帰国・外国人児童生徒地域別交流会 孤立化させない組織を 石狩管内2校が実践発表 道教委
(道・道教委 2024-11-21付)

帰国外国人児童生徒地域別情報交流会
帰国外国人児童生徒地域別情報交流会

 道教委は18日、帰国・外国人児童生徒等教育の推進事業・第2回地域別情報交流会(道央ブロック)をオンライン開催した。石狩管内小・中学校の教職員、市町村教委職員ら約30人が参加。帰国・外国人児童生徒の支援に向けて効果的な実践を進める管内2校の発表や交流を通して、当該児童生徒を孤立化させない組織の在り方を探った。

 交流会は日本語指導担当教員やボランティアを対象に、各地域の受け入れ状況や指導体制などについて交流し、各校の日本語指導の充実を図るもの。

 道教委によると、本年度の日本語指導が必要な児童生徒は189人で、3年度の121人から大きく増加している。

 近年は居住地の分散化や多言語化が進み、特に石狩管内に多く在籍している状況にある。

 管内を対象とした道央ブロック交流会では、石狩市立花川小学校と当別町立とうべつ学園の2校が日本語指導の実践などを情報提供した。

 花川小では週1回、教職員同士で行う児童実態交流を通して、当該児童の共通理解を図っている。金丸剛輝教頭は「様々な悩みを学校側が受け止めることで安心感を生むことが大切」と強調した。

 とうべつ学園は本年度21人の帰国・外国人児童生徒が転入・入学した。文化や習慣の違いを背景に、ストレスを抱えたり、トラブルが発生したりする児童生徒が居場所を確保できるよう、校内組織に外国人児童生徒教育を位置付け、毎月の会議を通して教科活動や日本語指導の充実を図っている。

 砂原史朗教頭は本年度、サバイバル日本語のカリキュラムの明確化や言語活動を通した「自己紹介タイム」などのグループ遊び、在籍学級における担任の工夫を校内で発信することで、組織的体制を強化していることを共有。児童生徒の学級・学校の適応を見守る方策として、会議や研修、外国人保護者会など「運営改善に向けた取組を管理職がリーダーシップを示して進めていくことが大切」と話した。

 参加者の交流では、学年にとらわれない教科指導の在り方や音声翻訳機器「ポケトーク」、生成AIなどICTの利活用が話題に上がった。実践が進んでいる2校の関係者から話を聞いた参加者は「“日本語を教えなければいけない”“学級になじませなければいけない”という考えではなく“どんなことに困っているのか”“どうしてほしいのか”を当該児童の立場に立って考える必要がある」と振り返った。

 情報提供で事業のアドバイザーを務める道教育大学札幌校の阿部二郎准教授はグーグル翻訳の対応言語が増えていると説明。また、短くゆっくり単純な言葉で言い換えていく「やさしい日本語」を意識する必要性を助言。教科学習支援に関しては「日本語を教えてもらうのではなく教科の支援をしなければならない。特定の誰かに任せるのではなく、連携した支援が欠かせない」と訴え、組織全体で支援の意識を高めていく必要性を強調した。

(道・道教委 2024-11-21付)

その他の記事( 道・道教委)

全国学力等調査北海道版結果①空知 ICTの利活用促進へ 教育局独自にオンライン学習会

 道教委がまとめた「6年度全国学力・学習状況調査北海道版結果報告書」における各管内の状況、分析および学力向上策に関連した特色ある取組をきょう19日から連載で紹介する。 空知 【分析結果】...

(2024-11-19)  全て読む

一時保護施設の基準整備 条例素案で意見募集 道独自の災害対策を規定

 道は「道一時保護施設の設備および運営に関する基準を定める条例(仮称)」素案のパブリックコメントを実施している。職員の配置数、居室面積・設備、運営に関する基準を定め、児童の権利擁護や個別的ケ...

(2024-11-20)  全て読む

道教委 初の産学連携シンポジウム 持続可能な体制構築へ 専門高校3校生徒が発表

産学連携シンポジウム  道教委は18日、道第二水産ビルで「北の専門高校ONE―TEAMプロジェクト」産学連携シンポジウムを初開催した。農業・工業・商業の学科を設置する専門高校3校の生徒や国分北海道㈱人事総務部の萩...

(2024-11-20)  全て読む

道教委 道立高入選出願手続き手引 ウェブ申請の手順等解説 29日まで練習フォームで体験可

ウェブ申請マニュアル  道教委は、7年度道立高校入学者選抜「出願手続き(ウェブ申請・願書提出)マニュアル」を作成した。7年2、3月実施の道立高校等の入学者選抜から導入する出願手続きの一部電子化に伴い作成したもので...

(2024-11-20)  全て読む

道教委等 みらいの教員育成学校実習 教職の魅力を体感 高校生が小学生と交流など

 道教委と道教育大は、4年度から教員志望の高校生を対象に教員としての素養や意欲を高めるプログラムを提供する「みらいの教員育成プログラム」を開始。3年生を対象とした「教員基礎探究」と2年生対象...

(2024-11-20)  全て読む

全国学力等調査北海道版結果②石狩 「対話」重視し授業改革 ICT活用 3層で確実な指導

学力学習調査結果石狩チャート 石狩 【分析結果】 ▼小学校 ▽学習指導において、児童が、それぞれの良さを生かしながら、他者と情報交換して話し合ったり、異なる視点から考えたり、協力し合ったりできるように学習課題や活動...

(2024-11-20)  全て読む

宗谷局 第2回EBE協議会 学力向上の学校運営を 浜頓別高など3校実践発表

EBE協議会  【稚内発】宗谷教育局は15日、第2回管内EBE協議会をオンラインで開催した。管内の教職員57人が参加。エビデンスに基づいた子どもの成長を促す取組・方策に関する実践発表などを通して、児童生徒...

(2024-11-19)  全て読む

釧路局 学校安全推進会議 子を危険から守るため 防災対応や交通安全など情報共有

釧路局管内学校安全推進会議  【釧路発】釧路教育局は14日、管内学校安全推進会議をオンラインとのハイブリッド型で開催した。管内の教育関係者が防災対応や児童生徒の交通安全をテーマに協議。子どもたちを危険から守るために、情...

(2024-11-19)  全て読む

産休・育休代替教員確保へ 正規教員も国庫負担に 文科省が制度改正検討

 文部科学省は、早ければ7年度から産休・育休代替教職員の正規化に向けた制度改正を検討している。年度を追うごとに臨時講師の確保が困難になっている現状から代替者が正規教職員にある場合でも国庫負担...

(2024-11-19)  全て読む

道教委が教育DX推進会議 学校を魅力ある職場に 庁内等横断で検討開始

教育DX推進会議  道教委は15日、道庁別館で第1回教育DX推進会議を開催した。道教委関係各課や校長会など関係団体の代表が一堂に会し、教育DXの実現に向けて意見を交換。ファクス・押印の廃止、学校全体でインター...

(2024-11-19)  全て読む