【解説】自殺予防教育を全国展開(解説 2025-02-06付)
児童生徒の自殺者数が過去最多を記録する中、文部科学省は7年度から自殺予防教育の指導モデルの全国への普及促進を図るモデル事業の着手を計画している。こども家庭庁では自殺の要因を多角的に分析するための調査研究を行うなど各省庁で対策を進める。
令和6年における児童生徒の自殺者数(暫定値)は527人と3年連続で500人を上回り、特に中高生の女子の自殺者が増加傾向にある。学校問題が要因とみられる自殺者の内訳は「学業不振」「進路」「学友との不和」の順に多い。
一方、自殺の要因に関する分析はこれまで十分に行われておらず、こども家庭庁は7年度から子どもの自殺に関する情報を集約し、多角的に分析するための調査研究を実施する。また、中高生を対象に自殺予防・自殺対策の情報を発信するデジタルコンテンツの作成に取り組む。
文科省においては自殺予防教育の教材・指導資料を普及させるモデル事業に着手。これまで自殺予防教育は国において標準的な指導内容・教材を示しておらず、各学校の実情に応じて実施していた現状にあったが、都道府県・指定都市教委10ヵ所程度をモデル地域に指定し、新たに作成した自殺予防教育の教材・指導資料の普及促進を図る。
また、心理学的知見を有する外部専門家を活用した協議会を全国10ブロックで開催するほか、自治体におけるゲートキーパーの養成研修の財政支援を講じることを検討している。
1人1台端末を活用した「心の健康観察」を導入する自治体も広がっている。導入校では個々の担任教諭の主観とともに数値によって児童生徒の変化を把握し、ケース会議での児童生徒理解の材料として活用している。文科省は引き続き全国の学校での導入を目指して予算措置を講じる。
(解説 2025-02-06付)
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