道議会質疑文教委員会(9月3日、9日)
(道議会 2024-11-14付)

Q 質問Question A 答弁Answer P 指摘Point out O 意見Opinion D 要望Demand

9月3日

【質問者】

▼水口典一委員(北海道結志会)

【答弁者】

▼山本純史学校教育監

▼国安隆健康・体育課長

▼角谷浩司施設課長

◆学校の暑さ対策

Q水口委員 昨年の猛暑を受け、5年第4回定例会において、道立学校校舎空調備費等として26億円を超える補正予算が計上され、特別支援学校は7年までの稼働として空調設備、道立学校へは簡易型空調機器が設置されている。

 5年度から6年度に向け、道立高校普通教室全てに空調機器が設置されたことは、スピード感ある対応として高く評価をしており、敬意を表するものである。簡易型空調機器は、高校の場合、普通教室に各2台の設置で、合計6484台の設置と伺っている。空調機器は窓枠クーラーと移動式のスポットクーラーの2種類と伺っているが、それぞれ何台を購入し、いつ、どのように設置をされたのか伺う。

A国安健康・体育課長 整備状況について。道教委において、今夏までを目途として整備することとした商易型空調機器は、全道立学校の普通教室と職員室、特別支援学校の寄宿舎舎室分として、4874台の窓枠クーラーと2781台の移動式クーラー、合わせて7655台を購入し、各学校において、公務補や環境整備員などが中心となって機器の取付作業を行い、ことし7月末までに全ての設置が完了したところである。

Q水口委員 当初よりも設置台数が1000台以上多く設置されたことを確認した。この2種類の空調機器の性能については、当初から機器周辺のみ涼しく、教室全体を冷却できる性能としては能力が低いとも伺っており、道総研の助言として、冷気を循環させるため、サーキュレーターや扇風機を活用することが必要とされていた。道教委としてはどのように性能、能力を把握して設置したのか伺う。

A国安健康・体育課長 空調機器の能力などについて。各空調機器の冷房能力に関し、まず、今回整備した簡易型空調機器は、単位時間当たり室内から取り除く熱エネルギーが最大2㌔㍗程度であるのに対し、いわゆる本格エアコンは、10㌔㍗程度であり、その能力に少なからず差があることから、各学校に対し、送風機器等を併用して冷風を撹拌することなどによって冷却能力を確保することとし、その旨各学校に助言してきたところである。

Q水口委員 道総研の助言のとおり、サーキュレーターや扇風機を活用した道立高校が、どの程度あるのか伺う。

A国安健康・体育課長 サーキュレーターなどの活用について。各道立学校には、2年度から4年度にかけて、新型コロナウイルス感染症対策として整備したサーキュレーターや扇風機が複数台あることから、多くの学校において、ことし作成した簡易型空調機器設置等の手引きに基づき、簡易型空調機器による冷却の際は、サーキュレーターなどを用いて効果的に運用を行っていると確認しているところである。

Q水口委員 先日、滝川市内の2校の道立高校を訪問し、調査した。2校はいずれも窓枠クーラーで、昨年よりは改善された、昨年の猛暑と比較するとことしはしのぎやすかった、エアコンの性能とは一緒にはならない、室温を下げるより除湿機能としての効果がある、日射の遮へいのさらなる工夫が必要などと回答をいただいた。

 道教委としては、簡易型空調機器の性能について、今夏の稼働状況を道立学校から、どのように把握しているのか伺う。

A国安健康・体育課長 機器の効果などの把握について。道教委の担当課職員が道立学校を訪問し、簡易型空調機器の効果についてヒアリングを行ったところ、管理職員などから、日射遮へいをした場合、効果が大きいと感じる、教室内に40人の生徒がいるときは効果が小さくなる、暑さが厳しい日の冷却効果は小さいなどの意見があったところである。

 また、道高校長協会などとの意見交換においては、簡易型空調機器の効果として、機器の設置によって、例年に比べて快適な学習環境を確保できているなどの意見が寄せられたところであり、引き続き、各学校などの状況について、把握に努めていく。

Q水口委員 冷房整備率が、道立学校において6年7月現在で簡易型空調機器を含め100%と聞いており、来年度以降に向け、空調設備の整備も必要と考えるが、簡易型空調機器を含めない空調設備の整備率は何%なのか伺う。

A角谷施設課長 道立学校の空調設備の整備率について。普通教室における簡易型空調機器以外の整備率は、6年7月末現在、全道立学校3474室のうち28室、0・8%である。本年度末までに新たに25枚626教室に整備することとしており、整備率は18・8%となる予定である。

