道議会質疑 一般質問(9月13日)(道議会 2024-11-15付)
【Q 質問Question A 答弁Answer P 指摘Point out O 意見Opinion D 要望Demand】
【質問者】
▼安住太伸議員(自民党・道民会議)
▼笹田浩議員(民主・道民連合)
【答弁者】
▼鈴木直道知事
▼濱坂真一副知事
▼中島俊明教育長
◆創生総合戦略
Q安住議員 国が7月に公表した住民基本台帳に基づくことし1月時点での人口動態をみると、外国人を除く道内人口が、前年に比べ約5万6000人減のおよそ503万人となり、500万人の大台を割り込む瀬戸際にあることが明らかとなった。今後も人口の減少傾向は避けられないと言われており、こうした状況をどのように反転させていくのか、その戦略が問われる。
知事は、次期創生総合戦略策定に当たって、本道からの人口流出を反転させるため、どのような東京一極集中是正対策が必要と考えており、その中で、国が果たす役割をどのように認識し、今後どのように対応していく考えなのか伺う。
A鈴木知事 人口減少対策について。今後も長期的に人口の減少が見込まれる本道において、道外への転出を抑制し、本道への人の呼び込みや定着を図ることは極めて重要であることから、地域特性を生かした雇用の創出や、若者をはじめとする地域への愛着心の醸成、首都圏からの本社機能の移転や企業の誘致、さらには、U・I・Jターンや、移住、定住の促進といった社会減対策の様々な取組が必要である。
このため、道では、人口減少の緩和と人口減少社会への適応の観点から、自然減対策はもとより、GX金融・資産運用特区の指定等も追い風とした、豊富な再生可能エネルギーなどの本道の優位性を生かした企業誘致や本社機能の移転のほか、外国人との共生社会の形成といった社会減対策の充実を図るなど、一人ひとりが豊かで安心して住み続けられる地域の実現を目指し、より実効性のある施策が展開できるよう、次期創生総合戦略の策定に向け、検討を進めているところである。
道としては、人口減少問題は、わが国最大の戦略課題であり、国において、東京一極集中や雇用機会等の大都市部への偏在の是正、地方部の人口流出の緩和などの対策について、大規模災害等のリスクの観点などからも、一層強化すべきであるとの認識のもと、全国知事会や、地方創生のために、共に行動する知事有志とも連携し、政府の強力なリーダーシップによる、大学や企業の本社機能等の分散など、必要な対策の実施について、国に一層強く働きかけを行っていく。
◆子ども施策
Q安住議員 第2回定例会で、知事は、新たな子ども基本条例の制定と北海道子ども計画の策定に向けて早急に検討を行う旨の答弁があり、先の委員会にそれぞれの骨子案が示された。
条例の骨子案には、法の規定に加え、道独自に保護者や学校関係者、子ども支援団体等の責務を定めることや、基本的施策として、子どもの社会参加や子どもの居場所づくり等を盛り込むとしている。どのような考え方で規定することとしているのか伺う。
また、子ども計画の骨子案には「北の大地☆子ども未来づくり北海道計画」など、関連する三つの計画をまとめ、六つの基本方針のもと、主な取組の方向性が示されている。
先の定例会では、知事から、これまでの取組について点検評価を行うとともに、こども施策審議会から意見を伺うなどして検証するとの答弁があった。どのような検証や議論が行われてきたのか、また、当事者である子どもや若者をはじめ、道民の意見をどのように反映して具体的な計画内容を策定するのか、併せて所見を伺う。
A鈴木知事 子ども施策の推進について。本道の少子化の流れを変え、様々な環境に置かれた子ども一人ひとりを大切にし、その成長を後押しするためには、新たな条例の制定によって、子ども施策を総合的に推進し、本道の子どもたちが将来にわたって幸せな生活を送ることができる、こどもまんなか社会の実現を目指すという、道の基本的方向性を道民に分かりやすいメッセージとして発信していく必要があると考えている。
そのために、まずは、未来を担う子どもたちの視点に立ち、その声をしっかりと聞き、道として施策への反映を検討し、子どもたちが社会に参画していると実感できる環境をつくるとともに、子どもを取り巻く様々な関係者が連携し、それぞれの責務や役割を果たすことで、社会全体で子どもの育ちを支えることが重要であるとの考えのもと、今般、条例の骨子案を示したところである。
