【解説】２５年版ものづくり白書

（解説 2025-06-11付）

　経済産業省、厚生労働省、文部科学省は２０２５年版ものづくり白書をまとめた。成長分野を中心に次世代のものづくり人材を育成・確保する必要があるとし、数理・データサイエンス、半導体人材の育成、小・中・高の特色ある教育実践も取り上げている。

　白書は、ものづくりの基盤技術の振興に向けた施策に関する報告をまとめたもので２５回目。全産業の就業者数は６７８１万人で増加傾向にある一方、製造業の割合は１５・４％で低下傾向にある。製造業における新規学卒者数は近年増加傾向にあったものの、５年は前年比１・２万人減の１３万人と減少に転じた。

　新規学卒者の製造業への入職割合は８・６％と低下傾向で、外国人労働者数が増加。平均賃金は全体で増加傾向にあるが、全産業の３３万４００円に対し製造業は３１万８６００円だった。

　今後はDXによって国際競争力を強化する人材の確保が急務であるとし、数理・データサイエンスやAI教育の動向を報告。高校段階では最先端の職業人材育成システムを構築するマイスター・ハイスクール、DXハイスクールを取り上げている。

　半導体産業の将来を担う人材の育成に向けては、北海道から九州まで六つの産官学連携コンソーシアムが設立され、工場見学や出前授業などの取組を行っていると報告。世界各国で産業政策の展開が加速する中、事業環境の不確実性が高まっていることにも触れ、脱炭素や経済安全保障を複合的に考慮した成長投資の重要性を指摘している。

　女性研究者の割合は５年３月時点で１８・５％と英国の３８・７％、米国の３３・４％と比べ依然として低い。このため、理数系女子の関心を高めることが必要とし、女子中高生や教員に出前授業を開いている岐阜大学の事例を掲載している。

(解説 2025-06-11付)