【解説】幼児教育の広域連携を

（解説 2024-09-24付）

　文部科学省の「今後の幼児教育、指導、評価等の在り方に関する有識者検討会」は２０日、議論の最終報告を取りまとめた。幼稚園教育要領などの３要領・指針による教育活動の成果・課題を踏まえ、今後の検討事項や条件整備を整理。幼児教育センターや幼児教育アドバイザーを法令上に位置付け、広域連携を推進するよう提案した。

　報告では、ゲームや動画の視聴時間の増加、子ども同士の交流機会の減少など幼児の発達に必要な体験が不足している現状を懸念。様々な人・もの・自然・文化と直接触れる体験機会を一層設定する必要があると指摘した。

　小学校では３要領・指針で示す「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」の具体的な活用方法が伝わっていない課題に触れ、研修等を通じて理解・啓発を図るよう求めた。

　タブレット端末による調べ学習などＩＣＴを活用した取組が広がる中、１クラスに複数台の幼児向けタブレットを整備するなど、デジタル環境を整備する重要性を提起。併せて低年齢児への弊害やリスク、活用上の留意点に関しても検討すべきとした。

　障がいのある幼児、外国籍の幼児など特別な配慮が必要な幼児への継続的支援の必要性にも言及。専門知識を有する人材の育成やアドバイザー派遣などの支援を国・自治体が講じるほか、幼児教育アドバイザーや架け橋コーディネーターの育成・配置を求めた。

　国においては幼児教育センターや幼児教育アドバイザーを法令等に位置付けるとともに、幼保小架け橋プログラム促進の体制を構築するための支援を要請。国公私立の幼児教育施設をつなぐネットワークやプラットフォームの構築を提唱し、小学校も組み入れることで幼保小の円滑な接続につながるよう期待した。

(解説 2024-09-24付)