Q水口委員 道立学校においては、空調機器の対策と同時に長期休業期間の延長についても対策が講じられており、夏季休業期間としては、前年比プラス5・1日の平均29・6日となり、暑さ対策が講じられている。

 来年度に向けて、空調機器の暑さ対策をどのように検討していく考えなのか、所見を伺う。

A山本学校教育監 今後の暑さ対策について。このたび整備をした簡易型空調機器については、各学校の教職員の協力を得て、全ての道立学校でことし7月までに設置を完了したところであり、その運用に当たっては、簡易型空調機器設置等の手引きにおいて、日射を遮へいすること、朝の時間帯に窓を開け換気すること、効果的に冷却できるよう機器の使用を工夫することなどを示したところである。

 次年度に向けては、今夏の各学校における簡易型空調機器の運用状況等を把握し、さらに効果的な使用方法を検討した上で、手引きの中に好事例を掲載して各学校への周知を図るなど、引き続き、児童生徒の健康や安全を守る観点から暑さ対策の充実に努めていく。

D水口委員 長期休業期間についても、小・中学校も長期休業期間の延長をしており、休業期間は地域差があり、期間の在り方もさらなる検証が必要と考える。簡易型空調機器から空調設備への移行は、特別支援学校優先で、道立高校普通教室への設置は、長期間を要することが想定される。

 児童生徒の健康や安全を守る観点から、今後とも、より一層きめ細かな対策をお願いする。

9月9日

【質問者】

▼戸田安彦委員(自民党・道民会議)

▼広田まゆみ委員(民主・道民連合)

▼佐々木大介委員(自民党・道民会議)

【答弁者】

▼菅原裕之教育部長

▼山本純史学校教育監

▼山城宏一指導担当局長

▼髙田安利高校教育課長

▼佐藤昌彦道立近代美術館担当課長

◆近美リニューアル

Q戸田委員 道教委では、近代美術館のリニューアルに向けた検討を進めている。第2回定例道議会の予算特別委員会において、建物の構造や安全性などに問題がないかなど、現地改修案が実現可能なのか建設関係の専門家に助言を求めるべきとの質問に対して、技術的助言を求めると答弁された。

 まず、どのような内容について助言を求めたのか伺う。

A佐藤道立近代美術館担当課長 建築関係の専門家からの助言について。道教委では、近代美術館のリニューアルの検討に当たって、改修、現地新築、移転新築の三つの整備方法を示し、整備方法別に環境性や経済性などを評価する技術的検討調査の結果も踏まえて、これまでも知事部局の建築部門と連携し、技術的助言を受けながら、整備方法の検討を進めてきたところである。

 この技術的検討調査の結果で、現地改修案については、既存の建物による制約があり、諸室の有効活用が必要であるなどと指摘されたことから、建物の構造や諸室の配置などを踏まえた課題や安全性などを踏まえた間仕切り変更による諸室の転用などの実現性について、美術館等の文化施設に関する知見や経験を有する建設事業者にも専門的見地から、技術的助言を水めたほか、建築物の保全と建て替えに関する最近の動向についても意見を何ったところである。

Q戸田委員 現地改修について、建物の構造や諸室の配置などを踏まえた課題は、どのようなものがあるとの助言だったのか伺う。

A佐藤道立近代美術館担当課長 課題に関する助言について。現在の近代美術館は、常設展示室の1階から2階に移動する際は、らせん階段か展示室外のエレベーターを利用する必要があり、バリアフリーの観点から課題があるが、展示室にエレベーターを設置する場合には、近代美術館のシンボルであるらせん階段や展示空間との調和に留意する必要があること、改修に伴い新たに面積を確保するため増築等をする場合は、外観への影響を抑えるなど、建築意匠へ配慮する必要があること、また、建物の地下を活用しようとする場合は、くいがあれば支障になり、掘削は難しいなどといった助言のほか、職員が建物内で勤務しながら改修を行う執務並行型改修は、安全管理上の問題や工期の長期化などの面で課題があるなどといった助言があったところである。

Q戸田委員 技術的検討調査で現地改修は、諸室の規模や配置の自由度に制限があると評価されたが、この課題に対して、どのような助言があったのか伺う。

A佐藤道立近代美術館担当課長 諸室の規模や自由度に関する助言について。館内の壁の撤去や間仕切り変更は技術的に可能であり、諸室の配置はおおむね自由であること、諸室が狭隘化する中、現在利用の少ないテラスを活用して諸室へ転用することは技術的に可能であることや、客席が階段状の大規模空間を有する講堂は、多階層化してフラット化することによって増床を図り、他の機能への転用も可能であること、休館中に利用できないカフェスペース等、機能の一部を増築または別棟にすることで増床が可能となり、営業面でのメリットも生じるなどといった助言があったところである。