また、本年度策定する北海道子ども計画は、少子化対策はもとより、青少年の健全育成や、子どもの貧困に関するこれまでの取組について、点検評価をした上で策定することとしており、先般、道こども施策審議会において、各施策の取組実績や数値目標の達成状況、施策の効果や課題などについて評価いただいたところ。
審議の中で、例えば、子どもの食の支援など、酪農、農業が盛んな北海道らしい取組を盛り込むなどの工夫をしてほしいといった、意見をいただいた。
さらに、条例や計画の策定に当たっては、道議会での議論や審議会に加えて、道内の小・中・高校を訪問し、子どもたちと意見交換するなどの取組を進めているところである。
道としては、新たな条例や計画に基づき、道の各部が展開する子ども施策を全庁一丸となって推進することによって、本道の子どもたちが、置かれた環境にかかわらず、健やかに成長でき、道民誰もが安心して子育てができる社会の実現に向けて、検討を進めていく。
◆教育大綱改定
Q安住議員 道は、8月5日に開催した北海道総合教育会議に北海道総合教育大綱の改定骨子案を示し、改定に向けた議論を進めている。
現行の大綱では、基本理念として、本道が持続的に発展していくため、前例にとらわれない新たな発想や行動力を持つ人材が求められていること、グローバル化、情報化の進展に伴い、多様な国籍を持つ方々との協働や、AIをはじめとする情報通信技術などの活用といった将来展望も語られており、こうした変化を踏まえ、将来を担う子どもたちの可能性を引き出す教育推進の必要性が盛り込まれていたが、道が示したこのたびの骨子案には、こうした考え方は記載されていない。
グローバル化や、AIをはじめとする情報技術の発展に対応できる人材の育成は、まさに時宜を得た視点であり、次期教育大綱の基本理念として極めて重要なものと考える。
道は、子ども政策といった国の最近の政策動向に歩調を合わせるばかりでなく、本道にとって、どのような理念を持って教育政策を推進することが必要なのか、原点に立ち返って、現行の総合教育大綱の改定を検討すべきと考える。知事の見解を伺う。
A鈴木知事 総合教育大綱の改定について。現在の大綱は、深刻化するいじめや不登校、学校における働き方改革、頻発する大規模災害を踏まえた防災教育の必要性の高まりなど、教育を取り巻く環境の変化を考慮の上、策定したものであり、現大綱で示しているグローバル化や情報化への対応などについては引き続き重要と考えている。
一方で、4年前に現大綱を策定して以降、この間、成年年齢の引き下げやDXの進展など、さらなる環境変化があったほか、国において教育振興基本計画の改定やこども大綱が策定されたことを踏まえ、このたび総合教育大綱を改定することとしたところである。
大綱の改定に当たっては、こうした社会情勢の変化や国の動きに加え、全国を上回るスピードで人口減少や少子・高齢化が進み、広域分散型で人口の偏在や市町村間の格差拡大が見込まれるといった本道特有の課題も踏まえ、学びと育ち、両方の政策の緊密な連携を図る観点から検討を進めている。
道としては、年度内の大綱改定に向け、このたびの議会での議論や指摘、子ども向けも含めて実施するパブリックコメントなど、広く聴取した意見も踏まえながら、基本理念と基本方針とともに、より一層充実した内容の大綱となるよう、総合教育会議において、さらなる協議、検討を進めていく。
◆道立広域公園
Q安住議員 昨年7月、釧路圏の白糠町泊別地区を道内12ヵ所目の道立広域公園の候補地として決定した。また、新規公園整備に当たっては、官民連携の取組を重視し、民間事業者へのサウンディング型市場調査を行うなど、新たな道立公園の整備に向けた検討を進めている。
新たな道立広域公園の整備は、知事公約でもある以上、スピード感を持って、早期の事業着手に向け、取組を進める必要があると考える。
道は今後、新規道立広域公園の整備をどのように進めていく考えなのか伺う。
