【解説】海外インクルーシブ教育調査(解説 2025-02-05付)
全国都道府県教育委員会連合会は、フィンランド・英国のインクルーシブ教育の制度・実情をまとめた海外調査事業報告書を公表した。両国の制度の優れている点や課題を整理し、わが国における特別支援教育の強みを生かし、インクルーシブ教育を一層推進する必要性を示している。
フィンランドでは2011年から①全ての子ども②個別の学習計画を策定して対応する子ども③自閉症やADHDなど継続的な支援を必要とする子ども―の3段階モデルのインクルーシブ教育改革を実施。子どもたちが地域の通常校に通い、必要な支援を受けられる体制を目指している。
英国では障がいのある子どもではなく「特別な教育的ニーズがある子ども」との認識が一般的で通常校と特別支援学校を設置。いずれも「何らかの支援が必要な生徒に個別の支援を行う」理念が根底にあり、わが国と比べて通常校に特別な支援を必要とする生徒の割合が高いことが特徴となっている。
一方、フィンランドでは特別支援に認定される生徒が増加して財源が不足し、ことしから制度の改正を計画。英国では人材・予算・環境面から支援の質を担保することが困難な状況にある。
報告書では日本の特別支援教育を「諸外国と比して決して後塵を拝しているものではない」とし「わが国における特別支援教育の強みを生かしつつ、目指す方向性やビジョンを示し、理想の実現に向けた取組を着実に進めていくことが重要」と指摘する。
日本のインクルーシブ教育を一層推進する方策として「巡回指導を主とした教員の重点的な配置」「個別指導・TTなどのサポートを柔軟に行う特別支援教員の配置」など10項目を整理。今後国への要望に反映するための検討を進める。
(解説 2025-02-05付)
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