元校長の“学校アップデート!” №18 特別活動の時数の取扱い(札幌市 2024-11-06付)
特別活動の時数の取扱い
特別活動に充てる授業時数は、学習指導要領において35時間(小学校第1学年のみ34時間)と示されており「学級活動に充てるものとする」となっていますが「特別活動の授業のうち、生徒会活動(小学校の場合は児童会活動、クラブ活動)および学校行事については、年間、学期ごと、月ごとなどに適切な授業時数を充てるものとする」と示されています。
そこで、総授業時数から各教科等別に示された時数を除いた中から必要な時数を配当することになります。
現在、働き方改革の一つとして「特別活動の精選」を行っている学校がありますが、学校ごとに「目指す子どもの姿」の実現に向け、あくまでも活動や行事のねらいを達成するために必要な時数を配当することが大切です。
平岸西小では、運動会や学習発表会の練習時間、異学年交流活動の充実に向けて必要な時間を学校創造委員会(特別委員会)で検討し、授業時数として必要ならば前年度より多く確保しました。働き方改革=時数の削減という考えにとらわれることなく「教育の質の向上」のために必要な時数はしっかり確保することが必要です。
小学校の学級活動は①学級や学校における生活づくりへの参画②日常の生活や学習への適応と自己の成長および健康安全③一人ひとりのキャリア形成と自己実現―の三つの内容で構成されています。
中学校は①学級や学校の生活づくり②適応と成長および健康安全③学業と進路―の三つです。35時間(小学校第1学年のみ34時間)の授業時数を①②③に何時間ずつ配当するかは、学校ごとに任されています。担任の裁量に任せるのではなく、特別活動全体計画を作成し、学校としての考えをはっきりさせて取り組むことが大切です。
小学校では、低学年は高学年より②の時数が多く①の時数を少なくし、③を5時間程度とするのが一般的です。②よりも①の割合を少しずつ増やしていくのは、自分たちの力でより良い生活を築く力を高めていくためです。ちなみに平岸西小では、低学年が①16時間②14時間③5時間、中学年が①18時間②12時間③5時間、高学年が①19時間②11時間③5時間―としていました。
中学校は、1:1:1を基本としながら、学年が上がるごとに②を少なく③を多くしていき、①は生徒会との動きと連動するので全学年同じ時数を確保すると良いと考えます。
特別活動の「評価の観点」は、特別活動の特質と学校の創意工夫を生かすということから「各学校で評価の観点を定める」となっています。国立教育政策研究所から「評価の観点(例)」が示されていますが、学校ごとに学校の教育目標や重点目標、目指す子ども像を踏まえて「評価の観点」を設定し、全ての教職員がその観点の趣旨を踏まえて指導に当たることが大切です。ちなみに平岸西小では、つぎのような観点を設定していました。
・多様な他者と協働するために必要な知識・技能
・集団や社会の形成者としての思考・判断・表現
・主体的に生活や人間関係をより良くしようとする態度
ちなみに新しい学校の教育目標の設定に伴って、特別活動の評価の観点の見直しを図りました。
北原徹也 (北海道特別活動研究会顧問、元札幌市立平岸西小学校長)
(札幌市 2024-11-06付)
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