道議会質疑 予算特別委員会(7月2日) (道議会 2024-10-10付)
Q 質問Question A 答弁Answer P 指摘Point out O 意見Opinion D 要望Demand
【質問者】
▼髙田真次委員(自民党・道民会議)
▼鈴木一磨委員(民主・道民連合)
【答弁者】
▼中島俊明教育長
▼菅原裕之教育部長
▼山本純史学校教育監
▼伊賀治康総務政策局長
▼伊藤伸一学校教育局長
▼岸本亮高校配置・制度担当局長
▼山城宏一指導担当局長
▼山﨑貴之法制・公務管理担当課長
▼髙田安利高校教育課長
▼手塚和貴高校配置・制度担当課長
▼国安隆健康・体育課長
▼長居成好部活動改革推進課長
◆学校の暑さ対策
Q髙田委員 道教委においては前年度、長期休業期間の総日数の延長や、暑さ指数が31を超えた場合の体育活動の取り扱いなど、ソフト面の対策を行うとした。
昨年の第4回定例会では、長期休業期間の取り扱いの変更等の趣旨について、保護者や地域の方々に説明するとともに、教職員の理解促進を図る旨の答弁があった。この間、どのように進めてきたのか伺う。
A国安健康・体育課長 暑さ対策の周知について。道教委では前年度、学校管理規則や熱中症対応マニュアルを改定し、暑さ対策におけるソフト面の対応として、長期休業期間の見直し、暑さ指数が31を超えた場合の体育活動や部活動の原則中止、熱中症警戒アラート発表時における臨時休業の検討などを示したところ。
また、こうした暑さ対策の趣旨、内容等について、児童生徒や保護者の理解促進を図るため、ことし4月に家庭向けリーフレットを作成し、配布したほか、教職員が暑さ対策の対応等を確実に実施するための校内研修用資料を作成し、各学校に活用を促してきたところ。
Q髙田委員 道教委は昨年、道立学校管理規則を改正し、本年度から、校長が定める夏季および冬季休業日の年間総日数を50日以内から56日以内へ変更し、市町村立学校を所管する市町村教委にも参考として通知した。
本年度の道立学校および札幌市を除く道内の市町村立の小・中学校等の夏季休業期間は、前年度と比べどのようになっているのか伺う。また、冬季休業日を含めた年間の休業期間の状況についても伺う。
A手塚高校配置・制度担当課長 夏季休業期間の状況について。道教委では、学校が所在する地域の気候の変化に応じ、夏季休業日を従来よりも長く設定するなど、柔軟な学校運営を行うことができるよう、昨年11月に道立学校管理規則を改定し、併せて、市町村教委に対しても、改定の趣旨や内容を周知した。
これを受けて、道立学校については、本年度における夏季休業期間の平均日数が29・6日と、前年度比で5・1日長くなり、冬季休業を含めた年間の休業期間の平均日数は53・4日で、前年度比で4・6日長くなった。
また、札幌市を除く公立の小・中学校等については、本年度の夏季休業期間の平均日数が29・1日と、前年度比で2・9日長くなり、冬季休業を含めた年間の休業期間の平均日数は50・7日で、前年度比で1・3日長くなった。
Q髙田委員 道教委では、空調設備について、特別支援学校は本年度から段階的に、また、道立高校については大規模改修等に合わせて整備するとしていることから、今夏に向けて、全ての道立学校で簡易型空調機器が稼働されるよう準備が進められている。機器の契約や納品の状況について伺う。
A国安健康・体育課長 簡易型空調機器の整備状況について。全道立学校の普通教室と職員室、特別支援学校の寄宿舎舎室に設置する合わせて約8000台について、ことし1月から5月にかけて延べ25の事業者と契約を締結し、6月までに全数が納入されてきたところ。
Q髙田委員 3割程度の学校では、窓の構造などから学校での取り付けが困難なケースや、電源が不足する事例があると聞いている。
道教委として、個々の学校の課題をどのように把握し、どのように対応しているのか、整備が終了する見込みを含めて伺う。
A国安健康・体育課長 簡易型空調機器の設置について。各道立学校では、6月末までに簡易型空調機器が納入され、7月中には稼働できるよう作業が進められているが、3割程度の学校で、窓の構造等から職員による取り付けが技術的に困難なケースや、既存の電気設備では電気容量が不足する場合があり、教育局において、各学校の状況を聞き取るなどして対応を検討し、必要に応じて事業者に工事を発注するなど、7月中の設置完了に向け、取組を進めていく。
