【解説】病気休職全体の4分の3に
(解説 2024-12-24付)

 精神疾患による教職員の病気休職者数は全ての校種・職種で増加し、病気休職者全体の比率は令和元年度の67・1%から75・6%まで上昇した。現在休職していない教職員であってもケアが必要なケースも予想され、学校現場や児童生徒への教育への影響、教職の魅力低下につながる喫緊の課題となっている。

 公立学校共済組合がまとめた5年度ストレスチェックデータ分析結果報告書によると、高ストレス者に該当する教職員の割合は11・7%とこちらも過去最高に。就労時間が長く周囲のサポートが不良であるほど高ストレス者の割合が上昇する一方、「働きがい」「上司・同僚からの支援」「仕事・生活の満足度」を感じている職員ほどストレスの度合いが低い傾向が明らかになっている。

 文部科学省は5年度からメンタルヘルス対策に関する調査研究事業を開始。沖縄県では保健師らによるオンライン相談窓口の開設やICTを活用したリワークプログラムの導入、神戸市ではAIアプリを活用した若手教員向けのセルフケアプログラムの実施に取り組んだ。

 宮城県では先輩教員やOBとの意見交換を促進するウェブサイトを開設。仕事の負担を減らす作業効率化の工夫や十分な睡眠を取る実践的な工夫に関する記事を配信した。教員自身のセルフケアや管理職によるラインケアなどの取組も進めることで、抑うつ等に関する数値が改善する教育委員会もある一方、相談窓口の活用が進まないなどの課題も明らかになっている。

 文科省は6年度補正予算において医療の専門家を活用したメンタルヘルス対策に3000万円を計上。今後、医療機関と連携して病気休職中の支援と休職期間・再発率の関係などを分析し、早期離職・再発防止の取組の効果検証を行う。

(解説 2024-12-24付)

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