の笑顔は自信に満ちていた。

(道・道教委 2024-09-12付)

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