Q髙田委員 簡易型空調機器は、いわゆるエアコンと比べると冷却効果が限られている。
昨年の第4回定例会では、道立総合研究機構北方建築総合研究所の助言を得て、サーキュレーターの活用など効果的な冷却方法を各学校に指導助言する旨の答弁があった。どのように対応するのか伺う。
A国安健康・体育課長 効果的な冷却方法について。道教委では、エアコンと比較して冷却能力が低い簡易型空調機器を各学校において効果的に使用することができるよう、前年度、道総研に意見を聞き、日射の遮蔽を適切に行うことで一定程度の冷却効果が期待できるとの助言を得たところ。
また、6月10日から21日にかけて、旭川東高校において、道総研の協力を得ながら簡易型空調機器の実証試験を行い、現在、道総研で分析を行っていただいているところであり、その結果を踏まえ、効果的な冷却方法等について、7月中旬をめどに各学校や市町村教委に周知していく。
Q髙田委員 市町村立学校における簡易型空調機器を含めた空調設備の整備状況はどのようになっているのか、また、道教委としては、今後どのように市町村の支援を行っていくのか伺う。
A山城指導担当局長 市町村立学校の状況について。市町村立学校における普通教室の冷房整備率は、エアコンと簡易型空調機器を合わせ、ことし3月末時点が41・2%、7月末時点では78・7%となる見込み。なお、来年3月末時点では89・6%となる見込みである。
道教委ではことし3月、各市町村に対し、作業の参考となるよう、教室内への簡易型空調機器の設置等に関する手引を配布したほか、今後、効果的な冷却方法などを情報提供することとしており、引き続き、小・中学校において暑さ対策が確実に進むよう市町村を支援していく。
Q髙田委員 気象庁によると、今夏は全国的に気温が高いと予想されており、地球温暖化の影響によって、今後も同様の傾向が続くものと思われる。
道教委としては、今夏に向け、どのように学校の暑さ対策を進めるのか、また、今後の暑さ対策をどのように進めていくのか、併せて伺う。
A山本学校教育監 今後の対応について。昨夏の暑さを踏まえて、道教委では、これまで、学校管理規則や熱中症対応マニュアルを改定し、長期休業期間の取り扱いを変更するなど、ソフト面の対策を講じてきた。
また、ハード面の対策として、全ての道立学校に簡易型空調機器を設置し、ことしの夏までに運用できるよう整備を進めてきたところ。
今後は、暑さ指数が31を超えた場合の体育活動や部活動の原則中止や、熱中症警戒アラート発表時における臨時休業の検討が確実に行われるよう指導助言するなどして、各学校における暑さ対策の徹底を図り、子どもたちの命や健康を守る教育環境の整備に努めていく。
◆部活動地域移行
Q髙田委員 道教委は昨年3月、北海道部活動の地域移行に関する推進計画を策定し、5年度から7年度までの3年間、公立中学校の休日における部活動の地域連携や地域クラブ活動への移行の取組を重点的に行い、地域の実態などに応じて可能な限り早期の移行を目指していると承知している。
部活動の地域移行の目的について伺う。
A伊藤学校教育局長 地域移行の目的について。部活動の地域移行は、生徒の望ましい成長を保障できるよう、地域の持続可能で多様な環境の一体的な整備によって、地域の実情に応じてスポーツ・文化芸術活動の最適化を図り、体験格差を解消することを目指すものである。
道教委では、学校の部活動では支え切れなくなっている中学生のスポーツ・文化芸術環境について、今後は、学校単位から地域単位での活動に変えていくことによって、将来にわたって本道の子どもたちがスポーツや文化芸術に継続して親しむことができるよう、環境を整備する必要があると考えている。
Q髙田委員 市町村におけるこれまでの取組状況について伺うとともに、前年度と本年度における国の実証事業の活用状況について伺う。
A長居部活動改革推進課長 市町村の取組状況について。道内においては、現在、6割を超える市町村で地域住民や関係者等で構成する部活動の地域移行に向けた検討協議会が設置されているほか、2割を超える市町村で、実際に休日における地域クラブ活動が行われている。
