道議会質疑予算特別委員会(7月2日)(道議会 2024-10-09付)
Q 質問 Question A 答弁Answer P 指摘Point out O 意見Opinion D 要望Demand
【質問者】
▼木葉淳委員(民主・道民連合)
▼髙田真次委員(自民党・道民会議)
【答弁者】
▼中島俊明教育長
▼菅原裕之教育部長
▼山本純史学校教育監
▼伊賀治康総務政策局長
▼山﨑義一生涯学習推進局長
▼山城宏一指導担当局長
▼谷垣朗教職員局長
▼伊藤直人社会教育課長
▼髙田安利高校教育課長
▼国安隆健康・体育課長
▼立花博史教職員課長
▼内山史彦働き方改革担当課長
◆定時制における生徒対応
Q木葉委員 道立高校定時制における生徒への対応について、この事案の概要を伺う。
特に、事案発覚後の当該校における生徒、保護者への対応、校内体制について伺う。
A髙田高校教育課長 このたびの事案は、道立高校において、障がいのある生徒に関し、合理的配慮の決定プロセスにおける保護者との合意形成の欠如や、内部文書における診断歴のない病名の記載などがあったものであり、この事案を調査した「道立高等学校の教育活動に係る調査報告書作成会議」の調査報告書において、合理的配慮の決定プロセスの在り方、診断歴のない病名の記載と周知、情報収集および管理の在り方、保護者に対する説明内容の4点が問題点として指摘された。
事案が明らかとなった以後の学校対応の問題点として、校内資料に診断歴のない病名を記載したことや、保護者の同意なしに心理検査を実施したことに関し、保護者に対する説明が誠実さに欠けているという指摘や、校内体制に関し、特別支援教育に関する方針決定等を特定の教諭に委ねる意識があり、管理職として十分な監督機能を発揮し得ずにいたという指摘があった。
現在の校内体制としては、特別支援教育の担当教員を複数名配置するとともに、保護者との協議の場を定期的に設け、合意形成を図っているほか、管理職による事前決裁を徹底し、情報の適正な管理に努めている。
Q木葉委員 なぜこのようなことが起きてしまったのか伺う。
A髙田高校教育課長 問題となっている教諭は、特別支援教育に関して学校を主導する立場にあったことや、20年以上にわたって特別支援教育に従事しており、特別支援教育の担当教員としての経験を積み、障がいのある生徒の対応において優れた手腕を発揮していたことから、校内での信任も厚く、学校の特別支援教育に関する方針決定はその教諭に大きく依存していた。
また、校内分掌についても、多くの校内委員会に所属するなど、校内における多くの重要な役割を担っており、教諭の提案どおりに決定される傾向が強かったことが調査報告書において指摘されている。
Q木葉委員 大きな問題として、報告書では、特別支援教育に関わる豊富な経験、優れた手腕があったと書いてあるが、なぜこのような対応を行ったのか、明らかにされていない。この点について、見解を伺う。
A髙田高校教育課長 保護者との合意形成について。校内で作成された「新入生の対応について」の文書の記載内容として、保護者からの要望を警戒する内容に終始しており、保護者との間で合意形成を行うという発想がなかったことや、また、合理的配慮の決定に際して、むしろ保護者の意向を排除しようとするかのような方針を打ち出しており、学校や当該の教諭は、合理的配慮の決定において、保護者との合意形成を行うことを想定していなかったことが調査報告書において指摘されている。
Q木葉委員 報告書では、当該教諭が取った行動は不適切であるとまとめているが、この一連の対応、行動は不適切の範囲を超えているのではないか。道教委の認識を伺う。
A山城指導担当局長 今回の一連の問題に関し、教員や学校の対応はいずれも不適切であると捉えているが、特に、教諭が診断歴のない病名を校内資料に記載し、教員間で共有した行為は、あらゆる点で著しく適切さに欠けると考えている。
Q木葉委員 今回の事案を受けて、障がいのある、なしにかかわらず、全ての児童生徒の学習権の保障のためにどのように取り組むのか伺う。
A山本学校教育監 まず、このたびの障がいのある生徒への不適切な対応に関して、当該生徒および保護者に多大なる心労をおかけしたことを心よりおわび申し上げる。
