【解説】側弯症の早期発見へ(解説 2024-12-05付)
背骨のねじれが成長・加齢とともに進行する「脊柱側弯症」。文部科学省は7年度、成長期における脊柱側弯症検査の理解促進を図るため、全国体験会の開催や周知資料の作成を検討している。
脊柱側弯症とは、背骨の形が崩れ成長・加齢とともに変形が進行する疾病。先天性のものもあるが発生・進行の原因は不明とされており、肺機能の低下や腰痛などが生涯にわたり影響を及ぼす。女子の発生率が特に高く、容姿に対する劣等感が消極的な対人関係の形成につながってしまうケースもある。
早期に発見して正しい治療法を施すことが重要な疾病だが、発見率は都道府県間で差が大きい。国際的には発生率が2~3%となっているデータがある一方、学校保健統計調査では最も高い県で3・0%、最も低い県で0・2%となっている。自治体・学校が独自の基準で検診を行っていることが背景にあり、児童生徒の健康診断マニュアルで脊柱の検査方法は「視触診等」と規定。検査機器を導入する自治体は一部にとどまり、多くが視触診による検査を実施している現状にある。
文科省は次年度、検査機器を使用した脊柱検査の体験会を全国7、8ヵ所で開催することを計画。解説映像の制作や疾病の理解促進の周知資料も作成し、検査機器を使用する自治体の増加を図る。検査機器の使用によって正確・均質な検査が可能になるほか、早期発見・治療による負担軽減などの効果があるという。
5年3月に閣議決定した成育医療等の提供に関する国の基本的方針では、健康診断で脊柱側弯症などの疾病を早期に発見、支援につなぐ環境整備を検討する方針を明記した。一方、検査機器導入には自治体の予算措置が前提となるため、国による補助の必要性を指摘する声も上がっている。
(解説 2024-12-05付)
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