【解説】デジタル人材育成へ報告書

（解説 2025-06-02付）

　経済産業省は５月下旬、「Society５・０時代のデジタル人材育成に関する検討会」報告書を公表した。AI時代に向けたスキルベースの人材を官民連携で育成するため、デジタルスキル情報を蓄積・可視化するプラットフォーム構築を提案。同省は今後、報告書に基づき企業の人材育成の指針になるデジタルスキル標準や情報技術処理試験区分の見直しに向けた検討を開始する。

　生成AIの登場で社会で求められるスキルは急激に変化。仕事の置き換えや高度なデータ処理を必要とする仕事が増えることで、２０３０年までに必要とされるスキルの７割が新しいスキルになることが予測されている。

　報告書では、人材投資をしない企業、学ぼうとしない個人が多いわが国においてスキルギャップが顕在化しているとし、構造的な人手不足の中、デジタル人材の育成を加速化させる必要があると指摘する。

　技術革新によって労働市場で求められるスキルは常に変化しているため、スキルの可視化・共通言語化を図り、学びやキャリアアップを図る「仮称・デジタル人材育成・ＤＸ推進プラットフォーム」をＩＰＡ（情報処理推進機構）に構築するよう提案。試験・資格・学習サービスなどの公的証明機能を付与することでスキルの共通言語化を図り、市場における状況を可視化し、企業の人材採用・育成の参考にする。情報処理技術者試験やエンジニアリング試験も見直し、育成ニーズの変化に対応できる制度に変更する。

　海外ではシンガポールが学習・講座、補助金、キャリア探索などのサービスを包括的に個人、雇用主、教育事業者に提供しており、諸外国の事例を参考に、デジタル技術の継続的な学びや市場での効果的な活用を図る仕組みを構築する。

(解説 2025-06-02付)