また、国の地域クラブ活動への移行に向けた実証事業を活用した自治体は、前年度が19市町村、本年度が27市町村であり、これらの自治体では、地域移行に向けた運営団体の体制整備や、学校との連絡調整を担うコーディネーターの配置、地域住民を対象にした説明会の開催などを行っている。
Q髙田委員 前年度、市町村が活用した国の実証事業で得られた成果や課題について伺う。
A長居部活動改革推進課長 実証事業の成果などについて。部活動の地域移行に向けた運営団体の体制整備や地域住民を対象とした説明会の開催など、実証事業を行った市町村からは、地域クラブの体制を学校と地域が一体となってつくることができた、コーディネーターを配置したことによって、学校や競技団体との連絡調整等を円滑に行うことができた、協議会や住民説明会を開催し、地域住民の理解が進んだなどの成果があったと聞いている。
一方、課題としては、指導者や財源の確保が困難、保護者の費用負担軽減が必要、近隣市町村との連携が必要などの意見が寄せられたところ。
Q髙田委員 地域移行を進めるに当たっては、市町村の財政事情等で地域間格差が生じることのないよう、全ての子どもたちにスポーツや文化芸術に親しむ機会を確保していく必要があると考える。
今後どのように取り組んでいくのか伺う。
A中島教育長 今後の取組について。道教委では、部活動の地域移行を着実に進めるため、地域の実情に応じた提案や助言を行うアドバイザーの派遣や指導者の人材バンクの整備を進めるほか、引き続き、近隣市町村間の調整などの課題解決に向けた助言や、地域クラブとの連携の在り方の先進事例の提供などを行うこととしている。
また、地域のスポーツ・文化芸術環境の安定的な維持のためには、市町村に対する国の継続した財政支援が不可欠であることから、今後も、全国都道府県教委連と連携し、必要な財政措置等について国に強く要望するなど、全ての市町村において地域移行に向けた体制整備が進むよう支援していく。
D髙田委員 部活動については、生徒たちが様々な経験を通して大きく成長できる貴重な機会を提供する場であり、希望する生徒たちが地域や家庭環境に左右されずに活動に参加できる持続可能な制度設計、環境整備に向けた取組が進められるよう、実証事業の検証や国への要望を今後もしっかりと行っていただきたい。
◆高校配置計画
Q鈴木委員 公立高校の配置計画について、配置見直しの決定経過等について伺いたい。例として、6年度の北見商業高校の一般出願倍率は、各定員40人に対し、商業科が1・19倍、流通経済科が1・44倍、情報処理科が1・23倍であり、ことし1月の当初出願では、流通経済科が2・0倍まで突出した時期もあった。
しかし、9年度の高校配置計画案において、北見商業高の学級数を1減とする方針が示された。
商業学科の出願者が多いのになぜそうなったのか。高校配置計画案は、誰がどのように調査して決めているのか、決定の過程について伺う。
また、地域で学校の増減がなく、出願倍率が高い高校が学級減となる理由について伺う。
A手塚高校配置・制度担当課長 公立高校配置計画について。計画の策定に当たっては、毎年度、学区ごとに、中卒者数の状況や生徒の高校進学の動向、高校の欠員状況などを年度当初に調査するとともに、計画案公表前の4月と公表後の7月に地域別検討協議会を開催し、地域の意見を伺いながら検討を進めてきている。
北見市内の学級減については、6年度との比較で、市内で90人程度の中卒者数の減少が見込まれる、北見市内における工業科、商業科といった職業学科全体で欠員が継続している、建設業等の担い手不足が社会的な課題となっているなどの状況を踏まえ、北見商業高を1学級減とする案を示したところである。
Q鈴木委員 高校配置で再編整備の対象となった地域の説明会においても、情勢論や曖昧な理由説明で終始する場面もあり、緻密なデータ検証に基づいていないのが実態である。
例えば、一定期間の新規入学者数見込みや地域中卒者の志願傾向等を数値化しながら、当該市町村教委の了承を得た場合に募集停止とするなど、再編整備の基準を細かく条件化、明示化して公表し、透明性や納得性に裏打ちされた高校配置計画とする制度設計とすべきではないのか。学級減も含めて、再編整備基準の条件化、明示化について所見を伺う。
