教育課程改善へ論点整理案 総授業時数は現在以下に 負担感の構造 精緻に議論を(国 2024-09-19付)
文部科学省の今後の教育課程、学習指導および学習評価等の在り方に関する有識者検討会は17日の会議で論点整理案を示した。現行の学習指導要領の実施状況・課題を踏まえ、次期改訂に向けて検討すべき事項などを整理。教育課程実施に伴う学校現場の負担感の構造を精緻に議論するとともに、総授業時数を現在以上に増やさないなど、過度な負担が生じにくい仕組みを検討する必要性を示した。
論点整理は、中教審関係部会での議論をもとに教育課程、学習指導、学習評価の在り方に関し今後検討を深めるべき論点をまとめたもの。教育課程の改善に向けて検討する際の基礎的資料として活用する。
現行学習指導要領では「学びに向かう力、人間性等」など多義的に解釈される用語が多かった反省点から、概念間の関係性を整理して用語の定義を明確化するほか、用語の解説を設けるなど学校現場に分かりやすい仕組みを求めた。
教育課程実施に伴う負担感に関しては、教師の「ワーク・オーバーロード」と「カリキュラム・オーバーロード」を区別して議論する必要性を明記。総授業時数は現在以上に増やすことがないよう検討を求めた。
生成AIの加速度的発展から情報活用能力の重要性を記載。教育課程全体での扱いに加え、各教科等を通じた具体的な充実方策を検討するほか、探究的な学びの充実と一体的に議論する必要性を示した。
学習評価では、評価の観点、頻度の在り方、形式的評価と総括的評価の効果的な使い分けの在り方を検討すること、特に「主体的に学習に取り組む態度」に関しては、「主体性」の意味が具体的に整理されていない課題もあるとし、より主体性を発揮できる観点から検討を求めた。
教育課程編成の柔軟化や裁量拡大の必要性も明記。各教育委員会・学校において標準授業時数に柔軟性を持たせることができる裁量拡大の在り方や、現行制度でも学校裁量が認められている最低授業週数(年間35週以上)、単位授業時間(小学校45分、中学校50分)の柔軟な取り扱いを検討するよう求めた。
新学習指導要領における趣旨・ねらいを広めるため、従来の「周知徹底」ではなく「共有・浸透」の在り方を検討するよう提案。学校・教育委員会向けに中教審の審議過程から分かりやすい資料を提供するほか、審議状況を広く発信するなど、子ども・保護者などを含めて情報を伝える仕組みを求めた。
(国 2024-09-19付)
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