道議会質疑 一般質問(9月17日)
(道議会 2024-11-20付)

Q 質問Question A 答弁Answer P 指摘Point out O 意見Opinion D 要望Demand

【質問者】

▼荒当聖吾議員(公明党)

【答弁者】

▼鈴木直道知事

▼濱坂真一副知事

▼中島俊明教育長

◆国際交流推進

Q荒当議員 今日、国際社会が依然として混迷を深めているが、このようなときこそ、国際交流などを通じて、友好と信頼の輪を世界に向けて発信すべきと考える。

 また、北海道においても、その発展のためには、アジアなど近隣諸国はもとより、世界が平和の中で発展していくことが欠かせない。

 こうした中、JICAは、開発途上国に対する支援など、世界で約150の国や地域で事業を展開しており、国際社会で極めて大きな評価を受けているものと考える。

 道は先般、10年後を目指した北海道総合計画を策定し、この中で「北海道の力が日本そして世界を変えていく」などと目指す姿を示している。

 一方、道は令和4年2月、JICAと連携協定を結んでいるが、この中では、世界と北海道をつなぐ環境づくりを推進し、グローバル化に対応した北海道の発展を目指すなどと示している。

 今後、北海道として、平和の中で発展していく世界の実現に向けて具体的にどのように貢献しようとしているのか伺う。

 また、協定締結の意義が、新しい北海道総合計画の中にどのように反映されるのか、今後の取組についても併せて伺う。

 さらに、多文化共生社会の実現に向けて、国際理解教育の推進をはじめ、グローバル人材の育成などは極めて意義のある取組であり、今後、学校教育との連携強化は何よりも重要であると考える。

 JICA北海道と道教委がなお一層連携し、次代を担う子どもたちの夢と希望が実現するためにも、様々な事業を展開することが重要であると考えるが、戦略も含め、教育長の所見を伺う。

A鈴木知事 海外との交流について。グローバル化の進展や不安定な国際情勢を背景として、世界的に大きな変化の時代を迎える中、道では、先般策定した総合計画において、世界に誇る本道のポテンシャルを力に変え、国内外から人や投資を呼び込み、生かしていくことで、ゼロカーボンや食といった分野において、北海道が日本、そして世界の発展をけん引していくという考えを本道の目指す姿として示したところである。

 計画においては、その実現に向けた政策の方向性として、国際交流や協力の促進、多文化共生社会の実現などを掲げ、多様な主体と連携しながら具体の取組を進めることとしているところであり、海外との豊富な交流ノウハウや国際的なネットワークを有するJICAとの連携協定の枠組みは、今後、こうした取組を推進していくに当たって、より実効性を増すものと考えている。

 道としては、引き続き、JICAとの連携を深めながら、その知見や人材を生かし、国際貢献の担い手となるグローバル人材の育成や、地域の担い手確保に向けた外国人材の受け入れ環境づくりを進めるなど、友好と信頼を通じた海外との交流の輪が着実に広がるよう取り組んでいく。

A中島教育長 JICAと学校教育との連携について。JICAは、そのグローバル・アジェンダにおいて、質の高い教育の普及を発展の基礎としてきた日本自身の経験や、その強みである系統立った教科書や教員研修制度を生かした開発協力の経験は途上国支援に有効と掲げており、教育分野において、高い理念のもとで活動していると承知している。

 この間、JICA北海道では、道内における開発教育支援事業として、小学生・中高生国際協力体験プログラムや国際理解教育指導者研修などを展開してきており、道立高校においても、アジア、アフリカ等からの長期研修生との交流授業や、高校生が海外事務所を訪問して意見交換するなどの活動を実施してきた。

 道教委としては、今後も、JICAと各学校における多文化共生社会や開発途上国の課題解決等をテーマとする探究学習の機会の拡充等を支援するなど、子どもたちが、高い志と視野を持ち、地域や世界の課題の解決に主体的に行動する人材へと成長することができるよう、JICAとのさらなる連携強化に取り組んでいく。

◆外国人留学生

Q荒当議員 7月末、日本とウクライナの間で、復興や医療分野での専門家交流の推進に加え、今後5年間において、ウクライナ人大学生100人を国費留学生として招聘することなどについて合意した。将来のウクライナにおいて、政治や経済、文化など、幅広い分野において活躍することが期待される若者に日本との交流を深めてもらうことは、今後の両国の強固な信頼関係を支える礎となるものと考える。

 道内において、農業分野や医療、福祉をはじめ、特色ある教育・研究活動が、国立、公立、私立の各大学で展開されており、ウクライナの若者に貴重な学びの機会を提供することは、本道ならではの国際的な支援となることはもとより、道内の学生にとって、ウクライナ人学生との交流はかけがえのない体験、財産を得ることになる。

