【解説】物価高騰へ留学生緊急支援
(解説 2024-12-11付)

 物価高騰が急速に進行する中、文部科学省は海外の大学に留学中または留学予定の日本人留学生に対する緊急支援を計画している。総額4億円を投じて留学継続に必要な経費の一部を支出する予定。

 物価高騰は日本のみならず諸外国でも急速に進行している。世界銀行がまとめた「世界の消費者物価上昇率」をみると、2010年~23年にかけての物価上昇率は、日本の1・1倍に対して英国と米国が1・4倍、中国が1・3倍、仏国が1・2倍となっている。

 奨学金が不足することで留学中の学生が学修活動や生活に支障を来しており、海外留学支援制度応募時に学生が見込んでいた資金計画に大幅な影響が生じている。

 文科省は、留学を断念することは将来のグローバル人材に対する「人への投資」の機会を損なうことに直結するとして、海外留学支援制度を利用する日本人学生の留学に要する経費を特例的に措置することを決定。補正予算案に6億円を盛り込んだ。

 海外留学支援制度は、諸外国の高等教育機関の協定等に基づき、在籍大学に在籍したまま一定期間(8日以上1年以内)の間派遣する「協定派遣型」、学士(Bachelor)の学位取得を目指して留学する「学部学位取得型」、修士(Master)または博士(Doctor)の学位取得を目指して留学する「大学院学位取得型」がある。

 このうち協定派遣型の留学生への支援は総額3億2600万円を支給する計画。学部学位取得型の留学生は1400万円、大学院学位取得型は2500万円の支給を見込んでいる。

 本年度からの実施を検討しており、国会に提案中の補正予算案が可決されれば、日本学生支援機構を通じて申請の受付を開始する。

(解説 2024-12-11付)

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