【解説】試験期日の順守徹底を

（解説 2025-06-05付）

　文部科学省は３日、８年度（７年度実施）大学入学者選抜実施要項を公表した。総合型選抜および学校推薦型選抜の教科・科目に係る個別検査を２月より前に実施する場合、小論文・面接・実技検査などの評価方法を「必ず」組み合わせることを明記。一部の大学で試験期日の違反が散見されることから、期日順守の徹底を大学に求めるねらいがある。

　総合型選抜は詳細な書類審査と丁寧な面接を組み合わせ、学力に偏らず多面的に評価する試験方法。学校推薦型選抜は高校長の推薦に基づき調査書を主な資料とし、入学者の能力・意欲・適性などを評価する。

　両選抜による入学者数の割合は上昇傾向にあり、文科省の６年度調査によると、国公私立大学の全体で一般選抜が４７・１％、学校推薦型選抜が３０・７％、総合型選抜が２２・２％となっている。前年度との比較では、総合型選抜が１・６ポイント上昇、一般選抜が１・８ポイント下降するなど差が縮まっている。

　文科省は個別学力検査の期日を「２月１日～３月２５日」と定めているが、過去に東洋大学などの一部の私立大学が２月前に個別学力検査と捉えられる試験を実施。学びの継続性や教育課程に大きな影響を及ぼすことから、高校関係団体を中心に強い懸念が示されていた。文科省が行ったヒアリング調査で全国高校長協会は「２月以前の学力検査は禁止し、２月以前に行う場合は大学入学共通テストの受験を必須にすることを統一化すべき」と意見した。

　文科省の関係者は今回の改正について、大学に２月以前の個別検査を促すものではないとしており「基本的にはこれまでどおり、２月以降に検査を実施し、能力・意欲・適性などを多面的・総合的に評価・判定して合否を判定することが前提になる」と話している。

(解説 2025-06-05付)