道教委としては、障がいのある生徒やその保護者から、学校生活を送る上で配慮を必要とする意思の表明があった場合、その実施に伴う負担が過重でないときは、生徒の状態に応じて必要かつ合理的な配慮をしなければならないという方針のもと、その生徒にとってどのような配慮が必要であるか、最も理解している保護者との間で十分な合意形成を図ることが重要であると考えており、今後においても、全ての生徒が、障がいの有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重しながら共に学んでいくことができる環境を整備していく。
P木葉委員 もしかしたら日々の忙しさの中で心を失っていたのかもしれないが、私は、教育とは、教え育てる、教え育むことだと思う。学校が、子どもたちが教員から愛情に包まれて健やかに成長していける場所となるよう、環境整備をしていただきたい。
◆障がい者雇用促進
Q木葉委員 ことし3月に、本年度のスクール・サポート・スタッフ配置に係る通知が出されている。この通知に、なお、教員業務支援員の任用に当たっては、障害者の雇用の促進等に関する法律の趣旨を踏まえ、障がい者支援団体や就労支援機関などとも連携しながら、各学校の実情に応じ、障がいのある方の積極的な任用に配慮くださいと記載がある。
まず、この一文が記載された経緯について伺う。
A内山働き方改革担当課長 道教委では、障害者の雇用の促進等に関する法律の趣旨を踏まえ、6年度までの5年間を期間とする障がい者活躍推進計画を策定し、障がい者の雇用や働きやすい職場環境の整備などに取り組んでいる。
推進計画では、雇用率2・7%以上を目標として、障がいのある方を対象に教員や事務職員の採用における特別選考の実施のほか、非常勤職員としての採用職種の拡大などに取り組んできたところであり、障がいのある方の雇用をより積極的に進めるため、3年度以降、スクール・サポート・スタッフへの積極的な任用について通知しているところである。
Q木葉委員 本年度のスクール・サポート・スタッフ任用者数と、そのうち、障がい者雇用がどの程度行われたのか伺う。
A内山働き方改革担当課長 任用の実績について。本年度の5月末現在において、スクール・サポート・スタッフとして任用している者は393人であり、障がいのある方の採用実績はない。
Q木葉委員 障がい者雇用の実績が本年度もないということ。その要因をどのように分析、評価されているのか伺う。
A谷垣教職員局長 障がい者雇用につながらない要因について。スクール・サポート・スタッフについては、教員が教員でなければできない業務に注力できるよう、印刷や授業準備の補助など、教員の業務のうち専門的な知識や技能を必要としない業務を担っている。
人材として、保護者や地域の方々、大学生などを活用していることが多くなっているが、そうした方々の中に、就労を希望する障がいのある方が少ないことに加えて、採用に関する情報の提供が限定的であることが要因の一つではないかと考えている。
Q木葉委員 文科省の方針では、スクール・サポート・スタッフについて全校に配置するとしていたが、本年度のスクール・サポート・スタッフに係る国からの予算措置および道内の希望状況と実際の配置状況、配置割合について伺う。
A内山働き方改革担当課長 配置状況などについて。スクール・サポート・スタッフ配置事業は、補助率3分の1の国庫補助を受け実施しており、本年度、国においては全ての小・中学校等に配置するための予算が計上されている。
道教委では、効果的に授業を実施する観点から、12学級以上の小・中学校と義務課程のある特別支援学校を配置の対象としており、対象校のうち、408校からの申請に対し、各学校の時間外在校等時間の状況や過去の任用状況などを考慮し、352校に配置を決定したところであり、5月末現在、このうち347校に配置され、申請に対する配置率は85%となっている。
Q木葉委員 障がい者雇用の一つの新たな道筋を示す方策として、今は義務校を中心に配置されているが、道立校におけるスクール・サポート・スタッフの任用を検討してはいかがか。教育長の認識を伺う。
