【解説】基本給の引き下げ否定
(解説 2024-10-29付)

 阿部俊子文部科学大臣は25日の記者会見で、若手教師のサポートなどを担う「新たな職」創設に伴う一般教員の基本給引き下げを「考えていない」と否定した。新ポストの創設は7年夏ごろまでに仕組みを構築し、都道府県・政令指定都市で関係条例を改正。早ければ8年度からの任用開始が見込まれる。

 新たな職は学校における組織的・機動的なマネジメント体制の構築とともに、教師の職務・責任に見合った適切な処遇を講じるために中教審が提案。

 若手教師への支援機能の強化、学校内外との連携・調整機能の充実などの役割を担うことを想定しており、校長等の職務命令で柔軟に対応できる仕組みとする。

 現在の小・中学校教育職の給料表における等級別基準は「校長(4級)」「副校長、教頭(3級)」「主幹教諭、指導教諭(特2級)」「教諭、養護教諭、栄養教諭(2級)」「講師、助教諭、養護助教諭(1級)」の5級制だが、新ポストの創設に伴い、特2級と2級間に総合的な調整を担う新たな職級を設ける。文科省関係者によると、新たな職は校務運営の重要な役割を担うために東京都で配置している「主任教諭」を例に検討を進めているという。

 中教審の答申では、新たな職級は現行の主任手当よりも高い処遇とし、これによって「既存の主任手当の支給対象者の減少が想定される」との考えを示している。このため関係者から、一般教諭の基本給引き下げに波及することを懸念する声が上がっていた。

 会見で阿部文科大臣は「公立学校の教員の給与においては、職務給の原則に基づき地方自治体において定められるが、文科省としては新たな職の創設に伴う教諭の職責の変更は想定しておらず、基本給の引き下げは考えていない」との考えを示した。

(解説 2024-10-29付)

その他の記事( 解説)

【解説】学校満足度など改善傾向

文部科学省は25日、21世紀出生児縦断調査(平成13年出生児)の結果を公表した。コロナ禍が明け、学校生活の満足度、精神的健康、自尊感情は改善傾向に。「子どもは持ちたくない」と回答した女子は...

(2024-10-30)  全て読む

【解説】2割の学校で教員不足

全国公立学校教頭会は、教員不足など緊急課題に関する速報を公表した。6年度当初から教員未配置となっている学校は21・0%。副校長・教頭が学級担任等を務めることで校務が滞り疲弊していくケースも...

(2024-10-28)  全て読む

【解説】若者のスポーツ観戦が上昇

 令和5年に体育館・スタジアムなどでスポーツを観戦した若者の割合は29・6%となり、2年前と比べて11・2ポイント上昇したことが笹川スポーツ財団の「子ども・青少年のスポーツライフ・データ」で...

(2024-10-25)  全て読む

【解説】自転車ヘルメット着用促進を

 道教委は各道立学校長に対し、自転車ヘルメットの着用促進に向けた取組を本年度中に必ず実施するよう求める通知を送付した。自転車通学許可の条件にヘルメット着用を義務付けるほか、通学届け出の項目に...

(2024-10-24)  全て読む

【解説】学校業務改善の取組事例

 道教委は、札幌市を除く市町村立学校、道立学校60校を対象に学校訪問を実施し、業務改善に効果があった取組、課題・苦慮している点、行政への要望内容の3点をまとめた。  教育活動では、行事内容...

(2024-10-23)  全て読む

【解説】全国学生調査の方針固まる

 文部科学省は7年度から本格実施する「全国学生調査」の実施方針を固めた。学生目線から大学における授業の学びや身に付いた資質・能力などを数値化し、質問項目の全国上位校を一覧化した「ポジティブリ...

(2024-10-18)  全て読む

【解説】高校の予備端末 有効活用を

 高校で整備された予備端末の貸与が低調だったことを受け、会計検査院は15日付で文部科学大臣に改善を求める意見書を提出した。19道府県38事業主体の状況を調査した結果、端末の最大貸与率は65・...

(2024-10-17)  全て読む

【解説】運動能力 3世代の特徴

 スポーツ庁は13日、5年度体力・運動能力調査の報告書を公表した。昭和39年度・平成5年度・令和5年度の各調査における10歳の運動能力を比較した結果、ボール投げは男子が昭和39年度、女子が平...

(2024-10-16)  全て読む

【解説】子の居場所づくり広がる

 子どもの居場所づくりを支援するため、NPOなどと連携した様々な取組が各地で進められている。高校に「校内カフェ」を開設し昼食を提供したり、メタバース空間を活用して学習支援や交流機会を提供した...

(2024-10-15)  全て読む

【解説】交通安全教育 警察連携強化を

 5月の道交法一部改正によって11月から自転車運転中における携帯電話の使用が禁止となり、8年5月までに自転車利用者に対する交通反則通告制度が導入される。いずれも16歳以上が反則制度の対象とな...

(2024-10-11)  全て読む