 道として、道内大学へのウクライナ留学生の受け入れ、あるいは、学生間の交流の場の提供などの支援に取り組むべきと考える。所見を伺う。

A濱坂副知事 ウクライナからの留学生の受け入れについて。国では今般、諸外国との国際交流や国内大学の国際化促進を目的とした国費による外国人留学生制度を活用し、ウクライナへの教育支援として、今後5年間で100人の大学生を受け入れる旨、両国政府間で合意したものと承知している。

 こうした取組は、両国の友好親善を促進することはもとより、ロシアによる侵略以来、人道的観点から道として取り組んできたウクライナ支援の趣旨にも通ずるものであり、道では、今後、道内の大学や制度を所管する 文部科学省に加え、駐日大使館などとも情報共有を図りながら、留学生の受け入れ支援に取り組むとともに、現在設置しているウクライナ関連ワンストップサポート窓口を活用し、ウクライナ語による生活相談や各種手続のサポートを行うなど、北海道への留学を希望する学生が、安心して学び暮らせる環境づくりに取り組んでいく。

◆子ども施策

Q荒当議員 道は、こども基本条例の骨格の案を示した。この案では、こども基本法の目的や理念のもと、法との整合性や、道の既存の条例とのバランスなどを踏まえ、検討を進められてきたと承知している。

 このまま少子化が進行すれば、社会全体で子どもの意見がますます少数派となる傾向が続くことになるが、社会的養護のもとで暮らす子どもたちなどの意見を尊重する子どもアドボカシーを含め、様々な環境にある子どもたちの意見を大切にする取組を本道全体で進めていくために策定すると考えるこの条例の内容についても、できる限り多くの子どもの意見を踏まえ、検討が進められるべきと考える。道の考え方について伺う。

A鈴木知事 子どもに関する新たな条例について。本道における、こどもまんなか社会を実現するためには、子どもたちの視点に立ち、その声をしっかりと聞き、子どもたち自身が社会に参画していると実感できる環境をつくることが重要と考え、今般、こうした内容を盛り込んだ骨子案を示した。

 また、条例の策定に向けては、道議会での議論や審議会に加えて、子どもたちの意見を聞いた上で策定する必要があると考え、現在、道内の小・中・高校を訪問し、直接意見を聞く取組などを行っているところである。

 道としては、こうした取組を通じて、子どもたちの意見表明を支援し、より多くの意見を聞き、新たな条例によって、本道の全ての子どもたちが、置かれた環境にかかわらず、健やかに成長でき、誰もが安心して子育てができる社会を目指し、しっかりと検討を進めていく。

◆縄文世界遺産

Q荒当議員 北海道・北東北の縄文遺跡群については、世界遺産登録から3年が経過している。道内の構成資産は、噴火湾を中心に分散しているところから、道では、観光客の周遊促進や、遺跡がある地域での活動を強化するため、道内6遺跡の魅力発信拠点を道央や道南に設けることについて検討されているものと承知している。

 そのためには、導入となる拠点整備とともに、それぞれの構成遺産について縄文の魅力に触れる体験コンテンツの充実などが必要と考える。道としての縄文世界遺産の活用に向け、どのように取り組んでいく考えなのか伺う。

A鈴木知事 縄文世界遺産の活用について。北海道・北東北の縄文遺跡群の構成資産がある市町では、遺跡でのガイドによる解説をはじめ、土器や装身具作りなどの体験メニューが提供されており、道としても、市町と一体となって、ガイド研修の実施や音声ガイドの多言語化に取り組むなど、受け入れ体制の強化を支援している。

 現在、道では、周遊の促進や地域活動等の支援を図るため、拠点形成方針を取りまとめているところであり、拠点形成を通じて縄文の価値や魅力を体感できる機会の創出につなげていく考えである。

 道としては、今後とも、関係する市町や団体等とも緊密に連携しながら、人類の宝である縄文世界遺産の保全と活用の好循環の形成に向けた取組を推進し、縄文遺跡群に多くの方々が訪れ、地域のにぎわいが創出されるよう取り組んでいく。

◆道立広域公園

Q荒当議員 道立広域公園は、各地域において、防災や教育支援、そして、インバウンド需要を含めた観光など、様々な面で役割を期待されている。道では、昨年7月に釧路管内の白糠町泊別地区を新たな道立広域公園の候補地として決定して以降、公園に求められる機能などの検討を行っていると承知している。