A手塚高校配置・制度担当課長 再編整備の基準について。「これからの高校づくりに関する指針」改定版においては、第1学年1学級の高校について、地域連携校以外の高校は、第1学年の在籍者数が2年連続で20人未満となった場合に再編整備、地域連携校は、2年連続で20人未満となった場合、再編整備を留保するが、集中取組期間中に2年連続で10人未満となった場合に再編整備という基準を設けている。
一方で、第1学年1学級以外の高校については、特段の基準を定めておらず、各学区における高校進学希望者数に見合った定員を確保することを基本とし、中卒者数の状況、生徒の多様な学習ニーズ、生徒の進路動向、定員調整の経過や、学校、学科の配置状況、私立高校の配置状況などを総合的に勘案して配置計画を策定しているところ。
Q鈴木委員 配置計画の策定に当たって、地域の事情はどのように考慮されるのか伺う。
また、学校配置は、地域存続やまちづくり、いわゆる地方創生との連動が重要と考えるが、併せて所見を伺う。
A岸本高校配置・制度担当局長 学校配置の考え方について。道教委では、毎年2回、配置計画案公表前の4月と公表後の7月に地域別検討協議会を開催し、さらに、一定圏域単位で、関係市町村の参画を得ながら、高校の役割分担や具体的な配置の在り方を協議するなど、地域の意見を丁寧に伺いながら配置計画を検討している。
知事が策定する北海道総合教育大綱において、地域創生の視点を踏まえた特色ある高校づくりを掲げており、また、道教委における「これからの高校づくりに関する指針」改定版においては「地域とつながる高校づくり」の項目の中に、地域と密接に結び付いた取組の推進を掲げ、地域創生の観点からも地域と連携・協働し、生徒から選ばれる魅力ある高校づくりを推進する必要があることを示している。
Q鈴木委員 留辺蘂高校の募集停止においては、計画決定後、旧留辺蘂町唯一の公立高校として、保護者や住民など地域ぐるみで支援し、5年度入学者数が22人で募集定員の半数以上となった。
特色ある校風や地域の努力によって、今後、入学者数が増えることも想定されたが、計画どおり、6年度募集停止となった。
配置計画の変更について、配置計画を策定したあとに、急激な中卒者数の増減、市町村立や私立高校の設置、廃止によって生徒の進路動向に大きな変動が生じた場合などは計画を再検討するとしているが、この「など」という表現が非常に曖昧で、ほかにどのような場合に計画が再検討されるのか伺う。
また、計画変更についても、具体的な条件例示に努めるべきと考える。
再度、あらためて所見を伺う。
A岸本高校配置・制度担当局長 計画変更の条件について。道教委では、毎年度、計画を策定したあと、翌年度以降、計画を策定した際に見通せなかった所在市町村の人口増減によって、急激な中卒者数の増減が生じた場合や、市町村立や私立高校の設置、廃止によって生徒の進路動向に大きな変動が生じた場合などに、必要に応じて計画の一部を変更することとしている。
また、これら以外の計画変更となり得る場合については、大規模災害の発生などによって通学への支障や家計の急変など、計画策定時に想定し得ない事案が生じた場合が考えられる。
Q鈴木委員 5年12月5日付で、北見市留辺蘂町の住民が、留辺蘂高の6年度募集停止の決定の取り消しを求めて、行政不服審査法に基づく審査請求書を道教委宛てに提出したが、道教委は、この請求を棄却ではなく、却下する裁決を行ったと聞いている。
道教委は、審査請求書を受け取ってから、どのような経緯を経て本件を却下するに至ったのか、時系列で事実経過を伺う。
A山﨑法制・公務管理担当課長 裁決等の経緯について。5年12月5日付で、留辺蘂高の6年度募集停止決定の取り消しを求める審査請求があったことを受け、関係法令等に基づき審査を行った上で、6年1月31日、本審査請求を却下する裁決を教育長において専決し、同日付で審査請求人への裁決通知書を発出した。
その後、同年2月8日に、事案の経緯等について教育委員に対して説明を行い、特に異論等はなかったものである。