Q戸田委員 三つの整備手法を比較した技術的検討調査では、木の伐採本数の比較がされており、8月の文教委員会で報告された検討の考え方では、伐採相当分の復元の検討が必要とされている。このような視点を盛り込んだ考え方について伺う。

 また、伐採分の復元について、建設事業者から助言を受けていれば、内容について併せて何う。

A佐藤道立近代美術館担当課長 樹木の伐採等について。近代美術館のリニューアルに当たっては、道民から都心部の中の豊かな今ある自然を大切に守り、残してほしいとの意見や、有識者からは、自然を回復軌道に乗せるため、生物多様性の損失を止め、反転させるネイチャーポジティプの考え方に基づき、木を伐採するのであれば、代替地の確保や周辺住民の理解を得た上で進める必要があるとの意見があったことを踏まえて、道教委としては、整備に当たって、伐採相当分の復元について検討する必要があると考えているところである。

 また、建設事業者からは、事業実施に当たっては、持続可能な環境配慮型社会の実現に向けて、開発によって失われた森や里山環境を復活させるなど、ネイチャーポジティプに貢献する取組を進めているほか、樹木の伐採を伴う再開発に対し、住民の反対運動が起きた例があることから、整備に当たっては、近隣住民の理解を得ながら進める必要があるとの助言があったところである。

Q戸田委員 建築物の保全または建て替えに関する動向についても意見を伺ったとのこと。どのような意見だったのか伺う。

A佐藤道立近代美術館担当課長 建築物の保全について。近代美術館については、これまで道民からは、現施設の建築価値や都市景観への配慮をしてほしい、場所はそのままに施設は新しくしてほしいといった意見や、有識者からは、海外では、使えるものはできる限り生かしていくことが基本的な考え方、現建物は、いずれ文化財に登録される可能性が高いといった意見があった。

 このため、建設事業者に建築物の保全に係る近年の業界の考え方などについて伺ったところ、躯体に問題がなければ、価値ある建物を後世に残すことが大事、改修によって原状復帰するだけではなく時代のニーズに応じた機能を付加することなどによって、建物の価値を向上させるといった視点が重要であるといった意見があったところである。

Q戸田委員 有識者から、現在の建物はいずれ文化財に登録される可能性が高いとの意見があったとのこと。文化財に登録される要件はどのようなものか伺う。

 また、近代美術館は文化財に登録される可能性がある価値ある建物なのか、評価などについて伺う。

A佐藤道立近代美術館担当課長 近代美術館の評価などについて。文化庁の建造物の登録有形文化財の要件は、原則として建設後50年を経過し、国土の歴史的景観に寄与している、造形の規範となっている、再現することが容易でないもののいずれかに該当するものとしている。

 近代美術館は、本道の現代建築の進展に先駆的役割を果たしたとされる建築家で、北大教授であった太田実氏の設計で建設され、昭和53年に建築業協会賞を、昭和54年に日本建築学会北海道建築賞を受賞しているほか、令和4年度に行った近代美術館、知事公館エリアを対象としたサウンディング型市場調査の参加業者からは、道内における戦後モダニズム建築の代表例、近代美術館は建築作品としての評価も高いといった意見もあるなど、建築物として一定の評価があるものと認識している。

Q戸田委員 こうした助言や意見について、道教委はどのように受け止め、今後どのように検討を進めるのか伺う。

A菅原教育部長 今後の進め方などについて。これまで道教委では、道民の意見を伺うとともに、三つの整備方法別に環境性や経済性などを評価した調査結果を踏まえ、有験者の意見も伺いながら、整備方法の検討を進めてきているところである。

 こうした中、現地改修案について、現地新築、移転新築案に比べて、諸室の規模や自由度に制限があるとの指摘があったことから、今回、美術館等文化施設に関する知見や経験を有する建設事業者から技術的な助言を受けたところであり、現地改修案においても、コンセプトを実現するために必要な機能は確保可能であることを確認できた。

 道教委としては、今後とも、基本構想の中間報告で示した、近代美術館の目指す姿に掲げたビジョンなどの実現を最優先とした上で、引き続き、有識者等の意見や知事公館エリアとの整合性を踏まえ、基本構想の策定に向けて検討を進めていく。

◆国際交流事業

Q広田委員 道教委の国際交流事業について、カナダのアルバータ州、アメリカのハワイ州、ニュージーランド、オーストラリアのタスマニア州、ロシアのサンクトペテルブルク市、中国の北京市、アメリカのマサチューセッツ州など、様々な各国・地域と相互の訪問やオンラインによる交流などが行われていると承知している。

