【解説】少子化時代の大学へ答申素案
(解説 2024-12-09付)

 中教審の高等教育の在り方に関する特別部会は高等教育の在り方に関する答申素案をまとめた。急速な少子化を見据えた高等教育の将来像、目指すべき方向性と方策を記載。再編・統合の推進によって大学の規模適正化を進めるほか、厳格な成績評価や卒業認定の実施など「出口の質保証」の促進を提案した。

 18歳人口の減少に伴い、大学進学者数は3年度の62万7000人から22年度には46万人まで減少することが予想されている。中教審は「質の向上」「規模適正化」「アクセス確保」の観点から高等教育の在り方をまとめ、文部科学大臣に手交する。

 今後重視すべき観点として「時代に対応した教育内容の改善」など8点を挙げ、文理横断・融合教育の推進、デジタル・グリーンなど成長分野の人材育成を強化する方針を示した。学びの質を高めるため、より厳格な成績評価や卒業認定を実施することで「出口における質保証」を促進するよう提案した。

 規模適正化に向けて再編・統合の推進や縮小・撤退の支援の必要性を記載。一時的に減少させた定員を一部または全部戻すことを容易にする仕組みや、学校法人解散の際に学生を保護する仕組みを検討する。

 大学の減少が見込まれる中、学びの機会を確保するため「地域大学等構想プラットフォーム(仮称)」の構築を提案。大学・自治体・産業界などの関係者が地域の人材育成やアクセス確保について議論する場を設ける方向性を示した。

 答申後の2、3年以内の「短期的取組」期間とし、公財政支援の充実をはじめ教育コストの明確化や負担の仕組みの見直しを検討する。答申後5~10年程度を「中期的取組」期間に位置付け、授業料の最低ラインの設定や新たな財源確保の検討を行う。

(解説 2024-12-09付)

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