Q鈴木委員 改正行政不服審査法では、処分を行った機関の上級行政庁が審査庁となる旨が定められているものの、道教委のような行政委員会には上級行政庁がなく、道教委自身が審査庁となって、審査請求の審理を行っているが、処分庁である道教委が審査庁を兼ねることは、行政不服審査法が求める公平審理の趣旨から逸脱する恐れがあるものと考える。所見を伺う。
A山﨑法制・公務管理担当課長 裁決の手続きについて。平成26年に改正された行政不服審査法では、教育委員会を含む行政委員会については、委員で構成される合議体によって、公正かつ慎重に判断されることが制度上、担保されているため、審査請求に際しては、審理員を指名して審理手続きを行わせる必要はないとされている。
道教委においても、法改正を踏まえ、行政不服審査法に基づく棄却および認容の裁決の決定を教育委員会の議決事項とするなどの教育委員会規則の改正を行っており、審査請求に対する裁決等に当たっては、法令等に基づき適切に対応している。
Q鈴木委員 本審査請求に係る却下の裁決を、教育委員会の会議に諮るのではなく、教育長の専決で決定したとのこと。その根拠について伺う。
A伊賀総務政策局長 却下裁決について。行政不服審査法における却下裁決とは、請求期限が終了している場合や、審査請求することについて法律上の利益がないことが明白な場合など、実質的な事案の審査前に形式的な要件などから審査し、当該審査請求が不適法であり、補正できない場合に行うものとされている。
道教委の教育委員会規則においても、事案の内容の審査に至らず、却下裁決を行う場合は、教育委員会の議決ではなく、教育長専決で行うことができることとしていることから、本件についても教育長専決で行ったものである。
Q鈴木委員 行政不服審査法では、審査請求を却下する裁決は、当該審査請求が不適法であって補正することができないことが明らかな時にできる旨が定められている。
この規定では、あくまでも、却下裁決できるとする任意規定であり、却下裁決でなければならないとするものではない。
また、地方教育行政の組織及び運営に関する法律では、教育委員会の所管に属する学校その他の教育機関の設置および廃止に関することは教育長に委任できないものとされており、高校の募集停止に関する今回のような審査請求を取り扱う際、道教委にはその手続きにおいて慎重な判断が求められるものと考える。
これらの法の趣旨に基づき、教育委員会の会議に諮るなど、公平審理の実行を第一義とすべきと考える。道教委が、本審査請求をもって不適法であって補正することができないことが明らかであると判断し、却下裁決を行ったとするその理由をあらためて伺う。
A菅原教育部長 行政不服審査法に基づく審査請求については、行政庁の処分の存在を前提に、その取消しまたは変更を求める制度であり、行政庁の処分とは、その行為によって、直接、国民の権利や義務に影響を及ぼすことが法律上認められているものと解されている。
留辺蘂高の募集停止の予定を含めて、高校配置計画は、特定の道民の権利の制限などをする処分とは言えず、行政庁の処分には該当しないこと、また、審査請求者は、留辺蘂高の統廃合に関して、在校生が留辺蘂高で教育を受ける権利のような法的に保護された個別の利益を有していないことなどから、本審査請求については、必要な要件を満たしておらず、補正することができないことが明らかであるものとして、道教委の顧問弁護士の見解も踏まえ、審査請求の却下に係る裁決を教育長の専決で行ったものである。
Q鈴木委員 行政不服審査に当たらないのであれば、道の教育行政への不満や不安の声はどこで聞いてくれるのか、伺う。
A菅原教育部長 高校の募集停止に伴う要望等について。高校配置に係る各地域などからの意見や要望については、道教委として、今後とも丁寧に伺っていく。
Q鈴木委員 道教委は、高校存続の可能性があるとの立場から、普通科から総合学科への学科転換を推奨し、その結果、留辺蘂高は総合学科へ転換した。
その後、文科省初等中等教育局通知で、総合学科の設置など、各設置者および各学校の創意工夫による高校教育の個性化、多様化を推進するよう通達しているにもかかわらず、道教委は「これからの高校づくりに関する指針」の改定において、何ら特別の対策を講じず、普通科同様に扱い、機械的に募集停止したとの話を聞いている。
