元校長の“学校アップデート!” №21 学びの支援の充実を図る手だて(札幌市 2024-12-18付)
学びの支援の充実を図る手立て
「厳しい先生と優しい先生のどちらが良いか」と先生方に問いかけると、先生方は悩みながらも5対5に分かれることが多いです。厳しいの反対は「甘い」、優しいの反対は「冷たい」なので「甘くて冷たい先生」は最悪で「厳しくて優しい先生」が良いのです。発達障がいのある子どもに対してパニックを起こさないように配慮するあまり「療育」に陥っている状況を見かけることがあります。あくまでも「教育」なので、指導目標を立て「厳しくて優しい先生」として指導することが必要です。
本来、学びの支援を必要とする子どもに対して担任任せにすることなく「学校として」対応策を練り、教職員は「全ての子どもの担任」として指導に当たることが大切です。ところが、先生方は校務に追われ、校内学びの支援委員会がなかなか機能せず、対応が担任任せになっていることがあります。特別支援教育コーディネーターを中心とした校内学びの支援委員会が機能する仕組みをつくるのは、管理職の役割です。平岸西小(各学年2、3学級の中規模校)では、つぎのような仕組みをつくって学びの支援の充実を図りました。
○コーディネーターを3人(低・中・高学年担当)とし、企画会(校長・教頭・ 担任外教諭による週1回の打ち合わせ)で、コーディネーターを交えて情報 交流および具体的な対策を練る
○職員室内で井戸端会議的に担任と関係者が、学びの支援を必要とする子ど もの対応策を語り合うようにする
○現状にとどまらず「つぎの一手」を講じるために「担任1人で悩まず一緒 に悩む人をつくる」を基本的なコンセプトとし、担任がコーディネーター と一緒に校長室に来て校長・教頭と相談できる「敷居の低い校長室」にする
各学校で学びの支援に関わる研修会を行っていると思いますが、担任が個別の指導計画を作成した上で「学びの支援を必要とする子どもに関わる発表会」に陥っている傾向があります。担任の発表を聞くだけの研修会では、特別支援教育に関する認識は深まりません。例えば、つぎのような方法があります。
○抽出児童(2、3人)の対応策を全教職員で語り合い、発達障がいのある子ど もへの支援の在り方に対する認識を深める。なお、その際、スクールカウ ンセラーを助言者とする方法もある
○テーマ(例:「学びの支援において大切にしたいこと」など)を設定し、コー ディネーター(3人)や各ブロック1人をパネリストとして話題を提供しても らい、教職員がグループや全体で語り合う
○外部講師(大学の教員、指導主事、スクールカウンセラーなど)による講演 会を設定し、学んだことをアウトプットするためにグループで語り合い、 最後に講師に助言していただく
また、個別の指導計画の作成が、担任任せになっていてはいけません。個別の指導計画の中に「学びの支援委員会としての対応策」「学びの支援委員会としての評価」を記入する枠を設けていました。「学校として」対応する仕組みをつくって、教職員が情報を共有し「厳しくて優しい先生」として協働で指導に当たることが大切です。なお、教師の関わりとしては「水が半分入ったコップ」を「半分しか入っていない」と捉えるのではなく「半分も入っている」と、子どもを肯定的に捉えて指導することが基本です。
北原徹也 (北海道特別活動研究会顧問、元札幌市立平岸西小学校長)
(札幌市 2024-12-18付)
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