【解説】子の声聴く姿勢 QOL向上に
(解説 2024-11-14付)

 大人が子どもの声を積極的に聴き、その意見を取り入れようとすることで子どもの生活の質(QOL)の向上につながることが、国立成育医療研究センターの研究チームによる調査研究で明らかになった。

 2年12月に小学5年生と中学2年生、合わせて700人を対象に調査。コロナ禍の生活の変化について「家庭や学校で自分の考えを聴かれ、その考えや気持ちが考慮されていると感じるか」について調査するとともに、これらが子どもの生活の質に影響を与えたかについて分析した。

 調査結果をみると、養育者と教員の双方からコロナ禍での生活の変化について「“いつも”または“しばしば”考えや気持ちを聴かれた」と回答した子どもの割合は52・9%。一方で24・6%が「どちらからも声を聴かれていない」と回答した。

 「声を聴かれた」と答えた子どものQOLの割合は68・4%で「聴かれなかった」と回答した子どもは14・0%。声を聴かれたと感じる子どもは、聴かれなかったと感じた子どもに比べ、QOLが約5倍と高くなりやすいことが分かった。

 また、声を聴く際に、子ども自身が「意見を伝えやすいようサポートをされている」と感じるだけではなく「その意見が考慮され、実際に取り入れようとされている」と感じた子どもの方がQOLがさらに高い傾向にあることも明らかに。

 調査結果を受け、同センターでは「子どもの声を聴く際には、子どもから発せられるものをただ受け止めるだけではなく、子どもが気持ちや考えなどを伝えやすいようにその子に合った方法でサポートし、その意見が生かされるように一緒に考える姿勢が大切」と強調。「子どもの声を聴き、応答的な関係性を築くことは、世界中の全ての子どもの健やかな発達を促すために必要」と分析している。

(解説 2024-11-14付)

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