【解説】高校の予備端末　有効活用を

（解説 2024-10-17付）

　高校で整備された予備端末の貸与が低調だったことを受け、会計検査院は１５日付で文部科学大臣に改善を求める意見書を提出した。１９道府県３８事業主体の状況を調査した結果、端末の最大貸与率は６５・６％にとどまったことから、貸与対象の見直しや予備端末の有効な活用方法を検討するよう求めた。

　国庫補助によって端末が整備された公立小・中学校と異なり、高校では私物の端末を学校に持参する「ＢＹＯＤ」方式など様々な方法で１人１台端末の環境が整備されている。学びの保障と機会均等の観点から文科省は、奨学給付金の受給世帯の高校生などのため補助端末の整備費を補助している。

　しかし、会計検査院が１９道府県３８事業主体を調査したところ、整備された９万５５５４台の最大貸与台数は６万２７５２台にとどまり、３万２８０２台（補助金相当額で１２億７０４８万円）が有効に活用されていない可能性があることが判明。１４事業主体で最大貸与率が５０％を下回った。

　補助端末の貸与が低調だった理由として、貸与希望者が想定以上に少なかったこと、調達台数の決定時に当該生徒を対象とする調査を実施していなかったこと、奨学給付金世帯受給世帯以外の生徒にも貸与が可能であることを明確化していなかったことなどを挙げている。

　会計検査院は、コロナ禍の失業による家計急変の影響も考慮した当時の状況に一定の理解を示しつつも、貸与が見込まれない端末が多数ある事態の改善を要請。奨学給付金等受給世帯の生徒への妨げにならない範囲で貸与の対象を見直す方策を検討するとともに、高校において補助端末の有効活用を図る用途・方法を検討し、適切な活用方法の情報を事業主体に提供するよう意見した。

(解説 2024-10-17付)