札幌市教委 6年度働き方改革表彰・上
(札幌市 2024-12-09付)

 札幌市教委が実施した6年度みんなの工夫で学校を変える働き方改革取組表彰事業(11月25日付8面既報)で、事業成果型、事業提案型の各部門に輝いた計11校の取組を2回に分けて紹介する。

事業成果型

▼東山小

 学級徴収金行事費をゼロ円とすることで、担任の集金業務や担任外の作業が軽減され、その分、補助が必要な児童への支援や担任サポートに時間を割けるようになった。

 また、クロームブックを活用し、長期休業期間中の宿題作成を不要にすることで、宿題の作成や丸付けの時間が削減されるだけではなく、家庭学習の重要性を家庭に周知することができた。

 さらに、入学式の新1年生の入退場について、保護者や6年生に新1年生を席まで誘導してもらい、終わったあとは保護者に引き取ってもらうことで、入学式の時間を短縮して新入生の負担を減らすことができた。

 教員にとっても子どもたちを整列させるなど入退場に関する補助が必要なくなるため、その分、支援が必要な子に手厚くフォローできるようになり、多くの子どもが落ち着いて式に臨めるようになった。

 このほか、前期通知表の所見欄廃止・通知表作成時期の午前授業の実施、PTAによる学期初めと終わりの登校見守り、学年便りや卒業アルバムの文集廃止、学年学級経営案を廃止し、自己評価シートを活用するなど様々な取組を実施した。

 学校評価や職員会議における職員の意見・アイデアを聴取し、可能なことは年度内からでも着手するなど、スピード感を持って実施していくことで、教員の負担軽減と業務効率化が実現した。

▼発寒東小

 通知表の発行回数を年2回から年度末の1回に減らすことで、負担軽減を図った。その分、個人懇談において、児童の伸びや努力、今後の指導の在り方などについて丁寧に説明することで、保護者の理解を得られた。

 また、登校時間を教職員の勤務開始時刻(8時15分)より5分遅らせた8時20分とすることで、教員が余裕を持って児童を迎え入れることができ、児童の安全確認がスムーズになったほか、これまで週1回だった5時間授業を、予備時数を見直し、週2回に増やすことで、教職員の授業準備等の時間を確保した。

 さらに、保護者連絡アプリ「すぐーる」で「役員」「各委員会」のチャネルを作成し、PTA役員用のすぐーるアカウントを作成することで、役員が学校に来なくても情報発信ができるようにしたことで、PTA担当の教員の負担軽減を行った。

 このほか、学級便りなどのホームページ掲載・すぐーる配信、校内やパートナー校との連絡ツールの一元化(グーグルチャット)、生成AIを活用した情報整理や記録作成など、ICTを活用した取組も積極的に行った。

▼新光小

 前年度から「人・もの・こと」をキーワードに掲げ、取組を行ってきた(5年度事業提案型受賞校)。

 「人」については、児童への質の高い学びの時間の提供、担任の授業準備時間の削減や心理的負担の軽減を図るべく、民間人材の活用を模索。本年度は、水泳授業を外部人材に委託した。

 「もの」については、月に1度、環境整備日を設定し、不用品の廃棄、空き教室の整理整頓を行い、新たな活動スペースの創出を進めた。

 新たに生まれたスペースを、不登校傾向のある児童や個別の配慮を要する児童が落ち着いて学習に取り組める「ほっとルーム」として活用し、リモート授業を受けることができるようにワイファイ環境を整備した。

 「こと」については、今後のコミュニティ・スクールの導入を見据え、学校、家庭、地域の3者が持続可能な形で取り組めるよう、地域と連携し、活動内容の見直しを図った。

 キーワードを設定し、できることから一つずつ取り組んでいくことで、労働環境の改善や時間外労働時間の減少につながり、結果として、児童と向き合う時間の確保につながった。

▼中央中

 ポケットワイファイやHDMI変換器などのICT機器の多くは職員室内で管理されており、使用する場合は「紙の貸出簿」に記入する方法を取っていたが、授業等の合間の時間での作業になるため、記入せずに使用する状況も見受けられた。

 このため、つぎに使用する職員が前回誰が使っていたかなどがすぐに分からない機器等があり「もっと気軽かつ確実に備品管理ができないか」という話題が職員室内で出たことから、教務部GIGA担当の若手職員を中心に「借りるッピ」というシステムを構築した。

 「借りるッピ」とは、専用のPCに2次元バーコードリーダーを接続。備品一つ一つに「借りる」「返す」それぞれの2次元バーコードをあらかじめ貼っておき、備品を借りる場合に、自身と備品の2次元バーコードをかざすだけで「いつ・誰が・何を借りているか」がエクセルに自動で記録されるもの(備品への2次元バーコードの貼り付けは福祉補助員が実施)。

 借りる際の作業が簡略化されたことから、黙って借りている職員はいなくなり、また返却を忘れている職員がいてもすぐに確認することができるようになった。

 今後はICT機器に限らず、教職員が共用で使用する物品にも応用していく予定である。

(札幌市 2024-12-09付)

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