【解説】教職員定数充実は不可欠(解説 2024-12-02付)
教員の給与改善の条件に勤務時間縮減の目標を設定する財務省案を巡り、全国の関係団体が一斉に反対の声を上げている。
全国都道府県教育長協議会と全国都道府県教育委員協議会は11月22日、文部科学省に7年度文教予算に関する緊急要望書を提出。いじめ・不登校、日本語指導、特別な支援を要する児童生徒の増加など複雑化・困難化している学校の現状を訴え「学校における働き方改革を推進するには、業務改善のみならず教職員定数の充実は不可欠」と求めた。
時間外在校等時間の縮減を教職調整額の引き上げの条件とする財務省案に関して「学校現場や教師への敬意と配慮を欠くとともに、地方教育行政の観点からも実現性に乏しい」と指摘。
教職調整額の引き上げは段階的に行うのではなく、次期通常国会で給特法を改正した上で7年度から確実に実施することを要望した。教職調整額の引き上げ達成後に残業代を支給する案には「教師の職務の特殊性等を踏まえ、自律性・裁量性を確保する観点からすべきではない」と主張した。
調整額の引き上げには自治体の負担も必要になるが、その財源の在り方も不透明だ。義務教育に係る教職員の給与費は3分の1が国庫負担、3分の2が地方負担になるほか、公立高校は全額が地方負担になる。
総務省は教職調整額を10%に引き上げた場合の地方負担を3000億円程度、13%で3700億円程度と見込んでいる。
このため全国知事会、全国市長会、全国町村会は文科省に緊急要望を提出。処遇改善に当たっては地方に責任を転嫁することなく、国で必要な財源を確保するよう求めている。
教員の処遇改善の行く末は、例年12月末に次年度予算案編成に向けて行われる大臣折衝で明らかになることが予想される。
(解説 2024-12-02付)
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