【解説】教職員の未配置拡大
(解説 2025-01-14付)

 全日本教職員組合は9日、教職員未配置の実態調査結果(昨年10月1日時点)を公表した。34都道府県11政令市で4739人の教職員が未配置となっており、5ヵ月前と比べ1・38倍に増加していることを報告。担任教員の不在による子どもたちへの影響、教育の質の低下、安全面への配慮などを懸念する声も寄せられており、早急に改善する必要があると訴える。

 教職員未配置への対応は「非常勤職員等で対応」が59・2%、「見つからないまま」が39・3%、「他校からの兼務」が0・8%。非常勤職員等で対応する場合は、校務分掌など授業以外の業務が他の教職員の負担となり「見つからないまま」の状態では常に授業・仕事内容を校内で負担することから、労働環境のさらなる悪化につながっていると懸念する。

 教職員未配置の内訳は「産育休・病休・看護休等」が43・4%、「定数欠員」が18・5%、「途中退職者」が3・1%など。教員以外にも事務職員、特別支援学校の調理員、介助員などで欠員が報告されており、学校現場全体で人手不足が起きていると指摘する。

 5月に実施した調査と比較すると、未配置数は1・38倍に増加している。校種別では小学校が1・37倍、中学校が1・35倍、特別支援学校が1・36倍となった一方、高校に関しては0・98倍でほぼ横ばいとなっている。

 全教は、若手教職員の増加のみならず病休代替未配置の増加にも目を向けるなど、国において教職員の労働環境をあらためて分析する必要があると指摘。教職員を増やして少人数学級化を図ることで学級事務や校務分掌など1人当たりの業務削減を行うとともに、心身・時間に余裕を持って子どもと関わることができるよう、教育予算を増額し教育条件を整備する必要があるとしている。

(解説 2025-01-14付)

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