札幌市教委 6年度働き方改革表彰・下
(札幌市 2024-12-10付)

事業提案型

▼豊平小

 タブレットを「文房具」として活用するための職員への研修を実施し、特に識字や書字に困難のある児童に対して、板書や学習記録を画像として保存し、コメントや手書きで加筆する方法を共有する。これによって学習の足跡を残し、振り返りの資料として活用する頻度が高まることが期待される。

 また、教材の配布やAIドリルを通じて自学自習の姿勢を育成し、教師のタブレットに学習状況が転送されることで評価に活用する。さらに会議や話し合いの音声記録をAIで文字起こしすることで記録の負担を軽減する。

 このほか、保護者連絡アプリ「すぐーる」やグーグルフォームを活用した情報の集約、前期通知表の所見廃止に伴い教育相談やいじめアンケートを通じた保護者や児童との信頼関係の構築、週の3日間の1校時目を60分授業とする日課表の見直しによる授業準備や学級事務の時間の確保などを提案した。

▼二条小

 若手職員の職員間のラポート形成、メンタルケアが最重要であると感じたことから、働きやすい環境を整備し、職員同士が気軽に悩みを相談できる場と時間を構築することを提案した。

 具体的には、打ち合わせ、相談、談話スペースとして職員室内と職員室前のホールに円卓テーブルといすを設置、職員室内にPC業務などもできるスタンディングテーブルを設置、管理職と職員が相談できるスペースの確保、各職員の机上にPC用スタンドの設置を行う。

 当該取組はいずれも、期首面談の際に、若手職員からアイデアのあったものである。

▼定山渓小・定山渓中

 次年度開校予定である定山渓学園に向けて、定山渓中学校で進めている校務のDX化について、定山渓小学校への導入を提案した。

 具体的には、ドキュメントハンドリングソフト「ドキュワークス」による文書管理のデジタル化である。定山渓中では、これまでの文書管理は全て紙媒体で行われていたが、ドキュワークスを導入することによって、職員への文書配布・職員の文書閲覧のほか、職員会議資料の直接入力や起案の決裁などを電子上で行うことができるようになった。

 これによって、教職員の事務負担はもちろんのこと教頭業務の大幅な削減や収納ファイルや紙・トナーなどランニングコストの削減へとつながった。

 同校は義務教育学校の開校が契機となり「開校0年度」としての取組の共有を図った。パートナー校間での「働き方改革」における取組の共有も非常に大切であることが分かる事例である。

▼屯田南小

 教職員の業務は年々多様化し、特に担任外の教員は授業以外の業務を多く担っており、その中でも登校時や休み時間の安全見守りに多くの時間をかけていることから、保護者や地域など外部の力を借りることで担任外業務の負担軽減を提案した。

 具体的には、PTAや地域が中心となっていた安全見守り運動について、年間を通じて柔軟に実施できるようにすることで協力を得られやすくする。

 また、休み時間の見守りにも範囲を広げ、保護者や町内会の協力を要請する。さらに、少年団や地域事業者にも協力を依頼し、支援の母数を増やすことを目指す。

 当該取組については、学校運営協議会でも賛同されており、協議員から地域へ協力の呼びかけを行っていただく段取りとなっている。

 担任外業務を減らすのみならず、コミュニティ・スクール導入を見据えた活動の一つとしても位置付けたいと考えている。

▼山鼻中

 職員室のレイアウト変更によって、ゆとりある動線の確保や余剰スペースを生かしたミーティングスペースの設置を行い、職員間の交流などの活性化を目指すことを提案した。

 これまでの島ごとの縦型のレイアウトから、横向きのレイアウトとすることで、動線が複数確保され、窓際の閉塞感が解消される。

 また、空調設備に合わせた机配置が可能となり、職員の健康面にも配慮ができる。空いたスペースにはミーティングテーブルを設置することで、気軽に話し合える雰囲気を醸成することが期待される。

 職員室のセキュリティー対策としては、入り口付近をカウンターで仕切り、生徒や業者の出入りを分けることができる。

 給湯スペースは、保護者対応や打ち合わせ、コーヒーブレークなど多目的に利用できるようになり、職員室から少し離れた場所という利点を生かして、落ち着いた対応が可能となる。

▼新陵中

 職員の協働性と同僚性を高め、働きやすく、働きがいのある職場環境をつくるため、職員室内中央に新たなミーティングスペースを設けることを提案した。

 現在のミーティングスペースは利用状況が見えにくく、利用がバッティングすることが多いため、職員室中央部にオープンスペースを設置し、学年や教科を越えた情報共有を図る。これによって、スクールカウンセラーや相談支援パートナーとも連携しやすくなり、生徒指導の質の向上が期待される。

 また、教頭席の前に配置することで、管理職への報告や相談がスムーズになり、効率的な打ち合わせが可能。さらに、テーブル周囲にコミュニケーションボードを設置し、教育活動の可視化と情報共有を促進する。

 ミーティングスペースの設置に伴い、職員室内のレイアウトと動線も見直し、不要物を整理。重要書類の一元管理とペーパーレス化を推進し、使用頻度に応じた収納場所の見直しを行う。

(連載終わり)

(札幌市 2024-12-10付)

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