 新たな道立広域公園の整備は知事公約でもあるが、知事の任期を考えると、それほど時間に余裕はなく、地元の方々からも事業の進捗に対して心配の声が聞こえている。

 また、昨年、道が実施したサウンディング型市場調査では、公園のグランドデザインに住民意見を反映することが望ましいといった意見があり、このような声がある中、これまでの検討を踏まえ、道では、新規道立公園の早期整備に向けてどのように取り組んでいくのか伺う。

A鈴木知事 新たな道立広域公園の整備について。白糠町泊別地区を候補地とした道立広域公園が、地域の皆さんに親しまれ、多くの方々に積極的に利用していただくため、公園のコンセプトや主要な施設などを検討するに当たっては、利用が見込まれる子育て世代など地域住民の皆さんや関係機関の意見を広く伺うことが重要と考えている。

 このため、道では、昨年7月、新たな公園に求められる施設について、近隣の道立公園を利用する方々を対象に聞き取り調査を行ったところであり、今後は、釧路地域において、各関係団体と連携し、ワークショップやアンケートなどを行い、子育て世代や障がいのある方、観光関係者や自治体に加え、遊戯施設などの利用が見込まれる小学生からも意見を伺うこととしているところである。

 道としては、こうした意見などを踏まえ、公園のコンセプトや主要な施設に加え、官民連携の方向性などを盛り込んだ基本構想を年内に策定するなど、新たな道立公園の事業化に向けた手続を鋭意進めていく。

◆学校の暑さ対策

Q荒当議員 道教委では、子どもたちの快適な学びの環境を整えるため、夏、冬の休業日数を増やすとともに、全ての道立学校において簡易型クーラーの整備をするなど、ソフト、ハードの両面の取組を進めてきているものと承知している。

 道立学校の普通教室の冷房整備率は、昨年秋の1・5%から、100%に至ったことは、関係機関の努力の表れとして高く評価をしているが、簡易型空調施設では、暑さ対策としては十分ではないとの声も届いている。

 道教委として、暑さ対策に関する学校現場の声をどのように受け止められているのか。また、今後も続くであろう高温化に対しては、空調施設の整備促進などを進めていく必要があると考える。今後、道教委としてどのように取り組んでいくのか伺う。

A中島教育長 学校における暑さ対策について。道教委では、昨夏の猛暑を踏まえ、長期休業期間の見直しや、熱中症対応マニュアルの改訂を行うとともに、全ての道立学校の普通教室に簡易型空調機器を設置し、サーキュレーターの併用といった効果的な運用について助言するなど、ソフト、ハードの両面から暑さ対策を講じてきたところである。

 学校からは、気温の状況によっては冷却効果が低い場面がある、教室内に40人の生徒がいるときは効果が小さいといった意見が寄せられるなど、必ずしも暑さが解消されないケースもあったところである。

 このため、道教委としては、空調機器のより効果的な利用方法や、本年度発生した熱中症事案の要因などを各学校に周知するとともに、空調設備については、特別支援学校における整備を優先的に進め、高校については、大規模改造工事等に合わせて整備するなど、引き続き、児童生徒の命や健康を守る観点から、学校における暑さ対策の充実に取り組んでいく。

◆スポーツ機会充実

Q荒当議員 中体連などについては、一部競技で大会を取りやめる方向が示される中、本道の児童生徒にスポーツを一層楽しんでもらうためには、身近な部活動の充実に加え、国内のトップアスリートに触れることのできる機会を確保することが必要ではないかと考える。

 プロスポーツについては、拠点が道央圏に集中しており、地方に住む児童生徒にとってトップアスリートと接する機会は多くないことから、学校におけるスポーツ機会の充実に向けた取組を進めるべきと考える。道教委の所見を伺う。

A中島教育長 スポーツに親しむ機会の充実について。子どもたちが、卓越した技術を持つトップアスリート等と触れ合う中で、運動の多様な楽しみ方やできる喜びを味わうことは、望ましい運動習慣や体力向上等につながるものと認識している。

 このため、道教委では、前年度から、元プロスポーツ選手やオリンピアンなどのアスリートを羽幌町や新得町、豊浦町など各地域の27の学校に派遣してきたたほか、プロフットサルチーム・エスポラーダ北海道との協定に基づき、12管内の48の小学校における出前授業の実施に協力するなど、子どもたちとアスリートが直接触れ合う機会を提供してきた。

 道教委としては、本道の子どもたちが、住んでいる地域にかかわらず、スポーツの楽しさや意義などを実感できるよう、引き続き、スポーツ関係団体やプロチーム等の協力も得ながら、より一層スポーツに親しむ機会の創出や、豊かなスポーツライフを実現することができるよう取り組んでいく。

(道議会 2024-11-20付)

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