A中島教育長 障がい者雇用の認識と今後の対応について。障がいのある、なしにかかわらず、自立した生活を送ることができる社会の実現は重要であり、教育現場において、児童生徒の身近に障がいのある職員がいることは、共生社会に関する自己の考えを広げ、深めるなどの教育的意義も期待されると認識している。
道教委としては、あらためて、市町村教委や道立特別支援学校に対し、積極的な任用を働きかけるほか、就労支援機関等にスクール・サポート・スタッフの募集について積極的に情報提供するなど、学校現場において障がいのある方がその意欲と能力を発揮できるよう、雇用の一層の促進に取り組んでいく。
◆教員確保
Q木葉委員 一部報道によると、道内の公立中学校で育児休業した教員の代わりに、教員免許を持たない別の方、塾の講師の方が立ち会ったという。こうした現状と道教委の所見について伺う。
A立花教職員課長 民間教育事業者との連携について。近年、市町村教委と民間教育事業者が連携し、授業における人材の活用のほか、放課後学習への支援や長期休業中の学習サポート、家庭学習用教材の提供など、様々な取組が行われているものと承知している。
授業における民間教育事業者の人材の活用状況については把握していないが、道教委としては、専門性の高い民間人材を活用することは、教員の負担軽減や教科の専門性の確保などの面でも意義があるものと考えている。
Q木葉委員 代わりの先生が見つからなかったので塾の先生が学校で指導したということ。中学校での指導なので、当然、塾の先生が指導したあと、評価等も行うかと思う。中学校の評価なので進路にも関わってくると思う。これは義務校で行われたことなので、ぜひ把握をしていただきたい。
4月、義務校で、該当の教員免許を持っていない教員に、始業から1週間、4月の当初の1週間、クラスを担任させ、授業をしてもらったという報道があった。
その方は、該当の教員免許を持っていなかったため、臨時免許状の発行を道教委に申請をしたが、その交付が遅れてしまったということ。なぜこうしたことが起きたのか、道教委としてどのように考えているのか伺う。
A谷垣教職員局長 免許を持たない者による授業について。このたび、4月当初の学級増に伴い教員の定数増が必要となった小樽市内の小学校において、免許状を有する者を確保できないことから、任用可能な中学校免許所有者を、臨時免許状を交付した上で任用するよう、市教委と調整の上、事務処理を進めていたところ、正式に免許状を交付し任用を決定する前に、校長の判断により、担任等の業務に従事をさせていたという事案が発生したものである。
このたびの事案は、職員の任用や免許状の交付などの事務に関し、市教委と学校、そして道教委の間の情報の共有や確認が十分ではなかったことが誤った判断を誘発したものであるが、年度当初において、必要な教員を配置できなかったことも要因と考えており、道教委としても重く受け止めている。
Q木葉委員 4月1日時点の欠員は80・5人ということだが、校種、管内別の状況、今回の欠員に対する道教委の認識について伺う。
A立花教職員課長 教員の欠員について。札幌市を除く道内の公立学校における教員のことし4月当初の欠員は、小学校44人、中学校18・5人、高校15人、特別支援学校3人で、合計80・5人となっている。
また、管内別では、空知3人、石狩5人、後志11人、胆振11人、渡島9人、檜山1人、上川8人、留萌3人、宗谷6人、オホーツク8・5人、十勝4人、釧路8人、根室3人となっている。
道教委としては、依然として多くの欠員が生じている状況は、教育の質の確保に影響を及ぼすものであり、教員の業務負担軽減の上でも早急に改善すべき課題と考えている。
Q木葉委員 欠員の理由の一つに、新採用者の辞退が多かったと伺った。本年度の新採用となる昨年の受検者数、合格者数、辞退者数について伺う。
A立花教職員課長 新採用者について。5年度に実施した教員採用選考検査では、受検者数は2839人、合格者数は1307人、辞退者数は349人となっている。
辞退理由については、他都府県等の教員としての採用が7割以上と最も多くなっており、そのほか、家庭等の事情、民間企業等への就職、教員免許の未取得などが挙げられており、辞退者を抑止するための取組も必要と考えている。
