【解説】全日教連 勤務環境実態調査
(解説 2024-11-13付)

 全日本教職員連盟は教職員の勤務環境に関する実態および意識調査2024を公表した。平日1日当たりの時間外勤務が4時間以上の割合は前年度と比べ2・7ポイント下降して16・1%に。一方、持ち帰り時間が2時間以上の割合は2・3ポイント上昇して15・1%となった。一部の教師に校務分掌が集中しているほか、保護者対応に追われて仕事を持ち帰っている実態があると分析する。

 調査時点は6月30日~8月31日。幼稚園と各校種の教職員5967人から回答を得た。

 主に時間を割いている業務は「校務分掌」が66・8%と最も高く、「授業準備・教材研究」「学級・学年事務」「会議・打ち合わせ」「調査報告」と続く。前年度との比較では「保護者対応」「生徒指導」の割合が上昇していることが分かった。

 基本的に学校以外が担う業務(登下校対応など)、必ずしも教員が担う必要のない業務(部活動指導など)、教師の業務だが負担軽減が可能な業務(支援が必要な児童生徒への対応など)の業務適正化を進める「学校・教師が担う業務に係る3分類」に関しては、36・3%の教職員の認識が薄く、浸透が進んでいない。

 部活動業務への意欲をみると「子どもの心身の成長のため取り組んでいる」「意欲はあるが業務が多いため十分に取り組めない」が高く、全日教連は「教育者としての矜恃をもって関わりたい気持ちと、多様化・複雑化する教育課題への対応など業務が肥大化している中、十分に取り組めない気持ちとの狭間で思い悩んでいる」と分析する。

 中学校教員の兼職兼業の意向は「担当をしたくない」が53・5%と半数を占める。部活動が原因で退職を検討したことが「頻繁にある」「多少ある」との回答は12・7ポイント上昇し28・4%に上った。

(解説 2024-11-13付)

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