【解説】大臣指針 秋までに策定
(解説 2025-06-17付)

 阿部俊子文科大臣は13日の記者会見で、働き方改革に関する文部科学大臣の指針を秋ごろまでに改定する考えを示した。8年度から策定・公表が義務化される「教員の業務量管理・健康確保措置実施計画」の目標例などを盛り込み、働き方改革の一層の推進を図る。

 給特法等改正案が11日の参議院本会議で可決・成立。改正した法律は給特法以外に学校教育法など計17に及ぶ。

 働き方改革を着実に進める新たな制度として、8年度から教育委員会で業務量管理・健康確保措置実施計画の策定・公表が義務化。毎年度実施状況を公表するほか、総合教育会議で報告する。公立学校では計画に適合する学校運営の改善を義務付けるほか、学校運営協議会の承認を得る基本方針において業務量管理・健康確保措置の内容を含めることを定めている。

 会見で阿部大臣は、改定指針の詳細は検討中としつつも①計画に定める目標の例②業務の精選・適正化に関する観点③ストレスチェックや面接指導をはじめとする健康確保措置に関する観点④学校・教師が担う業務に関わる3分類の位置付け―などを盛り込み、時間外在校等時間の縮減に向けた取組の方向性を示していくとした。

 計画の公表が義務化されることで、教員の時間外在校等時間は教育委員会による調査で毎年度把握することになる。現行の大臣指針では業務の持ち帰りについて、本来は原則行わないこと、持ち帰りが行われている場合、校長・教育委員会が実態の把握に努めることと定めており、業務持ち帰りの実態と調査結果との乖離も懸念されている。給特法改正の付帯決議では、国においてフォローアップを行い、持ち帰りを行わずに済む人員の配置拡充、業務の削減等の必要な取組を実施することを国に求めており、今後の実効性が問われている。

(解説 2025-06-17付)

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