Q木葉委員 せっかく採用となっても1年以内に退職している方もかなりいると伺っている。道内の状況とその理由について伺う。
A立花教職員課長 採用年度における退職者について。5年度に採用した教員796人のうち、採用1年未満で退職した者は26人となっている。
道教委において、本人の理解を得た上で把握した退職理由としては、民間企業等への転職のほか、精神疾患、結婚や介護等の家庭の事情などによるものが多くなっている。
Q木葉委員 本年度、欠員の回避に向けて臨時免許状を発行したが、全道でどの程度そういう方がいるのか、管内ごとの状況について伺う。
A立花教職員課長 臨時免許状は、当該校種の普通免許状を有する者を採用することができない場合に限り、他の校種の免許状を有する者に対し、3年間の期限を付して授与するものである。
当該免許状を交付した上で任用している者は、ことし4月1日現在で、管内別に、空知5人、石狩32人、後志12人、胆振13人、日高3人、渡島26人、檜山1人、上川21人、留萌8人、宗谷13人、オホーツク13人、十勝10人、釧路10人、根室4人で、合計で171人となっている。
Q木葉委員 教員の確保に向けて、学校現場からは、人手不足の影響で教員の加配措置が決定したにもかかわらず、担当できる先生を探すことができなくて加配措置を返上した事例があると伺った。
全道でこうした状況はどの程度あったのか。併せて、このことで学校現場でどのような影響が出ているのか伺う。
A伊賀総務政策局長 加配内示の取り消しについて。本年度、教職員定数加配の内示を取り消したのは、札幌市を除く道内の公立小・中学校で7件あり、当該校においては、少人数指導など加配の目的に沿った取組が困難となるなどの影響があるものと認識している。
道教委においては、あらかじめ、加配による効果だけでなく、教職員配置についても確認をした上で、引き続き、加配を措置していく。
Q木葉委員 4月当初、期限付が見つからず、職種を時間講師に変更して勤務してもらっている学校も数多いと伺った。
全道でこうした状況の学校がどの程度あったのか。併せて、このことによる影響について伺う。
A立花教職員課長 時間講師について。ことし4月の時点で、教員を確保できず、時間講師として任用した者は、札幌市を除き、小学校4人、中学校2人、高校7人、特別支援学校5人で、合計18人となっており、時間講師が担当できない担当業務や校務分掌などは他の教員の業務負担につながるものと考えている。
Q木葉委員 教員退職の理由に人事異動があるが、ここについても現行の制度を見直す必要があるのではないかと思う。所見を伺う。
A菅原教育部長 人事異動の方針などについて。小・中学校の教職員については、管内ごとに人事異動を行うことを基本としており、各管内における教育の充実や教職員の資質の向上の観点から、地域の特性や実情などを考慮し、管内ごとに異動方針を定めた上で人事異動を行っていく。
異動方針では、都市部と郡部が偏在する本道の地域性なども考慮し、教職員一人ひとりが多様な学校での勤務経験を通じて資質や能力を高めていくことと併せて、人事異動の公平性を確保するため、利便地と僻地といった学校区分ごとの基準勤務年数などに応じた異動を基本としているが、こうした基準を一律に適用するのではなく、家庭の状況や健康状態など、個々の職員の事情にも十分配慮しながら人事異動を検討しているところである。
今後とも、公平性の確保や資質の向上の視点と併せて、個々の教職員のライフプランなどにも十分配慮しながら、適切な人事配置に努めていく。
Q木葉委員 定年延長や再任用について、4年度、5年度において意向調査を行ったと承知している。
まず、その結果と4年度の意向調査の結果について伺う。
また、定年延長や再任用を希望しないと回答した方々が、もう少し働いてみようと思えるような処遇改善が必要かと思う。例えば、道内の民間企業では、人手不足を受けて、再任用の年齢を引き上げるだとか、給与の9割を保障するなどの新たな取組を発表しているところもある。
再任用者、定年延長への処遇改善が必要と考える。所見を伺う。
