旭川市内のリーディングDX校4校 新時代の実践を共有 ICT活用の授業等取組報告
(学校 2024-12-05付)

旭川市リーディングDXスクール事業実践報告会
旭川市リーディングDXスクール事業実践報告会

 文科省の新規事業であるリーディングDXスクール事業は、全国各地で1人1台端末やクラウド環境を活用した効果的な教育実践の創出・普及を図ることが目的。日々の授業改善、家庭学習や校務効率化など教育課程全般にわたって実践を行いながら、全国に事例を展開する。

 市からは緑が丘中、緑が丘小学校(内藤奏子校長)、西御料地小学校(佐藤聖士校長)、緑新小学校(甲斐信太郎校長)の4校が指定されている。

 実践報告会は、指定校4校の取組を通して、自校におけるICT活用や校務DXの推進に向けた具体的な取組、学校間の協議から、今後のICT活用について見通しを持つことを目的に開催。市内外の小・中学校教職員と上川教育局、旭川市教委の職員を合わせて168人が参加した。

◆春日井市を模範に 複線型授業に挑戦 西御料地小

 西御料地小の石田直也主幹教諭は、児童の主体性を伸ばすことと個別最適・協働的な学びの充実を図る「複線型授業」に挑戦したことを紹介した。

 愛知県春日井市立藤山台小学校の授業をモデルに、課題の設定や振り返りのまとめを児童一人ひとりに委ねることを実践していることを報告。課題設定の時間ではグーグルクラスルームで提示した問題の見通しや予想をチャットで交流したり、振り返りの時間にスプレッドシートで自分の学びがどのような方向に向かうのかを考えたりするなど、子どもたちが自走するように授業改善した。

 しかし、全てを委ねると主題からそれた方向に進む児童が出ることを危惧したことを踏まえ「大きい課題は共通にして、そこから個人の課題設定やまとめができるようにした」「教科の見方・考え方を押さえるために、教科書も使わせた」と、授業改善のポイントを説明した。

 また、子どもたちが主体的に学習を進められるように工夫改善を重ねていった結果、先生たちが自然と子どもが主体となる授業づくりに取り組むようになったことを話し「失敗を恐れずに、トライアンドエラーの精神で授業改善に挑戦していくことが大事」と呼びかけた。

◆学習計画の共有で 学びの見通し意識 緑が丘小

 緑が丘小の長岡伸二教諭は、5年生の国語科「話す、聞く」の授業実践例を紹介。グーグルクラスルームで目標や見方・考え方、学習の流れを共有し、いつでも児童が学びの見通しを持てるようにしていることを説明した。

 また、授業内で述べ合った感想を共有して他者を参照するようにしていることを話し「振り返りの時間に、つぎの授業での学び方を意識したことを記述できるようにしている」と解説した。

 校務DXについては、グーグルクラスルームを日常の学校生活でも積極的に使ったことや前年度にグーグルサイトで作成したプラットフォーム「教職員サイト」をアップデートしたことを紹介した。

 健康診断の事前指導や児童に対する各委員会活動など、担当教員から担任への連絡をグーグルクラスルームで積極的に実施。担任と児童との間で使われることが多かったグーグルクラスルームの使用範囲を拡大したことで「校内連絡や教員と児童間において、連絡内容のずれがなくなった」と成果を話した。

 また、外部からメールや書類での申し込み文書等が多く、一つ一つ見るのが大変だったり、来た案内の期限が切れていたりしたことなどを踏まえ、教職員サイト内に「文書受付簿」を作成。事務職からは「用紙代の削減に手応えがあった」などの意見をもらった成果を紹介した。

◆コメント欄活用で 他者参照を円滑に 緑新小

 緑新小の久川聡主幹教諭は、2年生の音楽科でグーグルクラスルームのコメント欄を活用した事例を紹介。聞いた音楽の感想をコメント欄に書き込むことによって、即時共有ができることを話し「児童一人ひとりが挙手をして発表することよりも、素早く他者の感想を参照することができる」などと利点を説明した。

 校務DXについては、職員会議資料をスプレッドシートで一元化したことによって探す手間を省いたことや、チャットでの情報共有などを進めたことを紹介。「必要なデータへのアクセス簡素化や迅速な情報共有につながった」と成果を話した。

◆独自のスタイルで 授業DXを推進 緑が丘中

 緑が丘中の北村裕美教諭は、同校における授業DX浸透に向けた取組を紹介した。

 ①今までの実践も大切にしつつも、授業の中で子どもが主体となる場面を入れる「Midori―Style」を掲げていること②無理せずICTを活用した授業を続けられること―の二つをコンセプトにしていることを説明。コンセプトとベテランから若手までが授業改善に意欲的な環境を下地に、校内研修で1人1授業を実践していることを解説した。

 その上で、実践した授業をレポートにまとめて学校ホームページで公開していることを話し「実践した授業がホームページに載るプレッシャーがやる気を刺激して、授業改善が続けられるようになっている」と紹介した。

(学校 2024-12-05付)

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