【解説】平均世帯 2人以下の時代に(解説 2024-11-28付)
国立社会保障・人口問題研究所が今月発表した「日本の世帯数の将来推計」によると、2040年には26都道府県で平均世帯人員が2人を割り込むことが分かった。2050年に最も平均世帯人員が少ない都道府県は北海道と東京都で、いずれも1・78人となった。
推計は5年ごとに実施。平均世帯人員が2人以下の都道府県は東京のみだったが、2040年に26都道府県、2050年には34都道府県となる。単独世帯の割合は全ての都道府県で上昇。2050年には27都道府県で40%を上回ると推計する。未婚者から初婚の発生頻度となる「結婚力」、新婚夫婦からの出生の発生頻度となる「夫婦出生力」で分析した結果、北海道はいずれも全都道府県で最も低い水準にある。
出生率は出生意欲そのものが低下している可能性もあるが、子育てに対する困難意識が結婚意欲の低下につながっている側面も指摘される。内閣府の国際意識調査によると子育ての負担として「自分の自由な時間がもてない」を挙げた日本人は男性4割、女性5割と欧米圏と比べ10~20ポイント高い。人手不足によって失業が減り、労働時間が長期化傾向になることも加味する必要があるだろう。
同研究所は行政が支援を行う上で「一時的ではなく継続的支援」「点ではなく面的支援」が有効と指摘。「人生のラッシュアワー期」となる20代を対象とする施策の効果が大きいとし、自分が自分の人生を決める「自己統制感」を阻害しないことが大切だという。
出生率の変動は感染症の流行などの外的要因にも大きく左右されるため、長期的視点で施策を評価する必要性もあるという。「国民・都道府県民は国・都道府県を支える手段ではなく、主役そのものだというメッセージを伝えることが重要」と指摘する。
(解説 2024-11-28付)
その他の記事( 解説)
【解説】側弯症の早期発見へ
背骨のねじれが成長・加齢とともに進行する「脊柱側弯症」。文部科学省は7年度、成長期における脊柱側弯症検査の理解促進を図るため、全国体験会の開催や周知資料の作成を検討している。 脊柱側弯...(2024-12-05) 全て読む
【解説】部活動改革の沿革と今後
部活動の地域移行の始まりは平成31年1月の中教審答申にさかのぼる。教師の長時間勤務の主な要因となっていることから部活動を学校単位から地域単位とすることを提言。これを受けて文部科学省は令和2...(2024-12-04) 全て読む
【解説】学力調査 着実に実施
全国知事会が実施したアンケート調査結果では、47都道府県のうち学力調査の目的や有効性に関しては100%、必要性に関しては88%が肯定的に回答しており、調査の実施頻度は現行の「毎年実施」への...(2024-12-03) 全て読む
【解説】教職員定数充実は不可欠
教員の給与改善の条件に勤務時間縮減の目標を設定する財務省案を巡り、全国の関係団体が一斉に反対の声を上げている。 全国都道府県教育長協議会と全国都道府県教育委員協議会は11月22日、文部...(2024-12-02) 全て読む
【解説】差別解消へ教育に期待
道は道民意識調査「障がい者の差別の解消の推進について」をまとめた。障がい者に対する差別解消に必要な取組は「学校での子どもへの教育の充実」が75・5%と最も多い。4月の障害者差別解消法改正に...(2024-11-29) 全て読む
【解説】地域活動学習 上昇傾向
道教委は、6年度生涯学習推進体制の整備状況(6月1日現在)をまとめた。教育委員会による生涯学習活動で最も多いのは「読書環境の整備や読書活動を支援する人材育成」。現代的課題に関する学習機会で...(2024-11-27) 全て読む
【解説】インフル 道内で流行入り
道は22日、道内の医療機関によるインフルエンザの報告数が1・00を上回り、全道における流行シーズンに入ったことを発表した。今後さらにインフルエンザ患者報告数の増加が見込まれることから、手洗...(2024-11-26) 全て読む
【解説】処遇改善の財源確保を
全国知事会、全国市長会、全国町村会は21日、文部科学省に「教師の処遇の抜本的な改善等による学校教育を担う人材確保のための緊急提言」を手渡した。教師の処遇改善や教職員定数の改善などを要望。地...(2024-11-25) 全て読む
【解説】内定率7割 4年ぶり低下
文部科学省と厚生労働省は7年3月大学等卒業者の就職状況調査(10月1日現在)をまとめた。大学生の就職内定率は前年度同期と比べて1・9ポイント下降し72・9%となり4年ぶりに低下。業界の人手...(2024-11-22) 全て読む
【解説】外部人材の効果 詳細に把握
学校が複雑化・困難化する教育課題への対応を迫られる中、教員業務支援員をはじめ外部人材の重要性が一層高まっている。7年度予算概算要求では教員業務支援員を前年度と同数の2万8100人、学習指導...(2024-11-21) 全て読む