A立花教職員課長 59歳になる教職員を対象に行った意思確認では、60歳で退職を希望する者は、4年度は14・5%、5年度が14・7%、延長後の定年年齢での退職を希望する者は、4年度は12・5%、5年度が18・1%となっている。
なお、4年度に意思確認した者のうち、現に60歳で退職した者の割合は25・1%となっている。
定年年齢については、5年度から14年度にかけて段階的に65歳まで引き上げられることになることから、今後の再任用の状況や退職希望者の動向を的確に把握しながら、定年延長に伴う影響や課題などを分析し、60歳を超える職員が生活面などでの不安を感じることなく、自らの経験を生かしながら働き続けることができるよう、国の制度も踏まえた適切な運用に努めるとともに、引き続き、国に対し、僻地手当などの財政措置について要望していく。
Q木葉委員 定年延長や再任用を希望しても、実際に延長、再任用されていない方も数多くいる。
こうした方々が引き続き働きたいと思える制度や、業務の見直しも必要だ。
例えば、業務の見直しでいえば、プール学習、水泳学習について、学校によっては自校の職員が維持管理を行っているという状況もある。
こういった業務について、国が示す、学校、教師が担う業務に係る3分類ではどれに該当するのか伺う。
A内山働き方改革担当課長 プールの維持管理について。国では、平成31年の中教審答申において、これまで学校、教員が担ってきた業務について役割分担などの業務の在り方を整理し、基本的には、学校以外が担うべき業務、学校の業務だが必ずしも教師が担う必要のない業務、教師の業務だが負担軽減が可能な業務の三つの分類を示している。
プールなどの施設の維持管理業務については、施設管理者である校長の指示のもと、職員が分担しているものであるが、外部への委託等が可能な、必ずしも教員が担う必要のない業務に該当するものである。
Q木葉委員 そうであれば、外部委託できるものは委託を進めるべきと考える。所見を伺う。
A谷垣教職員局長 プール管理業務の委託化について。プール学習を適切な管理のもとで安全に実施できるよう、設備の点検や水質・水温管理、清掃といった維持管理業務を行っており、近年、学校における働き方改革を進める方策の一つとして、こうした業務を民間に委託する自治体もあるものと承知している。
道教委としては、道内外の効果的な事例を把握し、各市町村や学校に周知するなど、学校や地域の実情などに応じた取組が進められるよう努めていく。
Q木葉委員 フッ化物洗口についても教員の行う業務と考えているのか、所見を伺う。
A国安健康・体育課長 フッ化物洗口について。道教委では、北海道歯・口腔の健康づくり8020推進条例に基づく北海道歯科保健医療推進計画のもと、虫歯予防に効果的な方法として、学校におけるフッ化物洗口の導入を進めている。
国では、フッ化物洗口は、学校保健安全法第5条に規定する学校保健計画に位置付けられ、学校における保健管理の一環として実施されているものとしており、道教委では、昨年7月に国が示した養護教諭の標準的な職務の内容の参考事例を踏まえ、要綱によって、保健管理に関することを養護教諭の標準的な職務として定めているところである。
Q木葉委員 フッ化物洗口は、学校、教師が担う業務に係る3分類のどれに該当するのか伺う。
A山城指導担当局長 国が業務の在り方を整理して示した三つの分類の中には、フッ化物洗口は明示されていないが、国が示した養護教諭の標準的な職務の内容の参考例では、保健管理に関することを養護教諭の標準的な職務としている。
また、文科省では、フッ化物洗口に関し、その実施に当たっては、例えば、市町村の歯科保健担当部局や保健センターによる実施、歯科医師会や薬剤師会の協力、医薬品等販売会社への業務委託など、関係者間での適切な役割分担を検討し、教職員の負担軽減に配慮するよう示している。
Q木葉委員 養護教諭に限定した話ではなく、一般の教員はどの分類に入るのかを聞きたい。
A山城指導担当局長 教諭によるフッ化物洗口について。令和2年7月に国が示した教諭等の標準的な職務の参考例において、教諭の職務内容として、学校の保健計画に基づく児童生徒の指導が例示されていることや、標準職務例に具体的な職務として掲げていない職務であっても、各学校の地域等の実情に応じて教諭等が担うことが必要と校長が認める職務については校務分掌に位置付けることが可能と示されている。
