【解説】熱中症予防の実態調査

（解説 2025-05-30付）

　日本スポーツ協会は、スポーツ現場における熱中症予防に関する実態調査をまとめた。水分補給の指導で「一定時間ごとに飲む」と回答した指導者の割合は８０・３％で、平成９年の２８・１％から大きく上昇。スポーツ医科学の進展を背景に水分補給に対する認識が大きく変化していることを示唆している。

　調査は熱中症予防に関する指導者の知識・行動の実態を把握し、今後の啓発活動における基礎資料とすることがねらい。

　対象は協会の公認スポーツ指導者１万１９４人。調査時点は６年２～３月。

　スポーツ活動中の熱中症対策の実践（複数回答、以下同じ）は「水分補給」が９８・９％で最も多い。一方「活動時間の変更」は４５・２％、「身体冷却」は４４・９％で、同協会は今後啓発すべき課題と認識している。

　外部冷却の方法は「頭部・頸部冷却」が７５・３％、「アイスパック」が６２・９％、「送風」が６１・６％、「手掌冷却」が３２・１％、「アイスバス（氷風呂）」が１１・６％。

　内部冷却に関しては「水分補給」が９４・６％と最も多い。電解質と糖質補給、冷却効果を組み合わせたシャーベット状の「アイススラリー」の使用は１３・８％だった。

　体を徐々に暑さに慣れさせる「暑熱順化」の実施率は４５・０％で、２７年前の２２・４％から大幅に上昇。必要な期間は一般的に５日間とされているが、回答は「１～２日」が３３・６％と多い。

　気象庁の２２日の発表によると、５月３１日～６月６日に道内の平均気温が平年よりも高い確率は６０％、６～８月においては５０％と予測している。スポーツ庁は、熱中症は体が熱さに慣れていない時期に起こりやすいことから注意を呼びかけている。

(解説 2025-05-30付)