【解説】処遇改善の財源確保を
(解説 2024-11-25付)

 全国知事会、全国市長会、全国町村会は21日、文部科学省に「教師の処遇の抜本的な改善等による学校教育を担う人材確保のための緊急提言」を手渡した。教師の処遇改善や教職員定数の改善などを要望。地方に負担を転嫁することなく、国において必要な財源を確保するよう求めた。

 義務教育に係る教職員の給与費はその3分の1が国庫負担、3分の2が地方負担となっており、公立高校の教職員においては全額が地方負担となっている。

 総務省の試算によると、教職調整額を現行の4%から10%まで引き上げた場合の地方負担の増加は計3000億円程度(義務教育2000億円程度、公立高校1000億円程度)と見込んでおり、処遇改善の実現には地方負担の財源確保も課題となっている。

 提言では、質の高い教師人材の確保は喫緊の課題であるとし、教職調整額の水準の引き上げや学級担任への手当の加算など文科省予算概算要求における施策を評価する一方、財源確保の道筋が示されていない課題を提起した。

 いじめ・不登校対応による在校等時間の増加や、給与に係る優遇措置の乖離といった課題が教職志望者の動向に影響を与えていることも懸念。人材確保と教育の質の向上の観点から改善を図る必要性を訴えた。

 ①次期通常国会の教職調整額の引き上げの給特法改正案の提出と教師の処遇の抜本的な改善策の実施②不登校、いじめ、特別支援教育などの課題や保護者対応など職責・負担に応じたメリハリのある処遇改善③小学校教科担任制の拡充、生徒指導担当教師の配置拡充をはじめ教職員定数の改善と支援スタッフの配置充実―の3点を要望。一連の施策の実現に当たっては、地方の負担が極めて大きいとし、必要な財源を確実に確保するよう要望した。

(解説 2024-11-25付)

その他の記事( 解説)

【解説】地域活動学習 上昇傾向

 道教委は、6年度生涯学習推進体制の整備状況(6月1日現在)をまとめた。教育委員会による生涯学習活動で最も多いのは「読書環境の整備や読書活動を支援する人材育成」。現代的課題に関する学習機会で...

(2024-11-27)  全て読む

【解説】インフル 道内で流行入り

 道は22日、道内の医療機関によるインフルエンザの報告数が1・00を上回り、全道における流行シーズンに入ったことを発表した。今後さらにインフルエンザ患者報告数の増加が見込まれることから、手洗...

(2024-11-26)  全て読む

【解説】内定率7割 4年ぶり低下

 文部科学省と厚生労働省は7年3月大学等卒業者の就職状況調査(10月1日現在)をまとめた。大学生の就職内定率は前年度同期と比べて1・9ポイント下降し72・9%となり4年ぶりに低下。業界の人手...

(2024-11-22)  全て読む

【解説】外部人材の効果 詳細に把握

 学校が複雑化・困難化する教育課題への対応を迫られる中、教員業務支援員をはじめ外部人材の重要性が一層高まっている。7年度予算概算要求では教員業務支援員を前年度と同数の2万8100人、学習指導...

(2024-11-21)  全て読む

【解説】社教人材の在り方議論へ

 社会教育の役割・ニーズが大きく変化する中、社会教育主事・社会教育士の在り方に関する議論が中教審の特別部会で議論されている。社会教育人材の活躍促進に向けて役割・位置付けを明確化するほか、質的...

(2024-11-20)  全て読む

【解説】関係団体 財務省案に声明

 全国の校長会、PTA団体、教職員組合など23団体で構成する「子どもたちの豊かな育ちと学びを支援する教育関係団体連絡会」は15日、教員の給与制度に関する財務省提案に対する緊急声明を阿部俊子文...

(2024-11-19)  全て読む

【解説】食育に関する世論調査

 内閣府は食育に関する世論調査をまとめた。小中学生に必要な食育の取組として5割以上が「食生活や食文化を学べるコンテンツの充実」「保護者が食について学ぶ機会の充実」「地場産物の利用拡大など学校...

(2024-11-18)  全て読む

【解説】上士幌町の環境教育

 環境省は毎年、学校教育・社会教育において、子ども(幼少期~高校生)を対象としたSDGsや環境教育、ESDの実践取組動画を募集・選定する「環境教育・ESD実践動画100選」を実施している。 ...

(2024-11-15)  全て読む

【解説】子の声聴く姿勢 QOL向上に

 大人が子どもの声を積極的に聴き、その意見を取り入れようとすることで子どもの生活の質(QOL)の向上につながることが、国立成育医療研究センターの研究チームによる調査研究で明らかになった。 ...

(2024-11-14)  全て読む

【解説】全日教連 勤務環境実態調査

 全日本教職員連盟は教職員の勤務環境に関する実態および意識調査2024を公表した。平日1日当たりの時間外勤務が4時間以上の割合は前年度と比べ2・7ポイント下降して16・1%に。一方、持ち帰り...

(2024-11-13)  全て読む