また、5年7月に国が示した養護教諭等の標準的な職務の参考例においては、業務の実施に当たっては、校務分掌に基づいて教職員の間で適切に役割分担を図ると示されており、教諭などがフッ化物洗口を担うことは可能と考えている。
Q木葉委員 分類上、どれに入ると認識されているのか。
A山城指導担当局長 国が業務の在り方を整理して示した三つの分類の中には、フッ化物洗口は明示されていない。
P木葉委員 何でも学校でということが変わっていかなければ、働き方改革は進まないし、働き方改革が進まなければ、成り手不足というのは解消しない。
Q木葉委員 以前、国の制度で、教員として十数年勤務すると奨学金が無償になる制度があった。
教員不足の解消に向けて、知事や国に、そういった制度こそ実施に向けて強く要望すべきと考えるが、所見を伺う。
A中島教育長 奨学金制度について。以前、日本育英会が実施していた奨学金制度においては、大学等卒業後に教育や研究職に就いた場合、返還を免除される返還特別免除制度があり、教員などの専門職の確保に大きく寄与していたが、平成16年度の学生支援機構への業務移管に伴い、同制度は廃止されたところ。
教員不足が全国的に深刻化する中、文科省では、新たに、大学院を修了し、教員として採用された者について奨学金を免除する制度を設け、来年度の採用者から適用することとしていると承知している。
道教委としては、教員をより確実に確保していくためには、こうした制度を大学等の卒業者にも適用することが必要と考えていることから、旧日本育英会が実施していた返還特別免除と同様の制度の創設について国に要望しているところであり、引き続き、国に対し強く要望していく。
◆高校DX加速化
Q髙田委員 高校段階におけるデジタル人材の育成強化を目指す国の高校DX加速化推進事業について、事業の目的と取組の概要について伺う。
A髙田高校教育課長 事業目的などについて。高校DX加速化推進事業、通称・DXハイスクールは、大学教育段階でデジタル・理数分野への学部転換の取組が進む中、高校段階におけるデジタル等成長分野を支える人材育成の抜本的強化が必要であるという考え方のもと、情報、数学等の教育を重視するカリキュラムの実施や、ICTを活用した文理横断的、探究的な学びを強化する学校に対し、必要となる環境整備の経費を支援する目的で国が実施するものである。
事業の実施校として採択された学校においては、情報Ⅰを発展的に学ぶ情報Ⅱ等の教科、科目の開設、デジタルを活用した課外活動や授業を実施するための設備を配備したスペースの整備を行うとともに、情報、数学等を重視した学科への転換やコースの設置、デジタルものづくりなど、生徒の興味・関心を高めるデジタル課外活動の促進などに取り組むことが求められている。
Q髙田委員 全国では1010校、道内の公立高校では32校が選定されている。実施校の規模は1学級から8学級まで、また、普通科をはじめ、商業科や農業科、福祉科と多様な学科となっている。
道は、どのような考え方で実施校を選定し、国に申請したのか、また、各実施校においては、今後どのような取組を行うことを予定しているのか伺う。
A髙田高校教育課長 事業の実施校について。実施校の選定に当たっては、所定の教科、科目の開設や、情報Ⅱ等の新設、設備配備のスペースを整備した学びの充実といった国が示す要件を満たすとともに、事業の採択基準に示された各評価項目に該当する取組の実施を計画する学校について、国への申請を行った。
実施校においては、例えば、デジタル人材育成のための中長期的な取組として、高度なプログラミング実習を通じた探究活動の発展や、学校外の人材と連携したデジタル人材の育成を行うことや、短期的な取組として、高度なソフトウエアの活用能力を身に付けることや、シミュレーションや各種分析を他校と協働して行うこととしている。
Q髙田委員 本事業を効果的に実施していくためには、道教委の支援等が適切に行われることが重要と考える。
今後どのような支援をしていくのか、道教委の考えを伺う。
