【解説】自殺背景調査指針改訂へ
(解説 2024-12-19付)

 文部科学省は18日、児童生徒の自殺予防に関する調査研究協力者会議の第1回会議を開き、自殺の背景調査の指針の改訂に向けた検討を開始した。平成26年度の策定から10年ぶりの改訂で、学校・学校設置者における調査が円滑・適切に行われるよう、調査の進め方や調査事項をより具体化する。

 児童生徒の自殺者数は増加傾向にあり、文科省の調査によると5年度に報告のあった自殺者数は397人。内訳は小学生が11人、中学生が126人、高校生が260人となっている。要因は「不明」が最も多く「家庭不和」「精神障がい」「父母等の叱責」「進路問題」などと続く。

 自殺の背景調査は自殺または自殺が疑われる事案発生後に学校が着手する「基本調査」、外部専門家を加え自殺に至るまでの過程や心理等を解明する「詳細調査」がある。自殺の再発防止や事実に向き合いたい遺族、子ども、保護者の希望に応えることを目的とし、民事・刑事上の責任追及や訴訟への対応を直接の目的とするものではない。

 詳細調査の制度や調査希望は学校・学校設置者が行うが、文科省の調査によると制度や調査希望の有無を遺族に説明した件数は59・9%、さらに詳細調査に移行した件数は8・1%にとどまっている。このため調査指針を改訂し、基本調査で調査・整理すべき事項や詳細調査の進め方、調査事項をより具体化する。

 このほか、自殺事案発生後の心のケアや遺族との関わり、背景調査を円滑に進める平時からの備えを記載するほか、自死事案が生じ一定期間経過した際に遺族に説明する様式例を示すことを検討。自殺の背景調査ではいじめが疑われる事実が明らかになるケースもあり、背景調査からいじめ重大事態の調査に移行する際の注意点も盛り込む予定。

(解説 2024-12-19付)

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