【解説】理数の興味 男女間で差
(解説 2024-12-06付)

 TIMSS(ティムズ)はPISAと並ぶ国際大規模学力調査の一つで、平成7年から4年おきに実施。各国の研究機関・政府機関で構成する国際コンソーシアム「IEA」が実施主体を担っており、初等中等教育段階における児童生徒の算数・数学、理科の教育到達度を国際的な尺度で測定している。

 児童生徒の学習環境条件等の諸要因との関係を参加国・地域間での違いを利用して組織的に研究することが目的。調査の確定版は7年2月に公表し、国際データベースに加える。個々の結果は学校に返却しない。

 小学校理科の順位は前回の4位から6位に下降。特に生物・地学の領域で大きく順位が低下したが、これには日本になじみのない砂漠の生物に関する問題、中学校で学ぶ公転・地軸に関する問題が出題されたことも影響したとみられる。

 調査問題は例年、参加国が国際的評価の枠組みをもとに作成しており、近年は中東・アフリカ地域からの参加が増加。これらの地域の素材を扱った問題も増加している。全体の50%が新規に作成された問題だが、熱帯・乾燥帯の生態系や環境保全に関する問題、学習指導要領で定める学習時期と一致していない問題もあり、国立教育政策研究所はこれらの状況にも留意する必要があると指摘する。

 理数系に対する男女の差も浮き彫りとなっており、平均得点は男子が女子を6~12点上回ったほか、算数・数学、中学校理科の勉強が楽しいと回答した割合は男子が女子よりも10ポイント以上高かった。

 日本の女性研究者の割合は依然として低い水準にあり、文部科学省は、女子中高生の理系分野への興味・関心を喚起するため研究者との交流機会の提供、シンポジウムや出前授業、地域・企業と連携した取組を行う大学への支援を検討する。

(解説 2024-12-06付)

その他の記事( 解説)

【解説】ことしの漢字は「金」

 ことしの世相を表す「今年の漢字」に“金”が選ばれた。  今年の漢字は、日本漢字能力検定協会(本部・京都、山崎信夫代表理事、理事長)が漢字の素晴らしさや奥深い意義を伝えるために平成7年から...

(2024-12-16)  全て読む

【解説】自民党特委が緊急決議

 自民党の令和の教育人材確保に関する特命委員会は10日、石破茂首相に「教師を取り巻く環境整備のための教育予算に関する緊急決議」を手渡した。教職調整額の引き上げは時間外在校等時間縮減の条件を設...

(2024-12-12)  全て読む

【解説】物価高騰へ留学生緊急支援

 物価高騰が急速に進行する中、文部科学省は海外の大学に留学中または留学予定の日本人留学生に対する緊急支援を計画している。総額4億円を投じて留学継続に必要な経費の一部を支出する予定。  物価...

(2024-12-11)  全て読む

【解説】20分の運動で長期記憶向上

 学習前の事前運動が8週間にもわたり長期記憶を向上させる効果があることが道教育大学、神戸大学、中京大学、米国のNortheastern Universityの研究者による共同研究で分かった。...

(2024-12-10)  全て読む

【解説】少子化時代の大学へ答申素案

 中教審の高等教育の在り方に関する特別部会は高等教育の在り方に関する答申素案をまとめた。急速な少子化を見据えた高等教育の将来像、目指すべき方向性と方策を記載。再編・統合の推進によって大学の規...

(2024-12-09)  全て読む

【解説】側弯症の早期発見へ

 背骨のねじれが成長・加齢とともに進行する「脊柱側弯症」。文部科学省は7年度、成長期における脊柱側弯症検査の理解促進を図るため、全国体験会の開催や周知資料の作成を検討している。  脊柱側弯...

(2024-12-05)  全て読む

【解説】部活動改革の沿革と今後

 部活動の地域移行の始まりは平成31年1月の中教審答申にさかのぼる。教師の長時間勤務の主な要因となっていることから部活動を学校単位から地域単位とすることを提言。これを受けて文部科学省は令和2...

(2024-12-04)  全て読む

【解説】学力調査 着実に実施

 全国知事会が実施したアンケート調査結果では、47都道府県のうち学力調査の目的や有効性に関しては100%、必要性に関しては88%が肯定的に回答しており、調査の実施頻度は現行の「毎年実施」への...

(2024-12-03)  全て読む

【解説】教職員定数充実は不可欠

 教員の給与改善の条件に勤務時間縮減の目標を設定する財務省案を巡り、全国の関係団体が一斉に反対の声を上げている。  全国都道府県教育長協議会と全国都道府県教育委員協議会は11月22日、文部...

(2024-12-02)  全て読む

【解説】差別解消へ教育に期待

 道は道民意識調査「障がい者の差別の解消の推進について」をまとめた。障がい者に対する差別解消に必要な取組は「学校での子どもへの教育の充実」が75・5%と最も多い。4月の障害者差別解消法改正に...

(2024-11-29)  全て読む