A鈴木知事 新たな道立広域公園の整備について。多くの皆さんに道立広域公園を積極的に利用していただくためには、地域住民の皆さんや関係機関の意見を広く伺い、利用される方々の様々なニーズに柔軟に応えられるよう、公園のコンセプトや主要な施設などを検討することが重要と認識している。
このため、道では、白糠町泊別地区を候補地とした釧路地域の道立広域公園の検討を進めるに当たって、昨年7月には、新たな公園に求められる施設について、近隣の道立公園において利用者の方々への聞き取り調査を行ったほか、昨年9月には、民間活力やノウハウの導入についてサウンディング型市場調査を実施したところである。
今後、道としては、釧路地域において、商工会や観光協会などと連携し、ワークショップやアンケートを行うほか、小学生から対面で意見を聞くとともに、自治体の意見も伺い、新たな道立公園の事業化に向けて、公園のコンセプトや主要な施設に加え、サウンディング型市場調査の結果を踏まえた官民連携の方向性などを盛り込んだ基本構想を本年中に策定していく。
◆GIGA第2期
Q安住議員 GIGAスクール構想によって、2年度以降、道内においても、全ての市町村で1人1台端末の整備が進み、この間、学びの保障や個々の意欲を伸ばす目的で端末が有効に活用され、個別最適な学びや、協働的な学びの充実が図られてきたものと受け止めている。
その一方で、必ずしもICTの活用が進んでいない学校や、成果が十分には現れていない学校も見られるなど、取組に差が生じているケースもあると承知しており、これまでの取組を継承し、発展させるGIGAスクール構想第2期を迎えるに当たって、学校における効果的なICT活用のさらなる推進に向けた教員の指導力向上や活用好事例の積極的な発信が必要と考える。
また、ICTを活用した子どもたちの情報活用能力の育成に当たっては、情報化社会の危険性やその対処法など、情報モラルを正しく認識し、適切に活用できるよう、保護者とも共通理解に立ち、しっかりと指導することもまた欠かせない。
今後、道内の自治体が参加する共同調達による1人1台端末の着実な更新を進めるとともに、各学校において、ICT環境を活用した学習活動を通じ、子どもたち一人ひとりの学びの状況に応じた学習活動を深めていくため、どのように取り組んでいくのか、教育長に伺う。
A中島教育長 GIGAスクール構想の推進について。2年度以降、児童生徒の1人1台端末の配備が進められ、本道の小・中学校においては、授業でICT機器をほぼ毎日活用した学校の割合が全国平均を上回る約8割となるなど、情報機器を活用した学習活動の定着が図られてきているが、ICTを活用する指導の在り方に課題が見られるケースもあるところである。
道教委としては、本年度から始まった端末の更新について、各市町村の協力のもと、共同調達を円滑に進めるとともに、クラウドを活用した効果的な指導事例や成果を全道の学校に普及するほか、情報技術を利活用する際の利便性やリスクに関する指導を含め、児童生徒自身が、ICTの特性や強みを生かし、自由な発想で適切に活用することで、個に応じた学習活動を深めるとともに、全ての学校で、ICTの普段使いによって、子どもたちが、多様な人との関わりによって、学習活動を通じて相互に学びを深め合っていくことができるよう取り組んでいく。
Q安住議員 GIGAスクール構想のもとで整備されたICT環境を活用し、業務の効率化を図り、教員の働き方改革を進めるためにも、校務のDX化推進は不可欠となっている。
国の調査でも、校務のDX化に向けた道内の取組には自治体や学校間で大きな差が見られることから、保護者との連絡手段のデジタル化や、他府県でも進むAIを活用したデジタル採点システムの導入など、校務のDX化に、より積極的に取り組むべきと考える。
道教委として、今後どのように取り組んでいくのか、教育長に伺う。
A中島教育長 校務のDX化について。校務DXを推進することは、教育活動の高度化や効率化を図るだけではなく、学校を魅力ある職場にするために極めて重要であり、教職員が、学校の内外など場所にとらわれず、校務を処理することや、大規模災害時にも業務を継続するためには、強固なセキュリティー対策のもと、主要なシステムのクラウド化に向け、積極的に検討を進めていく必要がある。