 道として、姉妹都市連携のある地域もあれば、そうでない地域もある。道教委としての国際交流の地域の選定は、どのような理由でそれぞれされたのか伺うとともに、それぞれの直近の交流状況や道教委が果たしている役割、今後に向けた課題認識などについて伺う。

A髙田高校教育課長 国際交流事業について。国際交流の地域の選定に当たっては、交換留学事業の場合、道の姉妹友好提携や道教委が覚書を締結している国・地域と行っており、オンライン交流については、学校の希望を踏まえ、友好提携先等以外の国・地域とも実施している。

 交流の実績としては、5年度は、カナダ・アルバータ州、ニュージーランド、アメリカ・ハワイ州と高校生交換留学事業を行い、本道から20人の高校生が短期留学をし、相手側から14人の生徒を受け入れたところであり、また、オンライン交流については、11校の高校において、7つの国・地域と交流を実施した。

 さらに、道教委と中国駐札幌総領事館、北京市教育委員会との共催による北海道青少年中国友好訪問事業の枠組みを活用し、16人の高校生が北京市において、現地高校生との交流を行った。

 道教委では、交換留学事業の実施に当たって、留学先の学校やホームステイ先の選定、渡航費補助による経済的負担の軽減、留学前の事前研修会の開催などの支援を行っているところであり、課題としては、相手先の受け入れ枠の関係などから留学を希望する全ての生徒に対応できないことや、提携先の国・地域の社会情勢が不安定な場合、交流の休止や再開の判断を必要とするケースが生じていることなどがある。

Q広田委員 両地域の協力関係を若い世代に引き継ぎ、継続的な取組を将来にわたって進めていくことができるように、覚書の重要性があると考える。この覚書の重要性の所見を伺うとともに、今後、覚書締結の地域を増やしていく意思があるのか伺う。

A髙田高校教育課長 国際交流に係る教育分野における協力に関する覚書について。教育行政機関相互の覚書は、学校同士の友好協力関係の構築や生徒同士の交流活動を展開することへの支援、教育環境や教員の指導方法などの改善に資する交流を展開することへの支援、両者の担当部局間の交流と協力の強化等を目的として締結しており、生徒や教育者のグローバル的資質の発展に資するつながりや関係性を育成するなどの重要性があると捉えている。

 こうした考え方のもと、多様な地域と覚書を締結することは望ましいと考えるが、相手国・地城との合意が必要であることから、締結に向け、信頼関係構築のプロセスを積み重ねることが必要であると考えている。

Q広田委員 日本に興味を持ってくれる若い世代と、いかに道立高校などをつなげるかについて、検討すべきであるという視点から質問する。

 日本語学校や日系人コミュニティーなどと連携している道立高校や道内市町村の事例があるか伺う。

 また、美深高校からのビデオレターは、生徒が自ら英語による動画を撮って編集したと思われるもので、手作り感がある温かいビデオレターであった。道教委としては、ブラジル・アルモニア学園と美深高の国際交流の意義をどのように認識し、今後、道立高校のICTを活用した国際交流をどのように応援するのか伺う。

 道教委として、国際交流にチャレンジする学校現場を支援できる人材、少なくとも紹介ができる窓口だとか、道教委自体が機能を持つべきと考える。現在の取組とこれからの課題などについても伺う。

A山城指導担当局長 国際交流の事例について。日本語学校との交流実績としては、夕張高校がバラグアイの日本語学校とICTを活用したビデオメッセージの交換などの交流を行っており、また、日系人コミュニティーとの連携については、美深高がブラジルの北海道人会から紹介を受け、アルモニア学園とオンライン交流を行っており、相互の文化理解の促進につながっている。

 このうち、美深高とアルモニア学園との交流においては、道教委の国際交流事業の枠組みによらず、学校が独自に相手校との交流を継続し、学校では、生徒の国際的視野が広がるとともに、自らの国・地域の文化への理解も深まるということに意義があると捉えており、道教委では、道立高校がICTを活用した交流を実施するに当たって、学校の要望に応じて交流先を選定し、紹介するなどの支援を行っている。

 道教委では、現時点で国際交流をコーディネートする人材の活用実績はないが、今後、交流の相手国・地域の拡大を図っていく際は、異国の言語や文化を理解している人材を効果的に活用することなどについて検討が必要と考えている。

Q広田委員 パラグアイ、ブラジルの北海道人会や日本語学校などと道教委は、覚書を交わすなどして、ポルトガル語やスペイン語などにも興味を持てるような機会を道内の高校生に対しても本道の未来のために提供すべきと考えるが、見解を伺う。

