元校長の“学校アップデート!” №20 教師の資質・能力の向上を図る
(札幌市 2024-12-04付)

学校アップデート№20教師の資質・能力の向上を図る

 教師とは一言で言えば「子ども集団を組織する演出家」です。「教師は、世の中で一番難しい職業である」と言われています。教師には、つぎの五つの役割が求められるからこそ難しい職業なのです。

①学者…教科指導に精通して、授業に勝負をかける

②医者…心と体の健康を診断し、処方を心得ている

③易者…子どもの可能性を見抜き、良さを引き出す

④役者…子どもの心を揺さぶる(授業も生徒指導もドラマである)

⑤はなし家…人を引き付ける話し方ができる。

 子どもは、教師に対して専門的な知識ではなく人間的な魅力を求めています。どんなに教え方が上手で熱心でも、人間的な魅力(親しみや明るさ、悩みを聞いてくれる対応や雰囲気など)がないと教師に対する魅力を感じてくれず、授業にものってきません。子どもにとっては、教師の人間的な部分と授業や生徒指導が一体となっていることが重要です。

 現在、初任者や若年層の期限付教諭が多くの学校にいます。これまでの多くの教師は、3K(勘・経験・根性)で自分自身の資質・能力を高める努力をしてきましたが、これからは学校として教師の資質・能力を高める取組を展開することが強く求められます。しかし、学校という職場には「相互不干渉の体質」があるため、各自が身に付けた指導技術をほかの教師に教えることがない「職人気質(技を知りたければ見て盗め)」であったり、ほかの教師の指導が自分の考えと異なっていても口出しせずにやり過ごしたりしている実態があります。この「相互不干渉の体質」を改善するのは、管理職の役割です。

 「相互不干渉の体質」を改善するためには、単なる打ち合わせではなく、つぎのような互いの思いや考えを語り合う場を設定し、違いを認め合う経験の積み重ねを図ることが必要です。

○子どもの育ちや指導方法・評価について語り合う学年・ブロック研修

○職員集会後の15分間ミニ研修(2週間に1回実施)

○職責に応じた研修(若年層対象、学年主任対象、担任外教諭対象など)

○研究全体会での1人1回以上発言(質問で終わらせず意見を言う)

○学校経営方針提示後のミニ研修(学年またはブロック研修)など

 現在、働き方改革という名のもと、語り合う場がなかなか取れない状況ですが「相互不干渉の体質」を壊すためには、授業や指導について語り合う場を意図的に設定することが必要です。若年層教師を対象として、教務主任や校長が講師になってミニ研修会を定例で企画・運営していくという方法もあります。平岸西小では「若い先生を対象とした研修会を行います」と言ったら「わたしも若いよね」と言って全員が参加するという出来事がありました。

 プロ教師としての条件は、三つあります。第一に「情熱と熱意」であり、第二に「努力」です。第三に「技」であり、的確に指導できる技が詰まった「引き出し」を持っていることが大切です。「現在の教師に欠けている力が二つある」と言われています。一つは「教材を深く解釈する力」であり、もう一つは「子どもの声を聴く力」だそうです。教師の資質・能力を高める取組を個人任せにすることなく、学校として実践していくことが必要であり、管理職の企画力が問われます。

北原徹也 (北海道特別活動研究会顧問、元札幌市立平岸西小学校長)

(札幌市 2024-12-04付)

その他の記事( 札幌市)

札幌二条小 実践発表会第Ⅱ期 学びをつなぎ協働学習 3年体育 考えさせる授業

二条小・教育実践発表会  札幌市立二条小学校(石川篤司校長)は11月21日、同校で第19次教育実践発表会(第Ⅱ期)を開催した。研究主題「学びをつなぎ、共に高め合う子ども」のもと、14授業を公開。3年生体育ではタグラ...

(2024-12-04)  全て読む

札幌柏中 職人招き木材加工体験 匠の技 すごさ実感 かんながけやくぎ打ち等

柏中木材加工体験  札幌市立柏中学校(佐野友美校長)は11月27日、大工・左官などの建築職人を招いて木材加工体験学習に取り組んだ。1年生総合的な学習の時間「職業総合」の一環。生徒たちは、かんながけやくぎ打ち、...

(2024-12-04)  全て読む

4定札幌市議会 きょうから代表質問 学校規模適正化を問う いじめ重大事態再発防止策等

 札幌市議会第4回定例会の代表質問がきょう4日から始まる。児童生徒数の多い大規模校における学校規模の適正化や、いじめ重大事態の再発防止策、学校管理職としての在り方などの質疑が行われる。  ...

(2024-12-04)  全て読む

道造形教育連盟 札幌地区研究全体会 形や色意識した表現探る つながり部会 太平中2年公開

道造形教育連盟  道造形教育連盟(東尚典会長)は11月上旬から中旬の3日間、札幌地区研究全体会「オータムジャンプ」を開催した。中旬に札幌市立太平中学校で行ったつながり部会では、前学年で扱った題材とのつながり...

(2024-12-03)  全て読む

札幌平岸高 7年度から新地域探究PG 小学生~大人が共に活動 南平岸・澄川地区を活性化

札幌平岸高スミヒラベースプロジェクツ  市立札幌平岸高校(中井勝広校長)は、7年度から新たな地域探究プログラム「Sumi―Hira Base Projects(スミヒラベースプロジェクツ)」を開始する。同校が中心となって、地域の...

(2024-12-03)  全て読む

札幌元町中と韓国シンタンジン中 好きなアイドルは? 姉妹都市オンライン交流

元町中・オンライン交流  札幌市教委などが推進する姉妹都市オンライン学校交流事業の本年度の取組が始まった。11月25日、元町中学校(伊東美智恵校長)では韓国・大田広域市の新灘津(シンタンジン)中学校と交流。1~3年...

(2024-12-03)  全て読む

札幌八条中 70周年記念講演会 失敗を恐れず挑戦して 卒業生で研究者・有馬さん

八条中道徳講演会  札幌市立八条中学校(和泉明一校長)は11月27日、同校で開校70周年記念講演会を開いた。同校の卒業生で研究者の有馬尚経さんが講師を務め「先輩からの一言~八条中と地域の未来のために」と題して...

(2024-12-03)  全て読む

メクビット活用し授業 国研事業協力校の真駒内中 画像で地震時の危険個所等問う場面 札幌市教委

 札幌市教委は、国立教育政策研究所の教育課程検証協力校事業に協力し、中学校保健体育(保健分野)で文部科学省のCBTシステムMEXCBT(メクビット)を活用した授業づくりを推進している。本年度...

(2024-12-02)  全て読む

小・中等12団体が発表 札幌市 こども環境コンテスト

 札幌市環境局は、14日午後1時から札幌エルプラザでさっぽろこども環境コンテスト2024を開催する。市内の小・中学校など12団体が出場し、それぞれ取り組んできた環境保全の取組などを発表する。...

(2024-12-02)  全て読む

札幌西野中特支学級 初の販売会 大盛況 活動意義実感 作業学習の力作400点並ぶ

西野中・特支学級販売会  札幌市立西野中学校(熊谷誠二校長)の特別支援学級は22日、イオンモール札幌発寒で初の販売会を開いた。生徒たちが作業学習で製作した木工、窯業、縫工製品など約400点が並んだ。生徒たちは地域の...

(2024-11-29)  全て読む