このため、道教委では、校務DXを加速させるため、新たに庁内横断的な組織を立ち上げ、情報連絡ツールやデジタル採点システム、生成AIの利活用のほか、教育データを集約し、分析、可視化する仕組みの構築など、望ましい校務処理の在り方を検討することとしており、教職員の働き方や学習指導、学校経営の大きな変革に向け、教職員の情報リテラシー向上を図りつつ、民間の知見なども活用しながら、校務のデジタルトランスフォーメーションを実現するための取組を進めていく。
◆暑さ対策推進
Q安住議員 昨年、熱中症警戒アラートが道内全域に発表され、教育活動中に児童生徒が熱中症で救急搬送されるケースが相次いだ。
こうした気候変動に伴う大きな状況変化を踏まえ、道教委では、長期休業期間の総日数を増やすことができることとしたほか、暑さ指数に基づいて体育活動や部活動の実施の可否を判断する取り扱いを徹底するなど、ソフト面の対策を講じるとともに、全ての道立学校に簡易型空調機器を整備するなど、ハード面での学校の暑さ対策を進めてきたと承知している。
今夏も、学校において児童生徒が熱中症で救急搬送される事例が8月末現在で17件発生しており、子どもの健康と安全を守るため、より実効性のある熱中症対策を講じることが、強く求められている。
道教委としては、簡易型空調機器の設置や長期休業期間の増加などによる、今年度の学校における暑さ対策の取組について、どのように検証、評価しているのか。
また、近年の気象状況を踏まえると、今後も夏の厳しい暑さが続くことが想定されるが、道立学校の空調設備の計画的な整備を含め、暑さ対策にどのように取り組んでいくのか、教育長に伺う。
A中島教育長 学校における暑さ対策について。道教委では、昨夏の猛暑を踏まえ、長期休業期間の見直しや、熱中症対応マニュアルの改訂を行うとともに、全ての道立学校の普通教室に簡易型空調機器を設置し、日射の遮へいやサーキュレーターの併用といった効果的な運用について助言するなど、ソフト、ハードの両面から暑さ対策を講じてきたところである。
学校からは、気温の状況等によっては冷却効果が低い場面もあったという意見が寄せられているほか、体育活動や学校行事などで熱中症やその疑いで救急搬送される事案が、前年度に比べ減少したものの、全道で20件程度発生しており、その中には、児童生徒の健康観察等が不十分であったケースも見られたところである。
道教委としては、空調機器の効果的な利用方法や、実効性の高い健康・安全対策、本年度発生した熱中症事案の要因などを各学校に周知するほか、空調設備については、特別支援学校における整備を優先的に進め、高校については大規模改造工事等に合わせて整備するとともに、今後も、国に財政支援を強く要請するなど、引き続き、児童生徒の命や健康を守る観点から、学校における暑さ対策の充実に取り組んでいく。
◆人口減少
Q笹田議員 地方創生10年間の検証報告書で、政府は、現状、「人口減少や東京圏への一極集中などの大きな流れを変えるには至っておらず、地方が厳しい状況にある」、今後は「女性・若者にとって魅力的な、働きやすい、暮らしやすい地域づくりに向けた検討を女性・若者の視点から行っていく必要がある」とした。
道は、道内の女性、若者の現実の声を丁寧に聞き取り、その視点に沿った対策を全道域で講じていく必要があると考える。10年先、20年先を見据えた人口減少対策について、知事の所見を伺う。
A鈴木知事 人口減少対策について。道ではこれまで、北海道創生総合戦略を策定し、本戦略の推進と併せて市町村戦略への支援を行い、本道の地域創生に取り組んできたところであるが、人口の増加や、減少の緩和が見られる市町村が見受けられるものの、全国を上回るスピードで人口減少が続いており、女性や若年層の道外への転出超過といった課題を抱えるなど、依然として大変厳しい状況にあるものと認識している。
人口減少対策は、長期的な視点で取り組む必要があることから、道としては、国立社会保障・人口問題研究所の将来推計等を踏まえるとともに、これまでいただいた女性や若者、地域住民からの意見に加え、子ども世代を含めた多様な意見を丁寧に伺いながら、人口減少の緩和と人口減少社会への適応の観点を踏まえ、次期創生総合戦略の策定に向け、検討を進めているところであり、将来にわたって、一人ひとりが豊かで安心して住み続けられる地域の実現を目指して、実効性のある施策を展開していく。
