【解説】個別最適な学び 実現へ
(解説 2024-11-07付)

 調査報告書では、授業改善に向けた元国立教育政策研究所学力調査官3人による分析・考察を掲載している。

 国語科では、実際の言語活動を想定した場面・状況の把握が不十分なまま解答している傾向が一部で見られていることから、言語活動の目的などを十分に把握する必要があると指摘。言語活動の目的・場面を意識して自らの考えを具体的に書く指導を繰り返し行い、考えの形成、記述に係る指導事項の確実な定着を図る必要性を示している。

 記述式問題で無解答率が高い課題にも触れ「主体的に学習に取り組む態度」の評価基準の作成や、学習履歴を児童生徒自らが活用できるよう指導する重要性も指摘した。

 算数・数学科では、等式の性質をもとにする式変形などの数学的な処理、問題解決のための推論や数学的な説明に関する課題を提起。概念的な理解を問題解決の過程で実感できる授業や、話し合う活動に数学的表現を吟味・検討することを位置付けた授業など改善の方策を示した。

 本調査では「国語の勉強が好き」と回答した道内児童生徒の割合は小・中いずれも全国平均を上回った一方、小・中の算数・数学は下回っていることから、学習に対する興味・関心が喚起されていない課題も指摘。このため多様な個性・特性・背景を有する児童生徒の興味・関心や能力・特性に応じ、自ら教材・方法・ペースを選択できる学習環境を教師自らデザインする「個別最適な学び」の実現を進めていく必要性を示した。

 1人1台端末の持ち帰りの有効性にも言及。授業と家庭学習の連動を図るため、授業の課題を明確にして必要な情報を収集するほか、端末の持ち帰りや翌日の授業における成果共有など学習環境を充実させることが必要と指摘している。

(解説 2024-11-07付)

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