【解説】留学生の経済支援　拡充を

（解説 2024-10-04付）

　文部科学省は、Ｇｌｏｂａｌ×Ｉｎｎｏｖａｔｉｏｎ人材育成フォーラム中間まとめを公表した。日本人学生の海外派遣５０万人の目標を達成するため、四つの観点から留学促進に向けた今後の方策を提言。高校生に対する経済的支援の抜本的な充実や、学位取得目的における給付型奨学金の大幅な拡充を求めた。

　人口１０００人当たりの派遣留学生数は日本の約０・５人と比べて中国が約０・７人、ドイツが約１・５人、フランスが約１・６人、韓国が約２・０人と差が大きい。政府は国際競争力の向上を図るため、１５年までに日本人学生の海外派遣者数を現在の５倍以上となる５０万人に増やす目標を示している。

　同フォーラムでは、日本人留学生の増加、留学生の戦略的受け入れ、大学の国際化を三位一体で進める方策を議論。昨今の物価高騰・為替変動によって留学費用の確保が課題となる中、国費による奨学金単価の見直し・充実が必須とし、高校生への経済的支援の抜本的な充実、大学生への海外留学に関する給付型奨学金の大幅な拡充を求めた。

　中学・高校段階で多様な国際機会を経験する重要性から、各自治体・学校関係者に対して留学や海外研修、対面・オンラインによる国際交流機会の提供を呼びかけるよう提案。小・中・高における国際交流に組めるよう、政府が集中的に支援する必要性を示した。

　大学では、日本人学生と外国人留学生が共修する機会・科目の充実や一定期間海外で研鑚を積む機会の必修化を目指すよう要望。

　社会全体で留学の機運醸成を図っていくため、産業界に留学の成果を積極的に評価するメッセージを強く打ち出すとともに、留学の実情や海外留学支援制度等を政府が発信して教師・保護者などの認知度を高める必要性を示した。

(解説 2024-10-04付)