Q笹田議員 本道は、他の都府県と比べ、ジェンダー・ギャップ指数が最低レベルであり、こうしたことからも、現在、点検が進んでいる地域振興条例については、様々な格差の解消と人権の尊重を大きな柱に据える必要があると考える。知事の所見を伺う。
A濱坂副知事 人口減少問題への対応について。本道においては、女性や若年層の道外への転出超過や札幌圏への過度な集中といった課題を抱えるなど、大変厳しい状況が続いている。
また、前年度、道が行った意識調査では、職場などの男女の地位について、7割を超える女性が男性の方が優遇されていると回答しており、こうした意識面も含め、女性が働きやすく活躍できる環境づくりなどに積極的に取り組んでいくことが重要である。
こうした中、道では、北海道地域振興条例について、社会経済情勢の変化等を踏まえ、地域振興施策が効果的に実施されているかなどの観点から点検を進めており、地域振興分野に幅広い知見を持つ有識者から成る地域振興条例検討懇話会においては、女性が地域にとどまるためには、女性がその能力を生かして働けることが重要といった意見もいただいているところ。
道としては、こうした観点を含め、誰もが安心して暮らすことのできる地域社会の実現に資するよう、さらなる地域振興施策の充実に向け、検討を進めていく。
Q笹田議員 次期戦略の策定プロセスにおいて、有識者ばかりではなく、若者、女性による会議体を、しかも振興局ごとに設けて議論を深めるなど、具体の意見聴取の場を道として設けるべきだと考える。所見を伺う。
A鈴木知事 道ではこれまで、首都圏へ転出した若い世代へのアンケート調査や、高校生や大学生によるグループディスカッション等を実施するとともに、振興局を通じて、地域おこし協力隊などの若者や女性経営者など様々な立場の方々から意見を伺い、その結果を基に、男女別の意識の違いや個別の意見を把握、分析するなど、現行の創生総合戦略の検証を行ってきたところである。
道としては、次期戦略の検討に当たって、こうした検証結果等を踏まえるとともに、振興局を中心として、様々な機会を通じ、若者や女性を含め、地域の方々の意見をきめ細かく伺うなど、多様な意見の把握に努めていく。
Q笹田議員 地域振興条例における誰もが安心して暮らすことのできる地域社会の実現に関わり、男女等格差の解消、人権意識の醸成が重要な視点として位置付けられるべきだと考える。再度、知事の所見を伺う。
A鈴木知事 本道においては、女性の道外への転出超過が続いており、道内への定着を図るためには、男女平等参画の推進や、女性が働きやすく活躍できる環境づくりなどに積極的に取り組んでいくことが重要である。
また、人権の尊重については、最大限尊重されなければならない普遍的理念であり、地域振興施策の推進に当たっても、念頭に置いて取り組んでいく必要があるものと認識している。
このため、女性有識者にも参画いただいている地域振興条例の検討懇話会において、こうした観点を含め、意見を伺うなど、誰もが安心して暮らすことのできる地域社会の実現に資するよう、引き続き、地域振興施策の充実に向け、検討を深めていく。
Q笹田議員 現行戦略の検証から、人口減少を食い止めるための何か具体的な成果を見込めるような目玉的な施策があるのか、伺う。
A鈴木知事 道としては、現行戦略の検証結果を踏まえ、次期創生総合戦略の策定に向けて、結婚や出産、子育ての希望をかなえるための環境整備や、多様な人材を引きつける地域づくり、食や観光、再生可能エネルギーなどの本道の潜在力を生かした産業、雇用の創出など、北海道創生協議会などの意見も伺いながら、自然減・社会減対策の両面から実効性ある施策の検討を進めていく。
Q笹田議員 地域における男女格差の解消に資する議論を深めていただくための仕掛けについて、知事の所見を伺う。
A鈴木知事 転出超過が続く女性の道内定着を図るためには、様々な場面における男女平等参画の推進や、女性が活躍できる環境づくりが重要である。
引き続き、地域振興条例の検討懇話会において、こうした観点を含め、意見を伺うとともに、市町村や地域の関係者による会議など様々な機会を通じて、若者や女性を含めた地域の方々の意見をきめ細かく伺いながら、地域振興施策の充実、推進に向けて検討を進めていく。