A髙田高校教育課長 実施校への支援について。道教委では、これまで、各学校におけるICTを活用した学びへの支援として、学校の要望に応じた研修支援やICT活用指導者養成研修、ICT活用全道協議会を実施するほか、教科「情報」の担当教員を対象とする授業改善セミナーを実施してきた。
このたびの国の事業実施を踏まえて、今後は、ICT活用全道協議会において、実施校の担当者同士が、自校の実践内容等を踏まえて協議を行う場を設けるとともに、ICT活用に関する情報交換会を実施して、学校や教育委員会、教育局の担当者との情報交換を通じてICT活用に関する知見の共有を図ることとしており、こうした取組を通じて、事業の目的である高校段階におけるデジタル等成長分野を支える人材育成の強化に向け、各学校を支援していく。
Q髙田委員 事業の取組を充実させるためには、ICTを活用した学びの充実が求められることから、教科「情報」を担当する教員の指導力の向上が不可欠であると考える。指導経験の浅い教員もいる状況を踏まえ、道教委としてどのような対応を行っているのか伺う。
A山城指導担当局長 教員の指導力の向上について。4年度の教科「情報Ⅰ」導入以降、3年目となり、本年度実施の大学入学共通テストで受験科目として追加されることとなる中、各高校においては、教育実践の蓄積が浅いことが課題となっている。
このため、道教委では、全道の情報科の担当教員を対象とした授業改善セミナーを全道4ブロックで開催するほか、教育課程研究協議会を実施し、プログラミングの指導方法の先進的事例を題材にした協議や、クラウドサービスの活用に関わる実践事例の提供を行うなどして教員の指導力の向上に取り組んできており、引き続き、国のDX加速化推進事業等を活用し、数理、データサイエンスやAIを活用した教育活動など、情報に関する指導の充実が図られるよう取り組んでいく。
Q髙田委員 事業による高校段階におけるデジタル等の成長分野を支える人材の育成が、デジタル・理数分野の大学等への進学につながることが期待されている。
道教委としては、事業の成果をどのように把握し、また、実施校における取組の成果を全道にどのように周知し、波及させていくのか伺う。
A山本学校教育監 事業の成果などについて。このたびの国の高校DX加速化推進事業は、事業実施校における情報、数学等を重視した学びやデジタルを活用した文理横断的、探究的な学びを通じて、デジタル等成長分野の学部、学科への進学者の増を図り、さらには、成長分野の担い手増加を目指すことを狙いとしており、1校当たり補助上限額1000万円という整備経費は、各学校におけるICT環境等の充実に大きく寄与するものと認識している。
道教委では、今後、実施校での情報Ⅱの開設や、整備する予定のICT機器を活用した学びの状況、さらには、生徒の進路状況などについて学校訪問等を通じて把握することとしており、その成果などを道教委のウェブページに掲載するほか、毎年度作成する「教育課程編成・実施の手引」に、ICT機器を効果的に活用した学習指導等を好事例として掲載するなどして、各学校のICTを活用した文理横断的、探究的な学びを推進し、デジタル人材の育成を図っていく。
◆地学協働
Q髙田委員 道教委では、前年度までの3年間、研究指定校のうち、推進校4校に地域コーディネーターを配置し、地域創生の実現に資することを目的として、北海道CLASSプロジェクトを実施してきた。この事業を通じて得られた成果や見えてきた課題について伺う。
A山﨑生涯学習推進局長 北海道CLASSプロジェクトの成果と課題について。前年度まで3年間実施してきた北海道CLASSプロジェクトでは、学校と地域の連携・協働の体制づくりを進め、高校生が地域の関係者と一緒に地域課題に向き合う探究型の学びを進めてきたところである。
本プロジェクトでは、生徒へのアンケート結果などから、高校生の地域への愛着や貢献意識、自己肯定感の高まりなどの成果が見られるとともに、地域の方々との協働による学びを通じて、地元への就職をはじめ、地域課題に対する学びを深めるために、これまでとは異なる進路を選択する生徒が見られる一方、地域コーディネーターの配置など、学校と地域の連携や協働に係る体制づくりが課題となっている状況も見られることから、引き続き、こうした学校などへの適切な助言、支援を行っていくことが必要であると認識している。