留辺蘂高に対して、総合学科への支援としてどのようなことが行われたのか、その内容と成果について伺う。
A髙田高校教育課長 総合学科への支援について。道教委では、留辺蘂高における平成12年度の総合学科への転換以降、地域の特性や生徒の実態等を踏まえた教育活動の充実を図るため、定期的に指導主事等が学校訪問するなどして、開設科目やコースの見直しを助言するとともに、国による教員の加算や、専門的な知識、技術を有する民間非常勤講師を効果的に活用するなど支援してきたところ。
学校からは、多様な進路希望に応じた教育課程の編成、実施などによって、生徒の学習意欲や進路意識が高まった、勤労観や職業観が育成され、将来を見通した進路選択ができるようになったなどが報告されている。
P鈴木委員 そうした成果があったのであれば、留辺蘂高が総合学科として成功している例として、モデル校として残す選択肢もあったのではないか。
ほかにも、総合学科の高校において、特色ある校風によって将来的な新たな可能性を見いだせる高校は、多様で柔軟な教育課程をかなえる上でも、優先して配置、存続させる配慮も必要ではないか。
Q鈴木委員 今後、配置計画によって、ほかの道内公立高校で募集停止等が決定し、今回同様に行政不服審査法等に基づく審査請求が行われる動きが出てくることも想定されるが、そうした場合、道教委には、今回と同じような対応を取るのではなく、地域の要望にしっかりと耳を傾け、公平審理が尽くされるよう、教育行政として最大限努めるべきと考える。所見を伺う。
A中島教育長 今後の対応について。道教委では、高校配置の在り方などについて、地域の保護者や関係者の方々の理解を深めていただくことが何よりも大切であると考えている。
配置計画の策定に際しては、これまでも、毎年2回、地域別検討協議会を開催することに加えて、一定の圏域単位で、関係市町村の参画を得ながら、高校の役割分担や具体的な配置の在り方を協議するなど、地域の意見を丁寧に伺いながら進めてきているところである。
今後とも、行政手続き上の事案が生じた場合には、法令に基づき適切に対応するとともに、高校の配置については、様々な機会を捉え、道教委の考え方を丁寧に説明し、地域の方々と十分協議しながら検討していく。
Q鈴木委員 地域に高校が存在する意義や地域の方々の高校への思いを考えると「これからの高校づくりに関する指針」における再編整備の基準に該当したとしても、高校存続について、地域の総意等がある場合は、地域創生の観点からも高校を存続させるべきと考える。あらためて見解を伺う。
A中島教育長 今後の高校配置について。指針では、第1学年1学級の高校が2年連続20人未満となった場合、再編整備を進めることとしているが、地域連携校については、道教委と地域が連携し、高校の特色化、魅力化に取り組む集中取組期間を設け、再編を留保するなど、可能な限り存続を図っているところである。
道教委としては、高校の再編については、多様で柔軟な教育課程を編成し、生徒の学習ニーズに応えるための学校規模の適正化と、生徒の修学機会の確保や地域創生の観点に立った教育機能の維持の両面から検討を重ねることが必要と考えている。
今後とも、こうした考え方に立って適切な高校配置に努めていく。
P鈴木委員 今は、人口減少を憂うだけではなく、将来消滅市町村が示されるなど、地方自治体の存続を考えなければならない時期にきており、生活形成に必要なまち機能を真剣に考える必要がある。病院や学校がなくなると、住民が減少するのは必至である。
例えば、近い将来において、第1学年の人数要件を基準とするだけでは、都市部への人口流動などによって、例えば、道内19学区のうち、高校が1校もなくなってしまう学区が生じる懸念もある。
全ての学区や単位地域において、修学機会の確保と併せて、地域創生の観点に立った教育機能の維持存続をかなえるよう、責任を持って高校配置をしっかりと考えていただくことを強く指摘する。
(道議会 2024-10-10付)
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