◆北方領土
Q笹田議員 道では、新たな取組として、オンライン講座や元島民2世、3世と根室管内の高校生との交流などの、若い世代への啓発活動の強化を図るものの、北方領土問題は全国民の問題だという認識が低迷している以上、全国の教育機関との連携を積極的に進めるよう、国に要請するべきである。さらなるメディアの活用、元島民のかつての暮らしぶりを、直接、国民に伝える役割を担う語り部の育成に力を入れるべきである。知事の所見を伺う。
A鈴木知事 北方領土返還要求運動について。元島民の皆さんの高齢化が進む中、粘り強く返還要求運動を進めていくためには、特に若い世代の北方領土問題に対する関心を高め、幅広い年代の多くの方々に運動に参加していただくことが重要である。
このため、道では、国に対し、学校教育の現場における北方領土教育の充実を要望するとともに、教育庁と連携した小・中学校における北方領土学習や、若い世代を対象としたSNSなど多様なメディアを活用した情報発信、さらには、北方領土の語り部を育成するため、千島連盟と連携し、研修の実施や講演の機会の確保などに取り組んでいる。
北方領土を行政区域とする道としては、今後とも、返還に向けた世論を喚起し、国民一丸となって政府の外交交渉を後押しするため、関係団体と連携し、若い世代をはじめ、多くの方々に対する幅広い啓発活動を先頭に立って展開するなど、返還要求運動に取り組んでいく。
◆働き方改革
Q笹田議員 教員の成り手の確保が深刻な現状を受けて、教職調整額を引き上げる具体的な案が示された。
労働としての対価としての今回の提案について、どのような認識を持っているのか、質の高い教員の確保に十分つながると考えているのか、教育長の所見を伺う。
A中島教育長 教員の処遇改善について。文部科学省においては、教員が、未来を切り開く人材の育成という、極めて複雑で困難な職務を担っていることなどを踏まえるとともに、業務の複雑性、困難性が以前より増大し、教員不足の課題等も指摘される中、優れた人材を確保する必要性が一層高まっている状況等に鑑み、教職調整額を現行の4%から大幅に引き上げ、13%とする予算案を来年度の概算要求に盛り込んだものと認識している。
道教委としては、質の高い教員を確保していくためには、教職の重要性などを踏まえた処遇の改善と併せて、学校における働き方改革の着実な推進や、教職員定数の改善などによる学校の指導・運営体制の充実に加えて、教職の魅力発信による教員志願者確保の取組の強化など、学校や教員を取り巻く環境の整備を一体的、総合的に推進していく必要があると考えている。
Q笹田議員 中教審答申の中では「多様化・複雑化する課題と新たな学びへの対応」として、中学校を含め、学校の望ましい教育環境や指導体制の構築が必要とされている。
道はこれまで、道独自の措置として、国のスケジュールを1年前倒しして小学校の35人学級を実現してきた。また、中学1年生の一部についても35人学級としてきている。道としての独自性を大いに評価するし、本年度をもって小学校では全ての学年で35人学級が実現する。
一方、全国では道以上の対応をしている自治体もある。文科省調査では、一部の学校を対象とする場合を含め、全年度、小学校で30人以下の学級を編制していたのは20自治体となっている。中学校では、30人以下が5自治体、31人から34人学級が5自治体、35人学級が53自治体と、独自の取組も進んでいる。
道内小・中学校への今後の少人数学級編制に対する教育長の所見を伺う。
A中島教育長 少人数学級編制について。少人数学級は、主体的、対話的で深い学びの実現や、教員が児童生徒一人ひとりに向き合う時間を確保し、きめ細かな指導を行う上でも効果があると認識しており、学校からも、子どもに目が行き届く、個別相談の時間が確保できたなどと伺っている。
一方で、小・中学校におけるさらなる少人数学級編制の拡大には大幅な定数改善が必要となるが、現在、国では、小学校の35人学級の整備を計画的に進め、効果の検証結果を7年度中に取りまとめることとしていることから、道教委としては、定数改善に向けた動向を注視しながら、国に対し、改善が行われるよう、強く要望していく。