Q髙田委員 本年度から新たに実施する「北海道MA+CHプロジェクト」については、どのようなねらいを持ち、どのような取組を行うこととしているのか伺う。
また、指定校についてはどのような考え方で選定をされたのか、併せて伺う。
A伊藤社会教育課長 「北海道MA+CHプロジェクト」について。道教委においては、北海道CLASSプロジェクトの成果や課題を踏まえ、本年度から、全道14管内の指定校に地学協働コーディネーターを配置するとともに、地域の多様な方々で構成するコンソーシアムを設置し、地域と学校の連携・協働体制を強化しながら、地域と学校が共に学ぶ取組を通して、地域課題に主体的に向き合う人材の育成に取り組むこととしている。
また、指定校の選定に当たっては、各学校からの応募を受け、地学協働体制の整備に本事業による支援を必要としているか、事業の趣旨を理解した計画になっているか、全道への波及効果を見込めるか等を勘案し、全道14管内に1校ずつ指定したところ。
Q髙田委員事業の重要なポイントとして、全道14管内の指定校に市町村教委とのつながりを強化するための地学協働コーディネーターを配置することがあると考える。
この地学協働コーディネーターはどのような方を選任し、どのような役割を担っていただくこととなるのか伺う。
A伊藤社会教育課長 地学協働コーディネーターについて。コーディネーターは、地域の資源をよく知り、教育活動に理解のある方に委嘱しており、具体的には、地域に広い人脈を持つ議員や地元の小・中学校の学校運営協議会に関わっている退職校長、高校や地域づくりの活動に関わっているPTA役員といった方々を各指定校において選任しているところ。
地学協働コーディネーターには、学校の求める外部人材の紹介や学習活動において連携が必要となる関係機関との連絡調整などについて、市町村教委に配置されている地域コーディネーターと連携しながら学習活動の充実に取り組んでいただくとともに、持続可能な地学協働活動の実現に向けた体制づくりに向け、地域と学校の橋渡し役としての役割を担っていただくこととしている。
Q髙田委員 地域の多様な方々でコンソーシアムを構成することも事業の大きなポイントであると考える。このコンソーシアムとは、具体的にどのような役割を果たすものなのか伺う。
A伊藤社会教育課長 コンソーシアムについて。本事業で設置するコンソーシアムは、地学協働による人材育成の活動について協議や活動を行う組織として、市町村教委や商工会、商工会議所などの組織、団体のほか、企業、大学等、各学校の活動の目的に応じて生徒の学びに関わる幅広い分野の方々で構成することとしているところ。
コンソーシアムは、構成員が生徒との対話を通して生徒の学びを実現するなど、単なる協議にとどまらず、活動の目的や実践内容を構成員が共有し、一体となった活動を実践するための組織としての役割を有している。
Q髙田委員 北海道MA+CHプロジェクトは、これまでの事業の成果を生かし、さらに発展させるものとして大いに期待されるところであり、取組の成果が広く全道に波及されることが重要と考える。
地学協働を今後どのように展開し、地域をつくる人材を育成していくのか伺う。
A中島教育長 今後の取組について。地学協働は、幅広い地域住民等の参画を得て、地域全体で子どもたちの学びや成長を支えるとともに、地域と学校が相互にパートナーとして連携・協働して行う取組であり、地域の将来を担う人材の育成を図るとともに、地域住民のつながりを深め、学校を核とした地域づくりを推進し、地域創生にもつながる重要な取組であると認識している。
道教委としては、今後、「北海道MA+CHプロジェクト」の取組を、研修会での事例発表やホームページによる広報等で全道に普及するとともに、市町村教委等と連携し、コミュニティ・スクールや地域学校協働本部等の体制整備や、コーディネーターの育成を進めるなどして、将来にわたって、地域への愛情や誇りを持ち、地域に主体的に向き合う本道の未来をつくる人材の育成に向けて取り組んでいく。
(道議会 2024-10-09付)
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