探究・情報連携を構造化
(解説 2025-05-26付)

 探究的な学びと情報活用能力の連携というコンセプトは、デジタルか紙かの二項対立ではなく「デジタルの力でリアルな学びを支える」教育の未来像を提起した昨年12月の諮問が背景にある。ある委員は今回の会議について「総合的な学習の時間と情報活用能力の関係を構造化・明確化するとともに、小中高と系列的に示す必要性が示されたことが大きい」と指摘する。

 中教審の委員がまとめた調査結果によると、端末の活用頻度が高い児童生徒ほど探究的な学びの質が高まっており、特に「情報収集」「整理・分析」の学習過程で効果が高いことが明らかになっている。一方、内的思考が深く関わる「課題設定」「まとめ・表現」に対する評価は相対的に低く、ICTを効果的に利用することでリアルな他者との対話や思考時間を確保し、探究の質を高めていくプロセスが重要としている。

 学習の基盤の一つである「課題発見・解決能力」は取り組む課題によって具体が変わり、全ての学習の基盤として明確化することが困難などの課題があった。そのため基盤としての資質・能力から除外し、総合の目標や各教科等の学習過程で重視する。「情報活用能力」「言語能力」の位置付けは継続する方針。

 探究的な学習が広がる一方、質の高い探究的学びを実現する専門分野カリキュラムの設計や必要な時間の確保が課題になっている。また、発表のための学習や調査自体が目的化してしまうケースも少なくない。

 そのため中教審は、情報技術や教育課程の柔軟化によって余白時間を創出するとともに、指導要領の構造化や教科書の分量の精選、外部協力を求める場合の留意事項の整理、教員・児童生徒向けの参考資料の作成などを行うよう提案している。

(解説 2025-05-26付)

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