Q笹田議員 学校改革のさらなる加速として、教育委員会は、まずは、時間外在校等時間が月80時間超えの教師ゼロ、全ての教師が45時間以内を目標としている。
現時点での達成状況および次年度へ向けた業務削減の加速について、教育長の所見を伺う。
A中島教育長 道教委では、アクション・プランに基づき、ICTを活用した校務の効率化の推進や教頭等の業務の縮減などを重点的な取組に位置付け、プランの目標達成に向け、働き方改革を進めてきているが、前年度における時間外在校等時間の状況は、改善傾向にあるものの、小学校では36%、中学校および高校では55%、特別支援学校では25%の教員が、目標としている年360時間を上回っている状況である。
道教委としては、より実効性のある取組を進めるためには、現場の声に即した業務改善が重要であると考えていることから、これまで、業務負担の実情や業務改善に向けた提言などについて教職員と直接対話を重ねてきたところであり、今後、対話を通じて得られた声を踏まえた業務の精選や効率化などを着実に進め、教員一人ひとりが実感できる働き方改革の取組をさらに加速していく。
Q笹田議員 依然として、義務校では半数が年間360時間以上の在校等時間となっている実態であり、取組が遅れていると言わざるを得ない。
既に、道教委が実態調査を始めてから6年が経過している。長時間労働は改善傾向にあるとのことだが、改善のスピードは遅過ぎる。
山形県では、新採用者に1年間担任を持たせず、副担任として授業を行いながら、学級経営や授業づくりを学べるよう取り組み、新採用者の休職ゼロを目指すことで欠員による負担増を削減する取組を始めた。
山梨県教委では、前年度から始めた文書半減プロジェクトと題し、学校へ送る文書の量を半数程度に抑え、教頭が文書処理に割く時間を1週間当たり3時間も削減できたとしている。
こうした先進事例を積極的に取り入れつつ、道でも大胆な業務削減を行う覚悟が必要である。再度、教育長の所見を伺う。
A中島教育長 道教委では、アクション・プランに基づき、学校における働き方改革を進めてきており、時間外在校等時間には一定の改善が見られるものの、依然として、長時間勤務の教員が多い状況が続いている。
道教委としては、今後、前例や慣習にとらわれない業務の精選など、学校現場の実情に即した業務の見直しを徹底するとともに、教員加配の活用やメンタルヘルス対策の強化などによって新採用教員への支援の充実を図るなど、他都府県における効果的な取組も参考にしながら、実効性の高い取組を進め、学校における働き方改革を加速していく。
Q笹田議員 質の高い教員の確保には、長時間勤務の解消が待ったなしの課題だとの認識があるのであれば、学校現場任せではなく、教育長が具体的な目標を掲げ、業務を大幅に削減すると宣言するなど、抜本的な取組が必要ではないか。再度、教育長の所見を伺う。
A中島教育長 アクション・プランでは、道教委が発出する各種調査業務の見直しや簡易申請システムの活用など数値目標を掲げて取り組んでいるところであり、他都府県における効果的な取組も参考にしながら、学校における働き方改革を着実に進めていく。
◆日本語指導
Q笹田議員 前年度に文科省が実施した調査結果によると、日本語での日常会話が十分にできなかったり、日常会話はできても学習への参加に支障が出ていたりするなど、日本語指導が必要な児童生徒がこの15年間で2倍以上に増えたことが明らかとなった。前年度は全国で6万9123人、2年前の前回調査時よりも1万人以上増加し、過去最多となった。道内においても、前年度246人、2年前と比較して1・8倍の増加となっている。
道教委として、日本語指導が必要な児童への教員の加配措置を行っているが、その数は全道で14人と、対象となる児童と比べ、1割にも満たない状況で、要望のあった学校の半数ほどにしか配置できていない。
今後、日本語指導を必要とする児童生徒に対し、どのような対応をしていくのか、教育長の所見を伺う。
A中島教育長 日本語指導が必要な児童生徒への教育について。本道の公立学校に在籍する日本語指導が必要な児童生徒は、5年度411人で、この10年で約3倍となっており、その母語が20言語以上と多様化する中、各学校においては、子どもたち一人ひとりが、適切な指導や支援のもとで日本における生活の基礎を身に付け、その能力を伸ばしていくことのできる環境をつくることが重要である。
