【解説】20分の運動で長期記憶向上(解説 2024-12-10付)
学習前の事前運動が8週間にもわたり長期記憶を向上させる効果があることが道教育大学、神戸大学、中京大学、米国のNortheastern Universityの研究者による共同研究で分かった。長期記憶が必要な学習や作業効率を高める手段として活用できる可能性があるという。
長期記憶はある時点における経験・学習で得た情報を、数分~数年以上にかけて保存する脳機能。これまでの研究でも運動によって約1週間後まで長期記憶が向上することは分かっていたが、効果の持続期間は不明とされていた。
研究対象は大学生44人。同一被験者が複数の条件をランダムに体験する「クロスオーバー法」によって比較した。
被験者は「運動後に学習(中強度のサイクリング運動)」「座位安静後に学習」いずれかの条件のもとで単語の記憶学習を実施。その後15個の単語を読み上げ、覚えた単語を1分間で書き出すテストを5セット取り組んだ。「24時間後」「4週間後」「6週間後」「8週間後」「11ヵ月後」に思い出しテストを実施し、単語の正答数を比較した。
結果、24時間後の正答数には運動・安静いずれも差は見られず、4週間後でわずかに運動条件の正答数が多かったものの統計学的な差は認められなかった。
一方、6週間後のテストでは運動条件で学習した学生は約10%、8週間後で約8%正答数が増加。11ヵ月後で差が消失した。
研究の実験対象は大学生だったが、子ども・社会人世代の学習効果の向上に応用できる可能性もあるという。研究者は「運動と長期記憶の持続的な向上のメカニズムの解明がヒトの長期記憶の仕組みのさらなる理解につながる可能性がある」と多方面への発展に期待を寄せている。
(解説 2024-12-10付)
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