A山本学校教育監 多様な地域との交流について。道教委が現在、姉妹提携や覚書の締結によって交流を行っている国・地域は、英語、ロシア語、中国語を母語とする国・地域であるが、グローバル化が進展する中、地域や世界の課題解決に向け、主体的に取り組もうとする意思を持つ人材を育成するためには、高校生が、異文化交流や多様な価値観に触れる機会の創出を図るとともに、より多くの相手先との交流を拡大していくことについて、意義があると考えており、今後も、知事部局等とも連携し、様々な文化や言語の国・地域との交流が実現するよう積極的に検討していく。

◆学校図書館の新聞の配置

Q佐々木委員 道立高校の新聞の配備状況について、国では、学校図書館図書整備等5ヵ年計画に基づき、新聞の複数紙配備として、高校では5紙を配備するよう地方交付税として財政措置が図られている。道教委では、どのように予算措置を行い各校に配備を進めているのか、また、道立高校の新聞の配備状況についても伺う。

A髙田高校教育課長 新聞の配備状況等について。国の第6次学校図書館図書整備等5ヵ年計画において、高校では、学校図書館での新聞配備について、5紙を目安とすることが示されたことを踏まえて、道教委では、令和4年度から高校管理運営費に係る事業別配分方針に基づき、各道立高校に対し、国の5ヵ年計画に掲げられた新聞配備に必要な予算措置をしているところであり、各学校の実情に応じて、1枚当たり3紙程度の配備がされているところである。

Q佐々木委員 現状、道内の高校で3紙程度の配備となっている理由について伺う。

A髙田高校教育課長 配備の実情について。複数の高校に確認したところ、部数を従前から慣例的に扱っているケースが多く、あらためて道教委の配分方針を周知する必要があると考えている。

Q佐々木委員 選挙権年齢の18歳以上への引き下げや、成年年齢の18歳への引き下げを踏まえ、生徒の社会参加や政治への関心、主権者教育の充実を図る上でも、新聞の役割は大きいと考える。道教委として、高校における新聞を活用した数育実践にどのように取り組んでいるのか、また、道立高校における新聞の活用事例についても伺う。

A髙田高校教育課長 新聞の活用について。道教委では、現在、公益社団法人日本新聞販売協会と連携し、新聞を活用した授業実践に取り組んでおり、また、学校などで新聞を教材として活用する活動を行っている北海道N1E推進協議会の指定を受けた学校では、職業に関わる情報を収集し、自己のキャリアについて理解を深める活動や生徒が複数紙を読み比べするなど、現代の諸課題について話し合うなどの学習活動などを行っている。

 また、多くの道立高校で、各教科等の学習で新聞が配備されている学校図書館を活用し、学習課題に即した情報を複数紙から収集して、グループで課題解決に向けた協議を行うなどの探究活動を行っている。

Q佐々木委員 昨今は誰もが手軽にインターネットを利用でき、膨大な情報に容易にアクセスできる一方で、インターネット社会では、不確かな情報や求める情報が自分に都合の良い方向に偏るなど、正しい情報の見極めや様々な視点から情報を読み解く力を養っていくことが求められている。このような観点からも、学校教育で情報の信頼性が高い新聞を活用することは情報活用力を高める上でも重要な取組の一つであると考える。

 また、新開社が持つ考え方や視点も様々であり、複数の新聞記事を読み比べられる環境も重要と考える。文科省の新聞配備の方針に基づき、全ての道立高校で複数紙の配備を進めていく必要があると考えるが、道教委の所見を伺う。

A山本学校教育監 新聞の複数配備について。現実社会の事象や課題に関わる資料として、新聞や各種の統計などを授業で積極的に取り上げ、生徒が自立した主体として活動できるようにすることは重要であり、その活用に当たり特定の見方や考え方に偏った取り扱いとならないよう配慮し、生徒の考えや議論が深まるよう様々な見解を提示する必要があることから、各学校に複数の新聞を配備することとしている。

 道教委としては、これまでも学校図書館に配備する新聞の購入費として、全道立高校に対し、5紙分の予算を措置しているところであるが、各学校が、あらためて新聞の複数配備の意義を理解し、全ての教科等の学習の基盤となる言語能力、情報活用能力、問題発見、解決能力などの育成に向けた教育活動の充実につながるよう、学校の複数紙配備の促進に努めていく。

P佐々木委員 現状、道立高校各校で5紙配備するという予算の意図がきちんと共有、周知されていないのではないかと感じた。主権者教育の充実の観点からも、等しく全ての道立高校で複数紙、5紙の配備が進むよう指摘する。

(道議会 2024-11-14付)

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