このため、道教委では、日本語指導に必要な教員の加配や非常勤講師の配置、日本語指導協力者の募集、派遣などに取り組んできたほか、日本語指導を担当する教員への研修や携帯型通訳デバイスの貸し出しなどを行ってきたところである。
今後は、現在行っている教員やボランティアの方々を対象とした研修会や、有識者による相談支援のさらなる活用促進を図るとともに、国に対し、引き続き、日本語指導に必要な基礎定数化の着実な推進と、本道の地域事情を踏まえた加配措置を要望するなどして、児童生徒に対する教育の充実が図られるよう取り組んでいく。
P笹田議員 日本語指導が必要な児童生徒への対応については、教職員定数法が改正され、8年度までに各都道府県において基礎定数化することが求められている。18人につき1人という配置基準は、現状を踏まえれば改善が必要であるし、そもそも本道は加配措置とされ、基礎定数化されてもいない。
今後も、日本語指導が必要な児童生徒は増加していくことが容易に予想される。教員やボランティアの配置増など、早急な対応が必要であることを指摘する。
(道議会 2024-11-15付)
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道教委は13日の道議会決算特別委員会で、道ふるさと教育・観光教育等推進事業の実践成果の普及に取り組んでいく考えを示した。指定校では歴史・文化への理解を深め、まちづくりの視点を育む特色ある教...(2024-11-15) 全て読む
道議会質疑文教委員会(9月3日、9日)
Q 質問Question A 答弁Answer P 指摘Point out O 意見Opinion D 要望Demand 9月3日 【質問者】 ▼水口典一委員(北海道結志会) 【答弁...(2024-11-14) 全て読む
道議会特別委(7日) 柔軟な制度導入へ 全国知事会と要望 こども誰でも通園制度
7日の道議会子ども政策調査特別委員会では、7年度から制度化されるこども誰でも通園制度が取り上げられた。 道保健福祉部の中村浩子ども成育支援担当課長は、道内の8市町が制度化に向けた国の試...(2024-11-11) 全て読む
道議会質疑 予算特別委員会(7月2日)
Q 質問Question A 答弁Answer P 指摘Point out O 意見Opinion D 要望Demand 【質問者】 ▼赤根広介委員(北海道結志会) ▼田中英樹委員(公...(2024-10-11) 全て読む
道議会質疑 予算特別委員会(7月2日)
Q 質問Question A 答弁Answer P 指摘Point out O 意見Opinion D 要望Demand 【質問者】 ▼髙田真次委員(自民党・道民会議) ▼鈴木一磨委員...(2024-10-10) 全て読む
道議会質疑予算特別委員会(7月2日)
Q 質問 Question A 答弁Answer P 指摘Point out O 意見Opinion D 要望Demand 【質問者】 ▼木葉淳委員(民主・道民連合) ▼髙田真次委員(...(2024-10-09) 全て読む
3定道議会文教委等(3日) ポータルサイト開設し授業改善 動画資料を収録
3日の3定道議会文教委員会では、6年度全国学力・学習状況調査結果について質疑が行われた。 伊藤伸一学校教育局長は、小学校算数の平均点の全国差が前年度より広がるなど本道の状況に触れ「各学...(2024-10-08) 全て読む
早期の設置支援へ 市町村にヒアリング こども家庭センター
3日の3定道議会子ども政策調整特別委員会では、全ての妊産婦や子育て世帯を対象に切れ目ない支援を行う「こども家庭センター」が取り上げられた。 こども家庭センターは4年度改正の児童福祉法に...(2024-10-08) 全て読む
道議会質疑 予算特別委員会(7月1日)
Q 質問Question A 答弁Answer P 指摘Point out O 意見Opinion D 要望Demand 【質問者】 ▼檜垣尚子委員(自民党・道民会議) 【答弁者】 ...(2024-10-08) 全て読む